異世界の娘、ニッポンに立つ。
あの娘はいつになったら嫁の貰い手が付くんだろうねぇ…。
あのままじゃ、30歳になっちまうよ?
って、ばあばは言っているけど、私は結婚する気はない!
彼氏がいた事もあったけど、実際楽しかったのは彼からアプローチされてた間だけ。
交際を始めたら付き合う前はしてくれていた気遣いや、誕生日を祝ってくれる事も無くなった。
ニッポンではそういうの、釣った魚にエサをあげないって言うんでしょ?
30歳を迎えた日、私は近所の聖堂で未婚の意思を伝えて儀式を行った。
そして、願った。
目をつむり、祈りを捧げた。
魔法が使える少女『魔法少女になって異国の人を助ける存在になりたい!』って。
目を開いたら、目の前には真っ白な天井が見えた。
「…知らない天井だ」
どうやら転移は成功したようだ。
けど、体が動かせないのは何故だ?
「え?花梨ちゃん…いま、喋った?」
カリンと私に呼び掛けてきたのは、20代後半だろうか?ウェーブががった長い栗色の女性が大アップで私の顔を覗き込んできた。
「…え?」
「…え?キェェェェアァァァァァァシャベッタァァァァァァァ!!」
それが、生後6時間でしゃべり出した赤子と院内で有名なってしまった私、
鈴木花梨の爆誕である。