レモンに対する愛の詩
一日
均等な明かりでわたしを照らす蛍光灯
心が徐々に弱っていくのがわかるの
わたしは波になって
衰退していく
波打ちながら
波打ちながら
徐々に
徐々に
弱っていく
部屋の慣れた匂いの底で
誰の帰りを待つでもなく
時刻を待っている
何が起きるでもない時刻を
待っているの
薄い頭痛
薄い疲労
薄い視界
薄い感覚
消えない
破れない
ずっと包まれているうちに
レモンの香りを嗅いだことがある
レモンの香り
本物じゃないかもしれない
でも あの一瞬の
世界を忘れる香り
レモン
どうして
不思議なかたちね
想像するだけで
口に入ってくる
この唾液こそが
レモンレモン
甘酸っぱく
冷えた液体の中で
氷の星に包まれて
リボンのように似合う
レモンの輪切り
輪切り
傾けても傾けても
回しても回しても
水面に浮かぶ
レモンの種が
こちら側にやってこない
指を入れる気は なかったけど
ティッシュで取ろうと 失敗したし
控えめに指を 入れてみたけど
レモンの種は 取れないし
水面を泳ぐレモンの種
仕方なく一口 飲むよレモン水
レモンの種
二つに増えたね
がぶっと口に入れてみて
魚の骨を出すように
魚の骨を出すように
器用に
ティッシュに吐く
そっと種を
取り除いた
美しい
花のように咲く
レモンの輪切り
輪切り
水に入って
レモン水
口に入って
水レモン
ビタミンＣの錠剤
すなわちレモン製
レモン
黄色い
皮の裏まで黄色そう
レモン
溢れてくる
レモン
何個分とかじゃない
レモン
レモンの輪切り
でも よくみて
それ
レンコン
レンコンの輪切り
平均何個の
穴の
空いたレンコン
穴の数が
決まってるって本当
正真正銘
レンコンの輪切り
全然良い匂いしない
レンコンの輪切り
でも
歯ごたえは
ＧＯＯＤ
