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四話

「……あら、おはよう瑛太。いい朝ね」


「………何してんの?」


 昨日は――――いや、今日の深夜、普通にベッドで寝たはずである瑛太と美麗。瑛太がなにか違和感を感じ、目を開けると、自身を上から覆い被さるようにしている美麗の顔がそこにあった。


「何って……ただ瑛太のかっこいい顔を見てだけよ……んっ」


 顔が近づき、何故かチークキスをする美麗。


「……とりあえず、今何時だ」


「んっ……そう、ね…9時をちょっと過ぎたくらいね」


 上半身を起こして、一つ欠伸をしてから意識を切り替える。上半身を起こしても瑛太に抱きついていた美麗を一旦剥がしてから歯磨きへ向かう。


「もう、瑛太?もうちょっとレディは優しく退けないと」


 と、ちょこちょこと歯磨きへ向かう瑛太にくっつく美麗。言葉は不満を表しているが、表情は不満の色などはなく、ただ一緒に居れるのが嬉しいと言ったような雰囲気を出している。


「なんだ?なら1回お姫様抱っこでもした方が良かったか?」


「あら、素敵ね。今度ぜひしてもらうわ」


 シャコシャコと歯磨きを三分した後に、すぐにこのホテルを出る準備をする。予定では、ホテルマサクラのオーナーが10時にこの辺りまで迎えに来てくれる予定となっている。


「……よし、これで荷物は――――」


「あっ、美麗。ちょっと」


「―――?何………手招きなんかして?」


 チョイチョイっと瑛太が手招きをすると、美麗がやってくるので、この部屋に置かれている鏡の前まで誘導し、椅子に座らせる。


「いや……なに、ちょっとばかし変装を、ね」


 このままバカ正直にこの姿で移動をする訳には行かない。瑛太は美麗の長く伸びきった綺麗な金髪に手を伸ばす。


「流石に綺麗な顔はマスクだけでも隠せないけど――――こうやって、髪型さえ変えてしまえば」


 ストレートに伸ばしている髪を結って、ツインテールに。輪郭は、マスクではなく少しの地味目のネックウォーマーで、鼻元まで隠し、ピンク縁メガネをかければ…………。


「ほら、美麗はいつも通り綺麗だけど、いつもの凛とした綺麗さじゃなくて、可愛い系のジャンルに早変わりだ」


「………わぁ!」


 人の見た目は、髪や顔の輪郭などを記憶する。そこを上手く、どう誤魔化していくのが変装の醍醐味なのだ。


「さぁ、行こうか。それと、名前も変えていこう」


「そうね――――まずいわ」


「………?」


 しばらく偽名について考えていた美麗が、何やら真剣な表情を浮かべた。


「まずいわ瑛太………瑛太みたいなかっこいいわよ名前が思いつかないわ!」


「…………プッ」


「……!な、どうして笑うの!瑛太!これは死活問題なのよ!」


 あまりにも可愛らしく、嬉しい悩みでついつい笑ってしまった瑛太。


「……ふぅ、じゃあ偽名は後でいいや……後で考えようね」


 と、頭を撫でる瑛太。


「……そうね。今は正倉さんと合流する方が大事よ……もっと撫でて」


「………合流するのが大事じゃないのか?」


「瑛太のなでなでは別よ!最重要事項だわ!」


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