始まりのとき1
新作ですが温かい目で見ていただけると嬉しいです
気づくとそこは真っ暗で、息が……息ができない!? 死ぬ死ぬ死んじゃう。俺は必死で手足をばたつかせる
すると、俺は導かれるように狭く暖かい道を軽く圧迫されながら通っていった
「ーーオギャー、オギャー」
「子供が生まれたからダナムの小僧を呼んできな」
あー、息ができる。目ヤニで固まったように目が開かないが何やら人がバタバタと走り出す音や荒い呼吸などが聞こえる
「よく頑張ったわね。元気な男の子だよ」
「薬師のオババ俺の子が生まれたのか! 俺は父親になったんだな」
体が持ち上げられる感覚の後にゴツゴツとしたものに抱えられる
「可愛いなぁ、パパでちゅよ。前から二人で名前は決めてたんだ! お前の名前はユーティリアだよ」
ーーどうしよう! 目が見えないから言葉は分かるけど相手は人間なのか? 俺はその謎の存在から出てきたんだよな……俺も人間じゃないかもしれない
「小僧、もう十分だろう。母親に代わってやんな」
「そうだなマルティナすまん」
また、俺の体が動く感覚と共に柔らかな感触に落ち着く。さっきのが硬く汗臭かったのに対してこちらは柔らかくてミルクのような甘い匂いがして落ち着く……
「あなた……私こんなに幸せになっていいのかしら。可愛い子供もできてあの家から逃げてきた時からは想像もできないくらい」
「マルティナ大丈夫だ! こんな辺境の開拓村に大貴族様なんて来ねえさ」
「そうさね。誰がお嬢様が小汚い農民の小倅の嫁におさまるなんて思うもんかい」
えっ? お母様は元お貴族様であらせられるの! 絶対深い理由あるやんそれ
「貴族も怖いけど、本当に恐ろしいのは悪魔です。私の血を引いている以上きっと悪魔にとってこの子の魂は魅力的なんでしょうね」
俺を抱く手のこわばりと力が入るのを感じる。悪魔なんて空想の産物でしょ? あり得ないですわぁ
「でも悪魔憑きなれば戦場では一騎当千で、お貴族様にだってなれるんだろ」
俺は戦いのない平和な世界で育ったんだよ。戦闘力5のゴミクズさんですよ
でも待てよ……貴族になったら可愛い女の子とウヘヘ
「あなたは悪魔のもたらす栄光しか知らないだけよ。あの人で無しはお兄様に継承の条件として弟を殺させて皮を剥がせたのよ。血塗られた栄光には破滅しかないわ」
ーーいやいや、悪魔怖い怖すぎでしょ! やっぱり、俺は平和に生きてくよ
(ーー見つけたぞ! 美しい輝きの魂だ。絶対僕のものにしたい。まだ他の奴には見つかってないな……ごほん、力が欲しいか我を求めよされば汝に栄誉と名声を授けよう)
耳から聞こていた声ではなく、声が頭から聞こえてる気がする。あのどなたですか? モシカシテ、アアァ悪魔
俺の背筋に冷たい汗が垂れた気がした
どうも雑草です。久しぶりに文章を書いたのでリハビリ中です。しばらくは毎日投稿を目指して頑張ります(°▽°)