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異世界で過ごす休暇の為に  作者: ますかぁっと
37/38

押し込まれる3人


しゅぅぅぅっ〜〜。


勢いよく空気が抜けるような音を立てるのは今し方ジャックにナイフを刺されたケイオス…の、傷口だ。



「痛てぇな雑魚が…。傷はつこうとこの程度なら直ぐに治る…。」



「治癒力の向上か…ありガチだな。」



「まあ、治るならそれより早く刻むだけだよねっ!!。」


距離を詰め、がむしゃらに剣を振るアンナ。


一撃一撃が回避困難な速剣…しかし、ケイオスはこともなしげに両腕で捌ききる。



「っ!!!。」


一際大きく剣を弾かれたアンナ……。その反動で体勢を崩してしまう……。


その隙を逃さず…指先を揃え、鋭利な爪をアンナに突き刺そうとするケイオス。


起動・光撃(ギーヴ・レイ)っ!。」



それを魔術でカバーするケンラ。



アンナとケンラは互いを良く理解している。



アンナは近接戦闘ならばカバーするのみで十分だ。

下手に魔術を撃ちまくってアンナが動きにくくなる方が悪手で、飛行が出来ないケンラならば尚更アンナの壁としての機能が重要になってくる。



そして体勢を整えたアンナが再び剣を振り出す。



ケンラ、或いはアンナが1人で相手をしていれば既にケイオスに殺られていただろう。



現状は押し込めつつあるが…アンナの全力戦闘は精神面への負荷を考慮するとその破綻は近い…。



決めきらなければ負ける。


そして都合のいい事に、その『決め手』は既に合流済みだ。




アンナとの工房に集中するケイオス。両手で振られる1本の剣を両腕2本で何とか捌ける…それほどまでにアンナのスピードは速く、剣速も早く、その重みも中々だ。



しかし、それでもアンナへ完全に意識は向けない。




唐突に膨らむ殺気……



それは人の姿になり……とゆうか人になり、……とゆうかジャックがナイフを突き出す、



寸での所でナイフを避けるケイオス。



そこへ一切の間を置かず詰め寄るアンナが再び剣を打ち込む…。



「あぁぁっ!!、鬱陶しい!!。邪魔だ失せろ!!。」



雑に足を突き出す事で蹴りを放ち、直後に飛び退く事でアンナとの距離を取るケイオス。

そのまま手を上に突き出す、そこには赤い玉が生成される。



それを隙と見たアンナ、魔獣化の影響で好戦的になっているせいだ。



「バカッ!!離れろ脳筋!!!。」



起動・黒(ギーヴ・ブラッド)針鼠光撃(ヘッジホッグ)。」



ケンラの声も間に合わず、全周へうち放たれる細い黒光撃。


単発の威力こそ低いが、その密度と全周への光速攻撃…すなわち回避は不能………。



「いっったっ!!!。」



咄嗟に後ろへ飛んでいたがかなりの光撃が命中し、肉体を強化しようともそれなりのダメージを受けてしまうアンナ……。



「失せろ…。」



撃ち込まれるケイオスの拳…



「この脳筋がっ!!、頭使え頭を!!。」



ドゴンっ!!



その拳を両腕で受け止めるケンラ。


魔獣化は集中力が切れればその分効力も弱まる。

痛みで意識が散った状態で今のケイオスの拳はさすがに見逃せない。



(ジャックは姿が見えないがよけれたのだろうか?。もしそうならさっさと出て来いよ…。)



拳を引き戻すケイオス…、それと同時にもう片方の腕から強烈なストレートを放つ。



「ぶへっ!…。」


その左拳を顔面に貰っしまった。



「ははっ!!、女と違ってお前は武術を分かってないようだな!。」



そう、ケンラは武術とは無縁の男(一応賢者なので当然だが。)だ。


それどころか、肉弾戦とはスピードとパワーで押し切れるものだと(これすらも賢者としてはおかしい)考えている節がある。



右、左と交互に打ち込まれるストレート。


アンナのように、避け、捌き…なんて真似は出来ないので両腕で顔をカバーする形で何とか意識を保っている。



「ケンラっ!!。」


体の所々が滲むような出血をしているアンナ…。だがその傷を我慢して立ち上がり、瞬突剣(シパイア)をケイオスの足へ放つ……。



「ふん。…バカが。」


しかし、ケイオスの間合いに踏み込んだ瞬間にその腹を蹴り抜かれる。


痛みとダメージで魔獣化が薄くなり瞬発力が落ちていたのだ。全力でも押し負けていた感じが否めないケイオス相手には致命的な差である。



とはいえ常人を逸した速度で、それに並ぶ速度の蹴りを当てられれば威力は倍増する。



「がぁぁっっ!?。」



腹の深くまで押し付けられるケイオスの蹴り。


その圧力に腸は押しのけられ、それにより肺や食道に大きなダメージをうけ、すっ飛びながら血を口から零すアンナ。



その痛みで魔獣化が逸走薄まり、ただの打撃から致命傷へと変わっていく。



「ジャック!!!。変われ!!!。」



「お望みならば…。」



ジャックがケイオスの背後から現れた。


先程の全周光撃で負傷したらしく、その傷の手当をしていたらしい。方から包帯のような物が見える。



ケイオスの背後に現れたジャックはそのままナイフを上段から下段に振り下ろす。


しかし、既にそれを気取っていたケイオスは体を回転させるように後ろへ爪を振る。



当然ジャックもそれを避ける。



「アンナを見る時間だけ頼む。」



「もちろんです。レディを見逃すほど落ちぶれてはいません。」



きざったらしくウインクをしてくる。


ジャックなりの気遣いだろう…余裕だと。



「すぐ戻る…戻ったらマジで町ごと消し飛ばすから足止めを頼む…。」



「んんっ???、なんか今サラッと凄いこと言いませんでしか!?。」



ジャックの言葉を無視してアンナの元へ、……


(俺……治癒魔術苦手なんだった………。)



俺は一応白魔術に適性がある…。治癒魔術もその適正範囲内だ……が、


治癒魔術は白魔術の中でも聖魔法と呼ばれる物で式として確率・編纂されてきた魔術とは呼べない。


未だに過去の偉人(教会は神と言っている)が作り出した式でなければ効果を発揮出来ず、しかも人体に干渉するだけあってとてつもなくシビアな魔術なのだ。



「……運ばなければ。」



アンナはしっかりと意識がある。

骨や筋肉にダメージが蓄積する分も良い(筋肉が壊死しすぎるのは命の危険があるが)。



だが内蔵はダメだ。臓器への激しいダメージを完治させるには魔術だけでなく『医療』が必要になる…。



魔術もかけるなら早い方が良いが医療は尚更スピード重視だ。



「クソっ。すまないアンナ…。俺が治癒魔術の講義を特に良くサボってたばかりに……。」



治癒魔術は得手不得手以前に嫌いだった。怪我をしても大丈夫なように無理やり治せるようにしましょう…とゆう受け身な考え方が好きでは無かったのだ。


そもそも治癒魔術は体の欠損をある程度治しはするが良質な万能薬でも使わない限り寿命が縮んでしまう。



とか…そんなしょうもない事を考えてもアンナは瀕死であって……。



「教会まで担いで……でもその前にせめて痛みだけでも緩和できないのか……。」



臓器への甚大なダメージ。しかし、アンナの魔獣化した体ならば本来はどうという事は無い。

じっとしていれば痛みは引いていき、完治は不能ながらかなりマシな状態にはなる。


しかし、あまり当たったことない魔術…物理では無い攻撃手段にまだ痛みの耐性が無く、しかもその状態で打ち込まれた蹴りだ。



痛みで散る意識は魔獣化を薄めさせ、それによって重症度を増していく臓器損傷がさらに強い痛みを脳に要請する。今この繰り返しで弱まっていくアンナを揺さぶる様なことはしたくない…。



「アンナ……、俺があいつを出会い頭に消し飛ばしていれば……。」


足音がする。ここは避難が完了した地域のはず…。



ならば、歩き回る可能性があるのはその要請を危険と知りながら拒み、潜んだもの…。


おそらくケイオスの部下。



「あ、あのぉ……。」



「悪いが今は機嫌が悪いんだ。あまり綺麗な死に方は期待するぅ……な?。」



ローブを羽織った女性だった。綺麗な金髪と柔らかそうな口と優しそうな目の……



「ケンラさんじゃなですか!。とゆうことは…あぁ、アンナさん……直ぐに応急処置をしてから病院に運びます…。」



アンナの服を剥ぎ、露出した肌を確認していく女性。


それもそのはず。この女性は治癒魔術の使い手なのだ。


さらに医療の知識もあり、そちらの応急処置も行える。戦争・戦闘の際は従軍魔術医として大きな功績を上げて……『賢者』となった人物だ。



その名も……



「『キエラ』?!。何故ここにっ?!。」

一応これからは後書きをその話の補足に使いたいと思います。


皆さんキエラさんを覚えていますか?。数話前にちょびっと出てきましたがジャックに初めて優しくしてくれた異世界人ですね!!。



あの時はあまり触れませんでしたが(1話に収める為)……その女性が再登場?!?!……。

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