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ほうき星の素  作者: 萩原 學
49/50

もう後3分しかない

残り少ない夢を齧りながら

僕の帽子が外へ出る

拍手喝采

逃げ出せない

桜の花が舞う

あわてて走っていき

ふと此処は何処だろうと考える

気がつけば桜吹雪の下

祖母の墓の前

扇子を開いて母が舞い

父はエンジンをかけている

僕の帽子は?

弁当を食べるのが嫌

ふわふわと揺れ動く

振り子があちこちぶつかる度に

部屋の四隅から外れていき

ついに床が外れると

その下には何もない

青い青い青い青空

仰ぎみる陽射し

扇ぎやる春風

では灯をつけて

真昼の中にうずめられた

白い罪を探すため

先祖代々のガラクタの中から

売れそうな遺産を見つけ出すため

日が昇り日が沈みするうちに

乾涸びてしまった君のてのひら

からからに乾いてしまう前に

夢を走ってみないか

何もかも忘れた頃に戻ってくる

どうもそんな気がしてならないから

ところで今目の前にあるこの海を

何処へ持って行こうというのだろう

携帯にはあまりにも不便だ

後ろ足を高く掲げたままでは

せめて波と波を重ねて折り畳み

ハンケチのようにしてお持ちなさい

結局は水筒から溢れてしまうが

そうこうする間にも

花びらははらはらと落ちかかるではないか

砕かれた骨のように白く

寒そうに飛ぶ蝶より頼りなく

ひらひらと舞い踊る

粉雪よりも軽やかに

蒸発する

僕の脳みそ

僕の味噌漬け

喰えない奴!

まだ生きているが

風邪を引いてもいる

目を回している

回らなくなった時計

回り続ける地球

地球に乗って回っている

めぐり来る風の中

誰かの声がする

もう1度

もう1度と

では

行ってらっしゃい

また来年

GAGA#16 1997年6月

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