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* イラストを載せていますので、苦手な方は非表示にしてどうぞ。
あとがき
この度は「ミネルバ-望郷の町-」を読んでいただき、ありがとうございました。こうして話の決着がついたので、これを機に話の設定、裏話、反省、思ったことなどを外に出して自分の中の整理をしよう的なあれをします。こういうのを書くとあとでやっぱり消そうかなと思うこともありますが、それはその時まで置いておくとして……。このあとがきで話が完結した余韻が吹っ飛んでしまうかもしれませんが、(本編飛ばしてネタバレ必須のあとがきを読みたい奇特な方も、おすすめはしませんが)かなり長~いので暇つぶしにどうぞ。
▼ 全体的なこと
・動きやアクションが少なく、一対一の対話や会話がメインなことが多かったので小説というより「会話劇」みたいだと思っていた。そういうものしか書けなかった
・登場人物は基本的に嘘をつかないことを前提に書いていた
・イラストやコマ漫画を描いて、その設定が小説に反映されることが多かった
・過去の話や回想は長いとくどく思えるのでなるべく短めにした。あるいは本人ではなく他人の口から語らせた
・専門用語やカタカナ言葉もなるべく少なめにした
・意識していなかったが、夢オチを割と使っていた
・〈メイト〉は、迷人、mateの言葉遊び
・ここに投稿するにあたり題名が「ミネルバ」だけではよくないと思い、後ろに「望郷の町」をつけた
・「望郷」という観点から見ると、本編の主役は皆、ミネルバ町を故郷としない(思えない)ひとたち。主役の立場もうまくバラけて、色々な視点から町の様子や世界観を語ることができた
・伝えたいメッセージやテーマは無い。ただただ彼らを書きたかっただけ
・現在は三部構成だが、昔は四部構成だった
・アサギの前任者のI氏が第二部の主役で、コーラルの正体も第二部で判明する予定だった
・その後第二部がまるごと没になり、第三部が第二部に、第四部が第三部に繰り上げ。コーラルのことは第一部に統合
・異性愛、同性愛など性的指向やジェンダーに関連する言葉を結構気にしながら書いていた(例「異性として見ていない」→「恋愛対象として見ていない」/異性愛が“当たり前”ではない)。ただ世界観としては異性愛が“当たり前”とされている
・その割には(私の思う)ステレオタイプの女性(特にリエラ)が多かったので、私の傾向性だと思う
・ミネルバの世界の言葉ついて、英単語(カタカナ言葉/名前の例だと、コーラルなど)が出てくるが、司や読み手にはコーラル(珊瑚)の意味で聞こえているだけで、向こうの住民はコーラルと同じ意味の向こうの言葉で実際は呼んでいる、と思う。端的にいうと、小説の文章そのものが日本語としてすでに翻訳されているもの、みたいなイメージ
・別の世界の話なので、主役(視点者)によっては、日本的な例えの言葉を使わないよう気をつけていた(特に第二部と第三部)
・未だに、文章を改行したほうがいいのだろうか、改行してない旨をあらすじに書いたほうがいいのだろうかと悩む(改行は、エッセイやここではやれるのに小説ではどうしてもやりたくない)
▼ 初期から中期、決定稿前の設定
・最初期は「ミネルバ」という題名ではなく、「第七地区警備隊テルト」だった
・主役は司ではなくノアで、初期の性格は無愛想、すこし経って、いまと同じような性格になった
・剣士のヒロインがいたが、すぐいなくなった
・司はエセ関西弁のミネルバの住民で、アサギの前任者のI氏、サイラスの前任者のA氏とともに警備隊員でノアの部下だった。ミカゼという大工見習いの弟、ハヤトという悪人系の兄がいた。
・主役だった時のノアには、ギダと付き合っている姉がいた(姉がいる設定は決定稿でも残っている)
・その後、司が主役になり、口調も標準語になる。兄弟ではなく姉がいることになり、いまの異世界転移前提の内容になる(当時から普通にあった要素)
・司には美和という関西弁の友人がいた
・アサギの前任者I氏は、近付くなオーラを出す背が低いクールイケメン。〈メイト〉。司のことがすこし気になっていた。鎮魂祭では歌う場面があった
・サイラスの前任者A氏は、気さくな青年でI氏の親友。サイラスと同じで、呪い持ち
・リアの前任者H氏は、おっとりのんびり美少女。A氏が好き
・ライラの前任者F氏は、結構勝気なお姉さん。ノアがいるとテンパる
・彼らがアサギたちと入れ替わったのは第三部を書き終わったあと、番外編1を書く前
・ラセリア(シャノンの前身)という女性が、ギダの右腕である副地方司令官だった
・初期のスリプは明るく押せ押せな性格で、いまとは真逆だった。フックが大好きで、彼を追いかけまわしていた。フックは喜怒哀楽のある年頃の少年だった
・最初期からいたのは、ノア、フック、キミシア(領主の娘/いまと容姿が違う)、次に、司(と前任者四人)、ギダ、ラセリア(シャノンの前身)、リート(いまと容姿が違う)、スリプ、あとはいまの話の登場順
▼ 第一部 記憶の外の町
・司
・「記憶の外の町」という題名をとても気に入っている
・まったく知らない町に迷い込んだ司の、静かな不可思議日常記
・司の地の文は当初周囲への突っ込みが多かったが、書き直すたびに大人しく静かになっていった
・司は当初ギダのことをそれほど意識していなかったが、第一部を大きく手直しした時(2021年)は結構意識するようになった
・司の出身地を日本にする必要がないと思い、日本を示唆する言葉も省いていった
・文明の利器(携帯電話など)を持ち込まれても困るので、それらが絶妙にない時代か世界から来てるような気がしている。あるいは司がアナログ人間(はっきり決めていない)
・司が四章でアレリアに行かなかったら(ギダに会わなかったら)、ノアとフラグが立ってたんじゃないかなと思っている(体調不良で司がアレリアに行かない→司が心配なのでノアも行かない、あるいは途中で帰ってくる、な感じで)
・五章で、攫われた司をリートと共に見つけたのは前任者のI氏だったが、入れ替わりを機にアサギではなくサイラスに変更
・鎮魂祭の演奏会が中止にならず、司が踊り子として踊る場面があった
・七章でノアの本部に司たちが集まった時、当初サジタリスがいたが、司の特異な気配を(思い出して)ギダに話してしまう可能性があるので、アサギに変更した
・コーラルは最初期では本当に少年だったが、二度驚かせる要素がほしくて特異な能力+男装(少女)になった
・コーラルの男装時の友人は、ヘイエルダール、ゼギオンのほかに、ユークリッド、ラヴァスツという少年がいて、元々五人組だった
・サイラスの狼になる設定を活かしきれなかった
・リートにはソケットという相棒がいた
・音楽団団長ジンと、ギダの大叔父セルペンスの性格や口調が似ていて、明確に書き分けられていない
▼ 第二部 花と虫、あるいは
・コーラル
・ノア
・題名は「花と虫、あるいはりんご」だったが「りんご」を省いた
・第二部は端的に言うと、コーラルがノアのことを意識するための長大な前置き
・加えて、ノアの気苦労話
・安全地帯を体現したようなあらゆる設定もりもりのノアを主役にしたかった(ただの贔屓)
・ノアは誰とでも話せるので書くのが楽だった
・第二部を大きく手直しした時(2021年)、コーラルは反発心がなくなってより内向的な性格になった
・コーラルはギダに結構懐いている(自分に自信があるひとへの憧れ)
・ノアとギダの会話は、男同士の独特の雰囲気を意識して書いていた(表現できたかは不明)
・同じ場面をコーラルとノア、それぞれの視点で書くと面白いのではないかと思い、三章の3と5で試してみた
・人魚のリートと妹のエリジュの設定をもっと活かしたかった
・コーラル、スリプ、エリジュの三人で女子会をする予定だったがボツになった
・ゼギオンが司を殴って誘拐したことをギダが知っていたら、ゼギオンがどうなっていたかわからない
・ヘイルは、ノアとギダの性格を足して二で割った性格だと思って書いていた
・コーラルを誘拐したミランダは、ノアと対比して書いていた。自信家で強引、ひとの言葉を受け入れない
・ボツ設定ではノアの前世があり、ロルカという名で目が見えず、憎しみのうちに死んだ青年だった。ボツになった折、目が見えない設定は少年期のギダに移った
▼ 第三部 保たれたもの
・ギダ
・当初の設定では、司は本当に“向こう”に帰り、第三部で記憶喪失になって再び来る予定だった
・その後の変更で帰っていないことになり、記憶喪失でミネルバにいた記憶がない
・総務課のククラが実は司で、シャノンの魔術か何かで周りに正体がわからないようにしていた
・ククラは領主の秘書だったり、ギダの秘書だったこともあった
・話が進んでギダが気づき、手帳を見せて記憶が戻るかと思いきや戻らず、それなら一から関係を築けばいいや、的な感じの話だった。司の姉も精神体か何かで出る予定だった
・ギダも骨とか折れる予定だった
・「ククラ・ドリー」の「ククラ」はロシア語のクークラから、「ドリー」はドールから取った。どちらも「人形」の意味
・上記の設定よりも前の設定では、ギダが司と共に“向こう”に行くエンドも考えていた
・これらの設定は第三部執筆前にすべてボツになった
・ミステリー要素を入れた、ミネルバの総括話。伏線回収
・ミステリーや推理ものを意識して書いた(表現できたかは不明)が、推理ができるほどの材料は置けていないのであくまで「ミステリー風」
・ファンタジーの世界でなんでもありな感じなのにミステリーなんて成り立つのかと思っていた
・復讐の要素をもっと活かしたかった
・サブとしていい立ち回りをしていたギダが主役をやれるのかと心配だったが杞憂だった
・ギダは上司として、思っていたよりもちゃんと仕事をしていた
・エマは第三部執筆直前に、ククラ以外の総務課のメンバーと共に生まれた。執筆途中に司の姉という設定が追加された。姉は本来司と歳が離れている設定だった
・それまでは「司の姉」と「エマ」は別人だった。「姉」は死ぬことになっていた
・そのすぐあと、不思議な流れで死ぬのが司になる
・五章の司の例のシーンはボロクソに泣きながら書いた。死なせるのはやはり最後まで迷った
・司がギダに抱いていたのは、恋愛四割、親愛、信頼などが六割。好意も嬉しかったし、心の拠り所にしていた
・司が暗く前向きでない様子なのは意図的。死を前にして明るくできると思えず、綺麗に終わらせたくなかった
・シャノンの母カンドラのことは、まったく別の話の中の一部としていつか書きたい
・エルフを除いて、話の中で一番背が高いのがギダ、一番背が低いのがリエラ
・「ギダ」という名前は設定上偽名だが、作者にとっては最初につけた「ギダ」が本名
▼ 番外編1 求婚
・コーラル
・ノア
・番外編は基本的に恋愛要素が濃い。本編ではほどほどにしていた
・今度はノアがコーラルを意識するために書いた。ノアが外堀を自ら埋めていくような話
・形から入ってもいいじゃない
・見当違いなような手紙の内容だけど、ノアは到って真面目
・それぞれの恋愛観、結婚観が浮き彫りになって面白かった
・コーラルがどんどん乙女になって可愛かった
・余裕のある大人が動揺したりどぎまぎしたりするのがなんかいい
▼ 番外編2 縁談
・エマ
・ギダ
・見切り発車で書いてものすごく苦労した話
・エマの性格が掴めなくて四苦八苦
・アレリアの富豪の結婚観も紹介しつつ、妹の思いびとを好きになったエマのジレンマが焦点
・縁談相手のユリスの家での舞踏会では、ギダが途中で乗り込んでエマを連れ帰る場面があった。ドラマチックでヒーローじみたことを書きたくなくてボツになった
・エマが自分の気持ちを自覚しているのかしていないのかで結構悩んだ
・司、エマ、ギダの三角関係で作者が七転八倒
・良くも悪くも司が関係したことでエマとギダの関係が変わった。それまでは本当にただの上司とただの部下(すこし上司に憧れているくらい)だった
・ギダは、司とエマの扱いが結構違っていて、別の存在として見ていることに作者がほっとした(好きなひとから誰かの面影を重ねられることほどむごいことはないと思うから)
・ミネルバは番外編2で終わるはずだった。ここに投稿しなければ番外編3以降の話はなかった
▼ 番外編3 エルフの里の守人
・リエラ
・アクイラ
・唐突にネタが浮かんでコマ漫画として描き、その後文章に書き起こした、ギダの祖父であるアクイラの随想録。前半がリエラとの馴れ初め、後半が家族や一族の話
・エルフの里やアクイラたちの設定は二割くらいしか決まっていなかったが、この話で残りの八割が決まった。アクイラ四兄弟の関係が拗れまくった
・サジタリスが星座から名前を取ったので、四兄弟も星座から取った。わし座、ぎょしゃ座、こうま座、へび座。音読した時の響きで決めたので深い意味はない
・アクイラは、書き進めても格好いいところしか出てこなくて困った(現在は捻くれているので)
・リエラの性格とエマの性格が似ていて困った。書きわけができていないかもしれない
・若い頃のアクイラは町の図書館に通っていて、そこで「窓辺の君」と呼ばれて密かにモテていた
・現在のアクイラは親族や里の者には当たりが強いが、他人には割とふつう。やや愛想がないくらい
・里長としての対外交渉や現在に到るまで森全体に施した迷いの術、短期間での霊薬作りなど、アクイラは歴代の里長の中でもハイスペックだったが、霊薬を盗まれたことで里の者に正当に評価されていない。エクレウスとセルペンスはそこに憤っている
・森の守人の家に生まれた男児が「ガーランド」という名前を継ぐが、男児がいないまま十年経つと女児が名前を継ぐ(ミドルネームとして)。「ガーランド」という名前は守人になった初代の名前で、実は人間の女性
▼ 番外編4 アルハの恋
・アルフリーダ
・セルペンス
・番外編3を書いている時期に思いついて、同時期に書いた
・アクイラの弟セルペンスと、その妻アルフリーダの馴れ初めの話
・アルフリーダのなけなしの勇気があったからこそ、運が味方し、セルペンスも応えた
・どちらかが片思いで、どちらかが恋愛感情は薄いけど一緒になるパターンが好きらしい
・その後、恋愛感情がどんどん大きくなって、そのことに振り回されるのが好みらしい
・厳密に言えばセルペンスはちょっと違うかもしれない
・恋愛感情というより、純粋な好意、親愛、信頼のほうが強く、本人には区別がついていない可能性がある。区別をする必要性もないのかもしれない
▼ 番外編5 いまは遠き、子守歌
・サジタリス
・エクレウス
・初恋はアクイラだったサジタリスの話、兼、アクイラの弟エクレウスの紹介
・番外編6に組み込むか迷ったが、番外編6のはじめを夢の話にしたかったので分けた
・サジタリスは当初、リートとフラグがあったがボツになった。いまはよき(?)同僚
・当初は「ヴィクトリア・サジタリス」で、ヴィクトリアが名前だった
・名詞としてはサジタリウスが正解だが、なんか嫌で、サジタリスで定着した
・エクレウスは常識人の予定だったが、書いたら長兄命の変人になった
・ソルヴィエは当初女の子で「シルヴィア」だった
▼ 番外編6 君に――キミに。
・ギダ
・エマ
・番外編2が書き終わったあとから時折描いていたコマ漫画の内容をひとつの話にまとめようと発起
・最初に「2、後始末」の内容を半分くらいを書き、それ以降一年間書けず
・コマ漫画の時の内容どおりでなく、かなり変更している。漫画だとコミカルに、文章だとシリアスになりがち
・十二ヶ月の間の話で、一ヶ月にひとつのエピソードの予定(全部で十二)だったが、最終的にはエピソードが倍の数になった
・いつの間にか「きみに、きみに」という言葉(音)が頭の中にあり、ほかに題名が思いつかなかったので「君に――キミに。」と改め、題名にした
・番外編2はエマが焦点の話だったので、今回はギダが焦点の話。一族を掘り下げ
・全体的に見るとギダの心の整理がメインだった
・ギダは照れたり恥ずかしがったりしないことを念頭に書いていた
・エマにもっと動いてアピールしてほしかったがうまく書けなかった。未だにエマを書くのは苦手
・懐中時計は司に渡した時は止まっていて、エマに渡した時は動いていて、意図して書いたわけではないがちょっと皮肉だなと思った
・スミスがさらに悪者になってちょっと気の毒だった
・コーラルとノアは、結婚式も書けたし、その後も書けるところまで書いたのでとても満足
・コーラルとノアは、想定していたことが書けた
・エマとギダは、想定していないことが書けた
・ゼギオンはもうすこし改心するかと思ったけどそんなことはなかった
・漫画やドラマ等で最終回近くになるとカップルが乱立する現象がすごく嫌いで、そういう目線からライラの話はなんとなく気が進まなかったが、書いたら書いたでなんかいい感じにまとまった
・恋愛の成就で物語が終わる(まとまる、あるいは完結する)ことに抵抗があった
・エマに対して、ギダは最終的に恋愛感情が半分くらいには増えて、残り半分は親愛、信頼、執着
・結婚に対する時代背景や価値観が違うので、恋愛感情だけで突っ走って結婚するひとは少ない
・ギダのプロポーズの言葉を書いてみて、彼は、向かい合わずに、同じ方向を見て、隣に立って生きていきたいんだなと思った
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この話をここに投稿しはじめた頃は本当にすべてがどん底で、もがくこともできないくらい弱っていて……色々やばかったです。でも不思議なもので、いまも同じような状況ですがなんとか生きてます。ここに投稿をしたことも含めて、良いことも悪いことも色々あって、今日まで来ました。
2017年の年末に、ここでの勝手がわからないまま「ミネルバ」を投稿して、半年くらいはまったく反応がなくて色々としんどかったです。何が悪いのかはいくつか自覚しているのですが、努力の方向がずれていたり譲れない部分と甘えが混ざったりで、自分はどれも直すことができなかった。だからこその結果だった。
けれどある日、現実の私とはまったく関わりのないひとから感想をもらえて、「これ、現実かな?」って感じで、心臓が有り得ないくらいバクバクして、血がぐわぁっと体中を駆け巡って、毛穴がガッと開いて汗ばんで、胸のあたりがカクカク軋んで、いわゆる不整脈(笑)。生理的な反応が順番に起こるというより全部同時に起こる感じでした。
自分の書いた物語が誰かの心に響いたのが、ものすんごく嬉しかったんです。彼らはいままで私の中でしか存在しなかったから、私の外に出ても彼らは存在していいんだと認められた気がして。誰に認められなくたって存在してもいいのに、承認欲求というのは本当に厄介なものです。
投稿したがゆえにつらい時もありますが、あの日から五年後にこうしてまた「ミネルバ」の新しい話を書いて投稿することができたのは、もしかしなくても結構な奇跡で、物語を“書ける”のはやはり楽しかった。この一年は山あり谷ありでしたが、終わりよければなんとやら。番外編6を投稿してからのこの六ヶ月はあっという間でした。ああ、うん、私の物語は終わっちゃったんだなぁ。
最初の人物であるノアが生まれてからだいたい二十年近く経っているので、忘れていることばかりだと思いますし、その間に捨ててしまったイラストもたくさんあって、なんだかもったいなかったです。ピンポイントで質問をされれば思い出すこともあると思うので、気になることがあったらぜひ聴かせてください。
これ以降彼らの新しい話を書くことはたぶんないはず(と思っているのであとがきを書いている)なので、これで本当にミネルバのみんなとはお別れになります。頭の中ではいつまでも存在しそうですし、いつまでもいてほしいとも思います。イラストではちょいちょい描きそうです。いつか、なんで終わらせちゃったんだろうって後悔をしそうな気がする……それくらい私にとって大事なひとたちです。いやはや、愛が超絶重たい!
もしあなたも物語を書いていて、その話がなかなか書けなくてつらい状態だったり、書いても書いても終わらなくてしんどかったり、書いたはいいけど途中で書かなくなってしまった物語があって消化不良だったりなんとなく罪悪感があったとしても。書き終わってしまえばきっと、こんなものか~、って良くも悪くもそこまで重くも軽くもなくて、人生を左右するほど感慨深いものでもないような、でもちょっとほっとして、物寂しい。そんなような気が私はします。
私の物語はこうしてひっそりと終わりましたが、たとえ書き終わってなくても大事な自分の一部です。物語って、終わらせるために書いてるんじゃなくて、書きたいから書いている、と私は思うので、望んでいないのなら終わらせなくてもいいのかなと思います。書く理由なんてひとそれぞれだし。
あなたがもし自分だけの物語を持っていて、書きたい、書き終わらせたいと思っているのなら、あなたの物語も、納得する形で、どうか無事に書き終わりますように。
こんなところまで読んでくれたあなたに、たくさんの感謝と幸運を。
ありがとうございました^^
2022年12月18日
近藤 回




