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春分な気分
さてそれが何であったかというと
精確に答えるのは難しいのではあるが
覚えていられない程遠くから
見つめる瞳は別段優しくもなく
かといって無慈悲な夜に放り出すこともなく
水加減は春先にはまだ生温く
笑いもせず怒りもせず立ち尽くすばかり
若いうちにはそれだけで興奮もしたものが
腰を下ろして見ているくらい
節制を身につけたのでなければ枯れ果ててしまっただけか
水もただ生温く流れるだけか
かしこにカラスも鳴いているのに
空気ばかりが温かくなってしまったのに