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ほうき星の素  作者: 萩原 學
9/50

通過

いつか君が言ったとおりに

夢のかけらが零れ落ちて

受け取る地面が震えるとき

夜が引き裂かれる

バールか猫の爪のようなもので

しかたなく起きて火を灯すと

戻らない自分を探して

ビルの谷間を巡り歩く

誰も居ないとわかっているのに


道の終わりに現れる渡れない橋

アルミホイルを敷き詰めたように

水面はちらちらと待ち受ける

手を伸ばせば掴めそうな錯覚を振り切り

次の目的地へ急ぐバスに乗る

バスは水上を走ろうとして

やがて水面に没し見えなくなる

僕はそのバスに乗ったまま

なかなか見えてこない行先に苛々しながら

水を飲みたいなどと考えている


重い地響きを立てて

バスが交差点を通り過ぎると

うろつく影が色濃くなる

オートバイに乗ろう

連れて来た影は後ろに乗せて

地球を一周して戻ってくるまで


ふと目を覚まして起きる

何か忘れているような気がしてならないが

忘れるようなことがあったか思い出せない

何となく左手を見て

食事を済ませ身支度をする

窓の外にはいつものように

深淵が口を開けている

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