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消えてほしいと言いつつ家に縛りこきつかう母から逃れることにしました。~私は貴女の奴隷ではありません~

「あなたは最低の娘よ! 本当に、消えてほしいわ!」


 母はいつもそう言っていた。


 まるで奴隷でも買ったかのように雑用を押し付けて。

 たびたび睨み圧をかけて私をこきつかっていた。


 そして今日も。


「あなたみたいな娘を持って不幸だわ!」


 母はまたそんなことを言う。


 私はもう耐えられなくて。

 だから家を出ることにした。


 不安はあるけれど、一人で。


 これまでずっと奴隷だった。あの地獄のような家では私に人権なんてものはなかった。以前一度ゴミ捨て場で知り合った人と婚約したことがあったけれど、その話も母によって壊されてしまった。母が勝手に彼の家に殴り込んで、激怒し、それによって婚約破棄されてしまったのだ。


 母は私を一生奴隷として使おうとしている。

 結婚なんてさせたくないのだ。


 その時にそう気づいて。


 だから、いつか家を出て自由になろうと、内心決めていた。


 そしてついのその時がやって来たのだ。


 不安を抱えてでも。

 あの地獄から逃れたい。



 ◆



 都に出た私はこれまで積み重ねてきた経験を活かして家政婦として働き始めた。


 すると能力が意外と評価されて。

 なかなか良い条件の職場へ行けるようになった。


 そしてその先で知り合う――金髪碧眼の美青年アルトレットと。


 私たちはあっという間に惹かれ合った。

 積極的な彼はすぐに動いてくれて。

 おかげで私はアルトレットと結ばれることができることとなった。


 思わぬ形での始まり。

 けれどもそれは素敵な世界への入り口で。

 彼は私を大切にしてくれた。


 あの家にいたらこんな幸福なんて絶対に得られなかっただろう。


 ちょうどその頃、母が死んだことを知った。


 親戚のおばさんから情報が届いたのである。


 母はストレス発散道具を失ったことでどうにかなってしまったそうだ。

 家事もせず、一人、ずっと家の中で私を叫んで呼んでいたそう。

 だが、ろくに食事もせずに叫んでいたため、やがて飢えて死んでしまったらしい。


 近所の人が発見していた時、母は既に亡くなっていたらしい。


 普通は気の毒にと思うところだけれど、母に関してだけは、正直気の毒だとは思えない。


 だって、ずっと私を虐げてきたのだ。


 彼女は私に対してずっと酷いことをしてきたのだから、悲惨な最期だとしても自業自得。


 自身の行いが招いた結末だろう。



◆終わり◆

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