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異世界で過ごす休暇の為に  作者: ますかぁっと
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異世界生活、それは怠惰に

「ここが街か…凄いな…色々。」


街を見渡すケンラ。その格好はいつもの白いローブではない。


今は異世界の格好に合わせ、『MADE IN JAPAN』ど大きくプリントされたロンTとジーパンとゆうラフな格好で街にたっている。


「ですね。まさか文化どころか文明のレベルまでもが大きく違うようですね。目の前に広がるこの光景に魔術が一切無いなんて信じられません。」


ケンラの言葉にすかさず同調するガル。普段は緑のローブを着ているが、今は…やはり緑色のパーカーに黒のスキニージーンズを履いている。


透明なガラスをふんだんに使った建造物。更にはその建造物の中は人工的な光出埋め尽くされている

。街ゆく人々は手のひらサイズの端末(非魔導器)でいつでもどこでもあらゆる事を知り、見て、伝えれるのだとか。



「ケンラさん!、ガルさん!。ミシェーラさんを見てください!。」


「ん?、やっとか。」


ケンラとガルは適当に手に取り、サイズが合った物を買った。だが、ミシェーラは美咲が選びたいと言ったので先に買い終わった男2人は店の前でミシェーラの服選びを待っていたのだ。


「見てください!。とっても可愛いでよねっ!。」


「なんかスースーして落ち着かないなぁ。」


普段は赤地に白色で蔦のデザインが施されているローブを着ているミシェーラ。


だが今目の前に立つミシェーラは…



「お、おぉ。…可愛いな。」


白色のシフォンブラウスと赤地に黒のチェックが入ったミニスカート、その細い足はデニールの濃いタイツで包んでいる…とても『女の子』らしさを強調されたミシェーラだった。


ミシェーラは性格こそ勝ち気だが、顔は幼めで体は華奢とカワイイ系の女の子だ。


それが美咲のコーディネートによって溢れだしてきている。弟子ながらぐっと来るに何かが有る…。



「か、可愛いよミシェーラ!!。ちゃんとすればこんなにも可愛らしくなれるんじゃないか!!。」


「『ちゃんとすれば』って何よ。」


ドスッ!。勢いよくガルのスネを蹴るミシェーラ。その痛みにガルは悶絶しながらスネを押さえている…。一体何やってんだか。



「それにしても、ありがとう美咲。換金だけじゃなくて街の案内もしてくれるなんて。」


「え?…あ、別に良いですよ。逆に普段はあんまり街で買い物とか出来ないんですけど、ケンラさん達の為にって言ったら普通に送ってくれたし。」



「あの鉄製の自動車?凄いですね。1度解体して内部構造を知りたいです。」


「知ってどうするのよ…。向こうじゃあれだけの金属加工技術無いでしょ。」



そう、異世界では魔術が使えないかわりにあらゆる『技術』が驚異的にまで発達していたのだ。


向こうでは透明なガラス等高価な物が異世界ではあらゆる場所に使われている。しかも薄かったり、湾曲しているものまである。


建材も見た事が無いものばかりだ。異世界では木やレンガは『味がある』と実用性以外の価値観で使われている…。


また、情報技術と呼ばれる物も驚異的だ。魔術を用いた念話や遠隔視、結晶など別の媒体に知識を記したり、それを読み取るなど複雑・高度な魔術で行う事を異世界では手のひらサイズの端末1つで全て出来る。


更にはその端末を持っていない人はほぼ居ないらしい。つまりその技術はなんてことも無い、身近にあって当然のレベルまで浸透しているという事だ。



「魔術もいつかはこの次元に到達出来るでしょうか?。今からでもオーフェシアは科学技術の発展に力を注ぐべきだと思ってしまいました。」


「同感だ。どうやら魔術は瞬間的な破壊には向いているが恒久的な発展は苦手らしいな。」


当然街中で戦闘行為を見たわけでは無いが…少なくとも発展の分野で魔術は眼前に広がる科学に届きそうに無いと思ってしまう。



「私達は魔術師ですが…国の為にはやはり科学の発展を進言すべきなのですかね?。」


ミシェーラも珍しくガルと同じ意見らしい。


進言…つまり国政に関わるもの達へ科学の発展に注力しろと言うわけか。



「恐らく取り合って貰えないだろうな。今のオーフェシアは情報や技術を1部の限られた人間が身につけ、それ以外の人間を緩やかに束縛する事で王政や貴族による統治制度を円滑に行っているからな。」


見渡せば分かる。衣服、自動車…街ゆく人々がそれぞれ違ったものを身に付け、乗っている。もはや技術は市民の生活支える土台から市民を『個』として色付けする何かへと昇華しているのだ。



「好きな仕事をしろ、自由な技術を学べ。そうやって一人一人に技術や情報を自由に手に取れる様にして、街が上手く回るようなら…もはや『管理者』である貴族や王族は要らない。管理が要るとゆう名目で私服を肥やすヤツらが国政を担ううちは…少なくともこのレベルの科学技術は実現不可能だ。」


「アンナさんが聞いたら怒りそうですね。」


アンナが聞いたらか…あいつは騎士としての忠誠やらうんたらかんたらに囚われているが、根は優しく聡明な女のはず…。まあ、この景色を見れば価値観が大きく変わるかもな。



「あのぉ。そろそろ街を見て回りませんか?。まだまだいろんな物がありますよ!。」


楽しそうな美咲。そんなに街の案内が楽しいのか?。


「まあ、今は街を見て回りましょ?。美咲ちゃんも張り切ってくれてますし。」



「…そうだな。俺たちは休みに来てんだから…面倒くさい事は考えないでおくか。」


美咲を先頭に歩く3人。もはや賢者とその弟子では無く、3人の仲の良い兄弟姉妹として異世界に暮らしているかのようだ。



「…あっ。結局アンナさん来たのかな?。アンナさんの服も買えばよかったかもしれませんね。」


「んあ?…まあ、いんじゃない?。今度来た時にまた買いに来よう。」



その後俺達は街を回り、いろんな物を食べ、様々な物を買った。


その際に美咲と美咲のお父さん、おじいちゃんとおばあちゃんの協力であの高性能な端末とネットと言う通信網を使用する権限を買った。




「むふぅ…。異世界満喫したわ〜。当分は賢者貯金崩してこっちで暮らすか〜。」


「確かに。これは長期間の調査が必要ですね。」


「お洋服が色々な種類あって楽しいなぁ。異世界って女の子に優しい世界なんですね。」



ガラガラ…引き戸が開けられる。

「お〜い。せんべえ食うかぁ〜。」


「「「はーーい!!。」」」


今日がこの3人の自堕落な異世界生活…その始まりだったりする。

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