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初夏の2篇
旅行
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傾きかけた陽射しがバルコニーに輝く
ショートヘアの小柄な子が手を振っている
さきほどから携帯電話が鳴っている
変電所は空電音を立てている
僕の行先はまだ遠く
日が暮れるまでに着けるかあやしくなってきた
銀色のドアは閉じたり開いたり
先生がいないときの幼児のように落ち着きがない
船のように揺れながら南を見ると
女の子が眼鏡を外して微笑んだ
不均衡
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板のように平静な顔をしたあなたが
にわか作りの哲学者のように僕に問う
言葉といのちとはどっちが重いのかと
あなたと他の女の子を比べるようなものだ とは
さすがにうっかり言うわけにはいかないから
こう言ってごまかしておく
空いっぱいの星と今宵の月一つと
いったいどっちが明るいのかね?




