導入②
「茜には私の手伝いをして欲しいんだ。」
そう酷薄な笑みを隠さず、アテナイは切り出す。その代わり、その手伝いをした期間だけ君の寿命を伸ばすからと、、、。
「何をすればいいの?」
「私の世界を発展させる為に嫌われ役をやって貰うのさ、、魔王となってね。働けた時間だけ運命を誤魔化して今の世界で生きれるようにしてあげよう。」
「一年、魔王をやったら元の世界で一年生きられるって事?」
「そうさ、簡単だろ。」
ニヤニヤと笑う、アテナイから視線をそらし、少しの間考える。正直言って、選択肢は他にないのだから受ける以外に無い、、ただこの役割が簡単なはずがない。おおまかに言っても世界と喧嘩しろと言われているのだ。それも一人で、、とにかく情報を集めなくては、、。
「何か役割を果たす上でサポートになるような物はあるの?例えば、魔王という位だから特別な能力や、武器、軍団や参謀、お金とか、、それと嫌われ役っていうのはどういう意味なの、私は具体的に何をすればいいの?」
「ふむ、前向きで結構だね、1つずつ答えよう。まず、魔王の能力だがマナを対価に魔物が作れる、作った魔物を使役できる。武器、軍団、資金などは能力を行使して現地調達してくれたまえ、目的に関しては大きくは世界の発展だな、、なので、人類の絶滅などは厳禁だ。」
「魔物を作れるって事以外は支援がなくて、相手は全力で潰しにかかってくるのにこちらはある程度バランスを保つ、手加減プレイを要求されているように聞こえるんだけど、、、。」
「理解が早くて助かるよ。」
即答された内容に軽い絶望を感じて、胃の辺りがキュッとなるような不快感を覚える、実際にはもう無いので幻覚だろうけど、、。
「さて、説明は終わったし、どうやらヤル気満々みたいだから早速、送還してしまおう。魔王になっても身体能力は変わってないし、君が送還されてまる三年で人間側に勇者と呼ばれる化け物が出てくるから注意してくれ、特に勇者達は早期発見、早期駆除しないと手が付けられなくなるからね。」
「ちょっと、待っ」
あわてて会話を続けようとする茜にアテナイはバイバイというように手を振り、、最後に耳元で囁くように異世界で死んだら君は消滅すると告げた。