表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

経緯

第二章

-経緯-


私はもともと猫好きで2匹の猫を飼っている。

2匹とも女の子。

彼女たちもまた私にとっての心の癒しであり、大切な娘たち。彼女たちと一緒に過ごす時間が唯一私のつまらない日常に刺激を与えてくれる大切な存在だった。


それなのに────。


私が生まれ故郷に帰ってきた理由…

それは第一章でも言ったように、私は「もう一人の自分」を創り生きてきた事で、心に大きな負担をかけて来てしまっていた。

それが原因で自分自身を追い詰め、心は傷付き、職場での人間関係も上手くいかなくなった。

というより、私の中の「皆に認められたい」「いい人でありたい」「トラブルに巻き込まれたくない」などと言った「もう一人の優等生な自分」が利用され、職場で裏切られたのだ。

そして人間不信に陥り、上手くいっていたこと全てが上手くいかなくなり、うつ病、パニック障害、対人恐怖症と言ったいわゆる「精神病」になってしまった。

本当の自分を見失った果てに、私は今まで築き上げてきたものを全て失ってしまったのだ。

仕事もドクターストップが掛かり社会復帰はおろか、人間を信じる事が出来ず、その怖さ故にあらゆる人間関係が疎遠になり、当たり前だった日々が180度変わってしまったのだ。


どうしてそんな風にしか生きられなかったんだろう。


今までの自分を悔いた。

何度も何度も。

でも、悔いた所で何も帰っては来ない。

私の心は元には戻らない。

辛くて悔しくて私は自殺を測った。

もちろん一命は取り留めた。

そうでなければここに私は存在しない。

いくら助かったとは言え、2匹の娘たちのことを思えばどうして自殺なんて馬鹿な行動をとってしまったんだろう。

今はただ申し訳なさと、後悔しかない。

あの時はもう自分のことでいっぱいいっぱいだった。

飼い主失格だ。


そんな事があり、精神科の担当医から入院を勧められたのだが、入院してしまえば自由が無くなる。たった一つ残された自由までもが奪われてしまう。

それに娘たちは?私はまた娘たちを手放す選択をしなければならないの?もう離れたくなかった。一度は道を見失い責任を放り出した私でも、冷静さを取り戻した今となっては娘たちの飼い主として、もう二度と自分本位になってはいけない、私には娘たちを守る責任がある。絶対に離れたくないし離さない。

それに何もかも失った私が、これ以上何かを奪われる事に耐えられる訳もない。

結局、両親と相談し、担当医とも話し合い、静養のために生まれ故郷へと戻ってきたのだ。

もう二度と自殺などという愚かな行為を犯さないためにも、両親の元で療養することになった。


こう言った経緯があり、私は今引っ越しのダンボールをひたすら荷解きし、部屋を片付けている。

可愛い娘たち2匹と、纒わり付く懐かしい匂いと、私に気を遣ってくれる家族と共に、私は今ここにいる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ