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ほうき星の素  作者: 萩原 學
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一日

--

バケツ一杯に夢を汲んで運んでいたら

波を打って零れてしまった

慌てて拾おうとする僕の手をすり抜け

夢は雫となり雨に変わり

固い地面に落ちていった

だから雨水をそのまま飲んじゃいけない

それは誰かの悪夢かもしれないから


--

短い悲鳴を飲み込んで

日時計が南中する

僕はまだ坂を上りきっていないのに

振り返ると街は白く霞み

たぶん明日の夜は晴れるだろう

でも誰ももうそこに待ってはいないだろうし

僕は此処から動けない

どうしようもなく見上げると影が横切り

遠くから汽笛も聞こえてくるのに

そこかしこに昼餉の用意も調ったらしく

食器の音さえ響いてくるのに


--

18階建ての塔を風が鳴らすとき

その下を歩く人間は波の音を聞く

乗り出した海の色はあくまで黒く

敵意の欠片すら見せてはいない

割れ鍋に蓋をするような雨雲を思い出して

家路を急ぐ人々を風がさらうとき

時を告げる鐘が鳴る

おまえは此処で何をしているのかと

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