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魔王をやるのも甘くない。  作者: 午前2時
4/9

初めまして陛下

膨大な光の炸裂が収まり、咄嗟に目を閉じてしまっていた茜がうっすらと目を開けた時、ただ、一本の食虫植物に過ぎなかった存在は驚愕の変化を遂げていた、、、草から少年が出来ていたのだ。


茜の前にかしずくように控えた緑髪の少年はゆっくりとした動作で顔をあげて私を見る。右腕で少年の肩に触れていたままだったので慌てて手を離すと少年は若干残念そうな顔をした後、口を開いた。


「初めまして、陛下。忠実なる貴女のしもべであるこの身にどうか名前を与えて下さい。」


優秀そうなしゃべり方、、、これは当たりをひいたかなと驚きながらも感じる。そして初めての配下となる少年に与える名前を考える。


これからも名前を与えるシーンは増えるだろうから安易に体の特徴から拾って行こうと決めて改めて少年を観察してみる。


緑の髪からグリーンヘア、いまいち。緑の肌からグリーンスキンとか、、コンドームか!うーん、そう言えば緑系で統一されてる中、瞳は赤くてキラキラしてるな、、レッドアイとか、ん!そうだ。

「ルビーアイなんてどうだろう?」

「ルビーアイ!!素晴らしい名前を頂き感動でこの身はうち震えております。これより私の名前はルビーアイ、陛下をお守りし、死する時には必ずや御身の盾となって朽果てる事をお誓い申し上げます。」


「よし、ではルビーアイ君。まず君に出来る事を私に教えてちょうだい。」


「はっ、陛下の為に粉骨砕身の働きで虫を取って参ります!!」


予想以上の忠誠心に頬を弛めていた茜はひくっと上がった口角を痙攣させて再度問う。


「ほかには~」


「どんな巨大なハエが来てもこの腕で捕獲してみせます!!」


「ほかに~」


「例え、強毒を持ったさそりが集団で来ても余裕です!!!」


「とりあえずッ!虫から離れろッ!!!!」


「ッ申し訳ありません!」


元からグリーンの顔をいっそう青くして、ルビーアイは平伏叩頭する。茜は額に手をやって重いため息を噛み締める。

失敗したッ、貴重なマナを大量に使ったのに手に入れたのは高性能虫取機とか冗談でも笑えない、、、、でも、まだ決め付けるのは早計か。


「ねぇ、さっき毒を持ったさそりが来ても大丈夫みたいな事言ってたけど、どうやって撃退するつもりだったの?」


「はッはい!!この頂いた力を用いまして強力な消化酵素を放てばどんな虫でもたちどころに溶けて討ち滅ぼす事が可能です。」


「ちょっとやって見せて貰えない?」


はっ!と返答し飛び起きるように立ち上がったルビーアイは両手をだらりと下げると手首の辺りから赤黒いゼリー状の塊を生み出し、ほとんど予備動作無いアンダースローで前方の大樹に向かって投げつけた。

ビュッビュッと風切音を鳴らして飛び出した酵素玉は信じられない速度で幹の真ん中に命中し、パパーンと弾けて飛び散った一面に白い煙とシィューと剣呑な音をあげていた。


「い、いかがでしょうか?」


びくびくとこちらを伺うようなルビーアイにさっきまでとは百八十度違う爽やかな笑顔で茜は応える、次、いってみようと。


結局、それから小一時間位のデモンストレーションでルビーアイの出来る事は大体把握出来た。文字に起こせば以下の通りだ。


腕は全部分が伸縮自在、鞭のようにしなり強度も十分あるので直接攻撃にも拘束にも使える。


手の部分で多種多様な酵素を生成可能、アンダースローで正確に標的に当てる事が可能。


赤い瞳は弱い幻惑効果があり、判断力の低下を誘う事が出来る。


足部分は根の変化体であるらしく瞬時に地下に掘り進む事が出来、また地下の水分を汲み上げ、体内でろ過して手の部分から放出可能、、これで飲み水問題は解決だ。


結果的にはかなり良い配下を得ることが出来たと言えるだろう、さしあたり飲み水の確保はサバイバルでは非常に大きい。


茜はニマニマしながら一端、拠点である洞窟へとルビーアイを伴い引きあげる事にしたのだった。

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