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舌先三寸の歌
昨日の味を忘れてしまったといって
僕の舌先は傷心の旅に出る
舌を日用に使う僕としてはいたく困るので
馬鹿め戻ってこいと叫んだつもりが声にならずに
案山子のように目を白黒しているばかりであったから
現実は知らん顔して歯を磨いているし
疲労した理想は三年前からうずくまって出てこないし
これはもう手の付けようがないという奴か
しかたなく鉄板を熱く焼いておいて
現実めにぶっかけてやったところが
熱湯は僕の部屋いちめんに降り注ぎ
部屋は丸ごと海になり
猫やネズミはあっぷあっぷ
小手をかざして水平線を眺めると
僕の舌先はボートに乗って日光浴
そこで手を100キロも伸ばして引っ捕まえると
舌先は僕を丸め込もうと抵抗するものだから
ほれ、このように丸まったまま
三寸ちかくも伸びてしまったのだ
GAGA #23 2000年12月




