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半分
秋が出かける
風が葉を揺らし
まだ何も書かれてはいないが
ひっそりと笑う声
優しげに盛り上がる声
聞こえないように告げる声
埃のように枯葉色の蝶が舞う
誰もが見ないふりをする
火葬場から上がる煙を見てしまったように
だが青空は何も言わない
鬼のように西日が照らしつけるとき
大事なことを思い出したように
人々は竈の支度を始め
初めて見たように家族を迎える
見ていなかったものは告げぬまま
何かをかき混ぜる音
珈琲の香りと音楽
ただ明日を迎えるためにだけ
日が沈み月が上る
その半分が欠けているのだが
GAGA #61 2014年12月




