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分裂
夢を見るばかりで走らなくなった とあなたに言われたら
僕はどんな顔をして答えたものだろう
三年前には腰からも首からも夢をぶら下げ
両手いっぱいに言葉を携えて歩いていたのを
山奥の洞窟ですべって転んだ際に
コウモリに全て奪われてしまった とか
群れなして突進するイノシシ一家に慌てふためき
這う這うの体で夢が逃げていった とか
線路の付け替え工事により特急列車が頭の中を走るようになり
うるさくて寝られやしない とか
海水浴に行くと言って出かけた夢が
自転車を持ち出したまま帰って来ない などと
到底あなたには許してもらえないような理由ばかりだ
ろくろを回す代わりに手ごねする陶匠でもあるまいし
手間をかける割には冴えないことばかりだ
いずれにしても僕の日常は走らなくなっており
スロットルを開けて改善を試みているのに
孤島の急勾配をバスが上るように前には進めず
たぶんあなたの助けが要るのだが
まあ要するに言い出しかねているわけだ
あなたが僕の夢である以上は。
GAGA#28 2003年5月




