3年蓮組の授業風景 壱
「どうだ妹よ、兄の色々なモノが混じった朝ご飯は」
「おにぃがいま言葉を発するまでは美味しかった、シネ」
そう言うと妹は動かしていた箸を止めて兄に突き出す。
「何を入れたの?3秒以内」
「フッ、隠し味とは隠すものということを知らんのか妹よ」
「2」
「徐々に箸を兄の目に近づけるのを止めるのだ妹よ、そんな据えた目をしていてはせっかくのロリフェイスが台無しだぞ♪」
「0」
「我が家秘伝のたれでえぇぇぇす!!」
ピタリと妹の持つ箸が兄の眼球1ミリ前で停止した。
「最初からそう言って、ばかおにぃ」
「隙ありだ、我が妹。パクリ」
その言葉を発した瞬間、兄は自分の眼球の前に置かれた天使の箸を口に含んだ。
「ふぃふぃである!(美味である)」
「妹は激怒した」
「おごぉぉぉぉ!!!??」
口に含み、なぶり回していた妹の箸は妹の渾身の力によって兄の奥深くへ沈み、家の中に絶叫が響いた。
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目の前に広がるは目に優しい草原。
上を見ればどこまでも青い空そして後ろには岩と鉄で作られた、あまりにも無骨で巨大な壁と巨大な門。
日本第B門5番口と呼ばれるその場所には14の人影があった。
「ん〜いい天気ね〜こんな日はやっぱり外よね!教室で授業なんて雨の日でもやってりゃいいのよ。晴耕雨読?だっけこういうの?」
そう豊満な体を伸ばしながら言ったのはジャージを着た長髪の女性、影宮舞だ。
「認識を改めた方がいいぞ影宮教諭、晴耕雨読とは本来「あぁはいはい文系は細かいし話が長いんでスルーしまーす」本当に教師か貴様!?」
そう言うと学校指定の黒の制服になぜか白衣を着込んでいたサイシネン・ブリッドブラットは影宮を指さし
「わざわざ俺が執筆時間を割いてまで授業に出てやっているんだ感謝こそすれスルーだとっ!?この独身三十路__っぐは!?!?」
影宮に対してサイシネンが禁断ワードを言った瞬間影宮の拳がサイシネンの頬にぶち当たり割と小柄であるサイシネンは宙を舞った。
「さて、うるさいチビを黙らせたところで出欠確認するわよーさぼっているやつをチクりなさいあんたら大丈夫、さぼってる奴はあとでやさしく補修するだけだから」
たった今生徒一人を錐揉み回転させたとは思えない教師の発言である。
「そうですね。組長と妹さんがいないですね、まぁいつもの組長の暴走でしょうが」
そう答えたのは、ウサギ耳を生やし学校指定の黒の制服を着た少女、虚兎〈こと〉である。
「ぐふふ、今日もいつにもまして可愛らしいですなぁ虚兎氏は、なぁ佐藤氏」
ふくよかな腹を揺らしつつ荒い息をしながら虚兎のたわわに実った胸部を凝視する男ドム・ダヒアイリヒ。
「ちょ、俺に振るなよほら虚兎さんめっちゃ冷えた目でこっちみてるよ。あれ?俺も氷点下の目で見られてんだけど、いや男の本能的に少しチラッとはみたけども」
ドムに話を振られた平凡な見た目の少年。
佐藤光太郎。
どこにでもいそうな少年である。
「そこのバカどもうるさいわよー、いないのは『妹狂い』と妹ちゃんね〜来たら言い訳を聞きましょさてと・・・この天気で早く体育をしたいのだけど一応教頭あたりがうるさいから一応授業するわよ、まぁ授業といっても前回までの復習ね。そうねぇ時崎三女」
「はい!」
影宮に当てられた生徒、時崎メグミ。彼女は灰色のドレスに身を包み大きな声で返事をした。
「うん、いい返事。じゃあ前回までの日本史、軽くでいいから言ってみてくれる?」
「うぇ!?あ、あのえっとその……あだっ!?」
慌てながらキョドり始めるメグミだが不意にその紫色の長髪が二方向に引っ張られる。
「みっともなく慌ててるんじゃないわよ駄妹」
「わたしくし達が恥ずかしいわ」
メグミの髪を引っ張ったのは同じく紫色の髪をした少女達二人だ。
しかし、メグミとは違い背が小さく髪型もストレートではなくツインテールだ。
「慌てふためいてるくらいだったら早く言われたことをして失敗しなさいその方が余程美しいわ」
「カレン姉様の言うとおりよ、駄妹。早くおやりなさいこの世界で停滞よりつまらないものはないわ」
少女二人、時崎カレンと時崎エレンはうり二つの姿そっくりの声でメグミに言った。
「す、すみません!で、では!」
こうしてギルド直属の育成機関『桜花』
3年蓮〈はす〉組の授業が始まった。




