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資源回収センターの春
十六夜の月があまりに綺麗だったから
思わずお皿を落として割ってしまってから
血も凍る季節が続いたから
東の山に漸く朝日が昇ったから
新しいお皿を月に照らし
新年明けましておめでとうございます
誰も居ない居間に向かって告げた
もはや誰のためでもなく
どうやら春が近づいて
白いお皿が日に上り
黄色い月が道を指し
どうしよう、また割っちゃった
欠けた月のような茶碗とへしゃげた笑顔のようなスープ皿
曇り空に差し上げて少しだけ後悔してみた春
GAGA#65 2016年5月