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予想
遠い未来の思い出に
無作法な鳩が巣をかけた
大切な皿や鏡を壊されてはたまらないから
トゲのついた棍棒をもって追い払おうとすると
鳩の両親が絶叫することには
卵を壊すな 夢を壊すな 我々の生活に手出しするな と
そうは言っても僕には僕の生活があるというもの
せっかくの思い出を鳩のフンごときに汚されてなるものか
鳩どもが居なくなるのを見計らって
その巣に火をつけようとして
予想外に丈夫らしくなかなか火がつかない
奴等が帰ってくる前に勝負をつけようと
ガソリンなどぶっかけてやったところ
このたびは火の勢いが少々強すぎたらしく
肝腎の思い出まで勢いよく燃え始めてしまった
しまった ここには消火設備がない
思い出の中の海や池はあの山の向こうにあって
バケツを抱えて走ってもとても間に合いそうにない
為す術なくそこに立ち尽くしたまま
僕は僕が焼け落ちる有様を
異国から来た人のように見つめているのだった
GAGA#28 2003年5月




