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交叉
黄色い電車に白い鳩
黒い上着に赤いTシャツ
ゆっくりと近づく袋を持つ人々
物言わぬ風見鶏と門を守る獅子
すれ違う瞬間 宙を跳ぶ
目を閉じたまま踏切を過ぎる
見えない噴水と花火
聞こえない大歓声
どうせ見えないのならとナイフを投げる
コンクリートの壁に弾かれる
青白く笑う蛍光灯
ナイフの立てる音はリズミカル
取り残された僕にできることといえば
せいぜい血を吐いて笑う程度
立ち上がり糸を引いて歩き出すと
誰かに遮られた
ような気がした
GAGA #29 2003年12月