仲間を増やそう。
「では、栄光ある我が魔王軍の新しい仲間を造りましょう。ルビーアイ将軍、志願兵をこちらへ」
「はっ!ほら、魔王様に拝謁が許されたぞ!おい、こら暴れるなッ、あだだだっ。」
あれから、ルビーアイには新たに魔物へと変造する候補となる生き物を捕獲してきて貰っていた。
「ぢぢぢゅーーーぅぅっっ!」
「はっはっはっ、今年の志願兵は元気がいい若者ばかりではないか、ククク、このマナを注ぐ右腕が鳴るわい。」
「あいただだッ!こら齧るなというに、、うぉ、私の指を食べるな!、、魔王様、お早く!」
うーん、ノリの小芝居はこの辺にして捕まえて来て貰った生き物、、THE ネ・ズ・ミ先輩に右腕を伸ばす。
何故ネズミなのか、、そう問いかけるそこの君、まだまだだよ!ネズミ先輩の無限の可能性が分かって無いな?
ある某アメリカン直立二足歩行へと進化を遂げたネズミは莫大な富と権力を得た。遂にはそのネズミは自身を讃える王国を築き、人々はそのネズミを求めんが為に途方も無い財産を使い、時間と労力をかけて並んだり、その富に目がくらみ安易な模倣行為をした為に信じられないほど重い罰を与えられたりするのだ。
まさに、絶対不可侵なるアンタッチャブルな存在、、神に等しい、、。
うん。ごめん、ふざけすぎた。
本当は周辺調査および、斥候用の魔物の確保と繁殖実験が目的でした。
という訳で早速、マナインストール(マナを与える能力に名前を付けてみた。)!
候補①マナ10でラッタスラット ヴィーロックス
候補②マナ25でラッタスラット グラディオ
候補③マナ80でラッタスラット ソフィア
候補④マナ999、、破滅と災厄のミッ○ーマウス
はい、、何も聞こえていないし、見えてもいないよー、うん②番で決定だね。即答だよ、ほらほらもう早くマナ流れろよ、オラァっ!
そして唐突に溢れ出し炸裂する白光の中、黒いネズミの体は10倍以上に膨れ上がり、毛並みが針金のごとく硬質化する。
中でも、しっぽは大きくのびあがり、先っぽ部分が剣のような形状で固まる。
後ろ足が超発達したのか、二足歩行で立上がる。しっぽはベルトのように腰に巻き付けて、剣部分をその間に差している。
なんか、小っさい騎士みたいな印象だ。
「おはよう。気分はどう?」
「ちゅーっす!」
「うん、元気な挨拶ね。流石はネズミ先輩だわ。さて、あなたはどんな事が得意なのか教えてくれる?」
「ちゅっす!」
そう頷くとネズミ騎士は自分の剣尾をシュッと抜くとひゅん、ふゅんと型のような動きを披露した。
「ほら!」
そこへ、ルビーアイが拳大の石を投げてよこす。ビュッと一度腰に差し戻した剣尾を居合い抜きのように横一文字に振り抜くネズミ騎士。
石は流石に真っ二つとはいかなかったが、半分ほど刃が食い込んだ所で打ち込まれた方と反対方向へ、砕けながら飛んで行った。
「オオッ、小柄ながらもなんと力強い。これは戦力として期待出来そうですね!陛下。」
「そうだね、でも気になってる事が1つあるんだよね、、ねぇ、ネズミの騎士さん、1+1=の答を教えて?」
「ちゅーぅぅ?」
「じゃあ、この色は何色?」
「ちゅう。」
「文字や絵を描いたりは出来る?そのしっぽでいいから地面に何か描いてみて。」
「、、、ちゅぅ。」
やっぱりか、、。茜は腕を組ながら軽く握った拳を口もとに当てる。
これはそういう縛りではないかと思う。ネズミの騎士はこちらの言う事は概ね理解している。
しかし、ネズミの騎士からは理解出来るコミュニケーションが帰って来ない。十中八九、与えたマナの量が関係しているのだろう。
つまり、こちらから簡単な指示は出せるが、報告は出来ない、、一方通行なのだ。これでは周辺調査や斥候、伝令といった情報の受け渡しが出来ない。よって純粋な戦闘任務以外は全く期待出来ない。
茜は個体差があるかどうかが気になって、もう一度、ネズミ騎士を造ってみたが、反応は全く同じものだった。
さらに、その下のランクのネズミの魔物も二体生み出したが、こちらからは、反応すら返って来なかった。姿も元のネズミを2メートル位に巨大化した指示をきく魔獣だ。
例えるとこんな感じ。
マナ10+ネズミ=騎獣
マナ25+ネズミ=一般兵
ルビーアイ=特殊兵または幹部。
大分、能力の仕様が分かってきた、、、調査系の任務や部隊の指揮等を任せる魔物を造り出すにはマナが100前後かかる。現在の消費マナは170、残りは496、もしもの時に200マナは残しておきたいし0になったら死ぬかも知れないので、今使えるマナは250前後かな。
「ルビーアイ君、次の志願兵の皆さんをお願いします。プランCでいきましょう。」
「はっ。こちらです。」
差し出された、二羽のウサギとツグミ一羽に順番にマナインストールする、ウサギは80×2。ツグミは100で合わせて260マナ消費した。