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ほうき星の素  作者: 萩原 學
19/50

血と鉄とプラスチックと

ひんやりした鉄のノギスを当てる

潰えた夢を読むように

軽いプラスチックのノギスを当てる

ポケットに入れたネジを巻くように


開けたばかりの穴を計る

掘り過ぎて突き抜けてしまわないように

よくわからないネジを計る

穴に合わせて動かなくするために


できるだけ丁寧に、ノギスで計る


写真に撮った星月を

てのひらに握りこんだ貝殻を

暖炉に載せた兎の耳を

もう帰らない靴音を


そうだな、墓にもノギスを供えてほしい

動かなくなった奴でいい

計ってみないと確かなことは判らないから

計ったくらいで何が言えるという訳でもないけれど


月を見上げ、また目盛りを読んでみる


ミスした、気がつくと掌を切っていて

材料とノギスをみっともなく染めてしまって

洗えば落ちる汚れと判っていても

黒い悪魔のように溜息をついてしまう


自分の血が夢もなくただ黒く汚く固まる

別にいいけど不正確なのは御免こうむる

少なくとも人生の一部は美しく精確に

と願っても、もう誰にも会えないか


今は一人、山を降りるばかり

ほら、あんなに美しく輝いている

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