とりあえず、始まり。
さて、このまとわりついてくる少女をどうするべきか。
確か白…とか言ってた気がする。
「…えっと、白…さん?」
「白でいいよ!呼び捨てで!」
テンションの高さに正直ついていけない。
日頃の行いが悪かったからか、そうなのか。
「……白。さっき会ったことがある…とか言ってたよね。僕と。…なんで?」
「…私をね、あなたは助けてくれたの。私が泣いていた時に手を差し伸べてくれて、……嬉しかった。…だから、大好き。」
彼女の浮かれきった声を聞きながら、対して僕の心は冷めきっていた。
怖い、無償の愛は怖い。自分が覚えていない事を語られるのが怖い。
人が、怖い。
(でもこの子は知らないから。何も。)
だからこんな僕にそんなことを言える。
きっとそのうち彼女も離れていくのであろう。
僕の、傷を知ったら___。
「…大丈夫?…すっごく、こわい顔してるよ。」
「だい、じょうぶ。…だよ。」
「そっか。…ねぇ、あなたの名前は?」
なんで彼女は名前も知らない相手にあんなことを言えたのだろうか。
やっぱりただの馬鹿なのか。
「…黒。黒だよ。」
「黒…。私とは真逆、だねぇ!」
…確かに名前だけじゃなく性格も反対のような気がする。
「黒!これからよろしくね!!」
あんまりよろしくしたくない。
けどとても嬉しそうな顔をして笑う彼女を一瞬だけ…
可愛い、と思ってしまったのは。
…秘密、にしておこう。
更新すごくおそかったスミマセン。