第十七話 さようなら、さようなら
結局、俺たちは記者を装った男性や、包囲していた勢力を全て撃退したのは、明け方頃だった。
「ふぅ、<索敵スキル>には敵影は無し。お疲れ」
俺は労いの言葉をかける。
「やっと朝か、ながかっったあぁ......ぐうぅ」
奏は緊張が解けて、ゴートゥードリーム。
ケロベロスさんはというと、
「蓮様、奏さん~」
こっちもゴートゥードリーム。
「...風邪ひくよ、お二人さん」
俺は偶然見つけた古い掘っ立て小屋に二人を寝かす。
「さて、俺は俺でやれることをするとしますか」
そして、昨日の戦闘というより、一方的な虐殺現場に足を運んだ。
昨日の戦闘で俺も加わらず索敵に努めたのは、伏兵に備えていたのもあったが、もう一つは、
「あの時の違和感がな」
何故あの記者モドキは、俺に手帳を読ませたのか、それが分からなかった。
「あれを読ませず、とっとと口封じすればいいのに...何であんな回りくどいことを」
手帳をペラペラめくりながら考えていた時、蓮のスキルの一つが警鐘を鳴らす。
「なっ!まさか、この手帳が古代魔」
途端、俺の意識が得たいの知れない何かに書き換えられる...
体に力が入らず、崩れ落ちる様に倒れる中、
「くっ、そが...」
意識がかき消される。
........
森で倒れていた青年は人形の様に不気味に立ち上がる。
その瞳はビー玉の様に虚ろで、森の奥に奥に、フラフラ歩いていく。
....その手に不気味に光る手帳を持って。