表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほうき星の素  作者: 萩原 學
15/50

フォルムへの試み

意図して長くした行があるので、できるだけ折り返しがないように表示してください。

そうめんのように長く伸びる詩

-----------------------------

そこにあるのはただうつろな形をしたばかりのいくらか凸凹とした

まだ何物でもない何かをたたえるためのうつわの中の白い物ども

生き物ではなく死んだわけではなくただ物は物として寝そべるばかり

あの山の向こうからこちらの海にまで至るほとんど宗教的な情熱を

宇宙の誕生のような膨らませ方で冷たく激しく煽った自覚はあったものの

まだ名付けられていないものの名を呼ぼうとしてふと振り向いたときのように

寝そべるものを手にするには到らないことに気がつくにはあまりにも遅すぎたのだった


--

鏡の裏に夕べの陽射し

トイレの壁には上弦の月

雨ばかり降る日の王様のように

ある日すべてを引っくり返す

すなわち裏側から入ろうとして

またしても鍵を落としたらしいと気づく

明るい表通りからは子供の声、物売りの声、酔っ払いの声

そちら側へ戻らなくてはと焦れば焦るほど

落とした眼鏡と鍵が見つからない

橋の上にも川の中にも

遂に影が失くなるまで


天地創造

--------

まだ足元に何もないから

これから何を造るのも自由

しかし歌ばかり歌いすぎても

向こう岸に届くものは増えない

一日に三度食事するとも限らない

日本の野球は今回世界一になったが

いつも勝ってばかりいたわけでもない

日頃から汗を流す必要があるからといって

運動してもケーキを食べ過ぎれば太るだけだ

そんな具合に現実から逃れようと空を飛んでも

いずれは着陸して悲惨な結果が待っているだけだ

足取りが揺れているからといってそう見つめないで

空の星を取りに行ってもそんな顔はしなかったくせに

まだ足元に何もないから不安定なのは仕方ないだろうし

周りに誰も居なけりゃその誰かを造るしかないじゃないか


だから、まあ

つまりそういうことだ

ベッドは用意しておいたから殴らないで

GAGA #69 2017年9月

GAGA #54 2012年8月 縦書きでないと、鍵の形に見えないかも。元は印刷用に書いたので気にしなかったけれど。

GAGA #36 2006年6月

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ