第十六話 死人に口なし
俺-蓮は<索敵スキル>により、ケンカしている二人より速く気づくことが出来た。
「なぁ、もしかして、魔物か?」
「いや、魔物じぁあない」
俺は奏の質問に答える。
(ケロベロスさん、魔物じぁあないが、この配置。たぶんですが...)
(成る程、その可能性は高いですね)
俺は小声でケロベロスさんに自説を言うと、ケロベロスさんも支持した。
「はぁ、はぁやっと追い付いた。はぁ、一条蓮さんですね」
俺たちが相談を終えたタイミングで、一人の男性が息を切らしながらやって来た。
体つきが良くがっしりとしている。
「はい、そうですが。どなたでしょうか」
「はぁ、自分はフォリオンの記者だよ。君にあいに村まで向かったんだが、
書き置きを残して出ていったと聞いて、後を追ったんだ」
記者の話を聞き、
「それは、ご足労をおかけしました。...それで、何で俺を追ったんですか?」
記者は、「ああ、そうでしたそうでした」と言いながら、手帳を出す。
「自分は今、護国の英雄である一条薫氏の最後と遺言で記事を書いていまして」
記者は一旦言葉を区切り、手帳を渡す。
「これを見て、あなたの意見が聞きたい」
一瞬、とてつもないプレッシャーに襲われる。
俺が意を決して、手帳の内容を見る。
「...一条薫氏は、ベルロア帝国第二師団と共闘していたが、魔物の軍勢により、
その命を落とした。薫氏は、死ぬ直前“フォリオンに軍備があれば”と言っていた。
それに対し、フォリオンは亡き護国の英雄である一条薫氏の思いを無駄にしないため、
ベルロア帝国に常駐軍を頼み、軍備拡張をすることを発表した」
俺は読みあげた文を見て思う。たぶん、ケロベロスさんや奏も同じ気持ちだろう。
「なるほど、よく考えられたシナリオだ。事実が書かれず、ベルロア帝国の侵略行為も
こうすれば他国も文句が言えない。だが、イレギュラーは、俺が現場を目撃したこと」
記者を名乗った男性は顔を伏せていたが、不気味に笑い出す。
「くくっ、くくくっ、さすがだね。一条氏の養子殿」
男性は、内ポケットから拳銃をとりだ、
パアアアァァァン
それより速く、ケロベロスさんが男性の影から上半身を出して、拳銃を奪い発砲!
「ぐうぅ!」
心臓を撃ち抜かれ倒れる男性に向かって、ケロベロスさんは、
「その矮小な身で、我が主を不快な思いにさせ、挙げ句命まで奪おうとした罪、ゆっくり懺悔しなさい。
...そ·れ·にぃ、薫さんを殺した挙げ句、それを利用するなんて死者を侮辱するとはねぇ。
...地獄の番犬の名にかけて、貴様ラ全員ヲ死ノ終ワリノ無イ苦痛ヲ与エテヤル!」
!?ケロベロスさんが怖い、めちゃくちゃ怖い!キャラ崩壊してるって!二重人格者かよ!
その後の戦いは、最早、虐殺、鏖殺だった。
...ケロベロスさんが虐殺無双していた。俺は<索敵スキル>で敵の位置を教え、新手に注意し、
奏は、最初はケロベロスさんと虐殺無双していたが、途中でダウン、まぁ、女の子だから。
実は、挿し絵をあげたくて、みてみんにあげたのですが、(様子見で一条薫と一条蓮)小説にどうやってあげるんでしょうか。機器は操作が、めちゃ難しいです。