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昼の月
近づくにつれていよいよ遠くに見える
曲がりくねった道はどこまでも
月は天の中点を過ぎて
忘れられた文字を歌おうとする
古き者共が地の底から叫ぶ
懐かしいけれど不吉な眼差し
パンフレットを広げる長い髪の女
大気を切り裂いて進む
山腹を切り開いた家々
駆け上がる段々畑
子供たちは並んで走っていく
金のかからないレースのよう
種類を増していく魚たち
素晴らしい勢いで切り刻む
練達の料理人が振るう包丁のように
群れなして飛ぶ白い羽根の赤トンボ
青空に唐辛子すいすい
もう一度振り返ると
月はそっぽを向いている
GAGA#30 2004年4月




