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第一話 解かれたおまじない

満月の夜、漆黒の空、紅く光る桜の木


傍で泣いていたのは、幼い子供だった――――――








第一話 解かれたおまじない









桜が、踊るように舞っている。


否、舞うように踊っている。


着飾った髪飾りと共に黒い長髪を流すようにたなびかせ、


美しい扇子を自在に操り、


儚げに、艶やかに。




---------------------------------------------------------------------








『よかったぜ、姉ちゃん!』

『綺麗だったわぁ』



観客がやんややんやと歓声をあげる。

舞終わった後は多少息切れがするのだが、それに負けずに笑顔で頭を下げる。

この勢いにのって仲間の一人が浅いかごを持って銭集めをし始めた。



『さあさあお代はこちらにどーぞ!』

『次は、いつ来るんだね?』

『うーん、そーねぇ、一月二月はかかるかもぉ』

『楽しみにしてるよ、【舞桜芸団】さん』

『嬉しいわぁ!お次もぜひ来てくださぁい』



元気よく接客しているのは、この芸団の女形少年、寺岡倫太郎(てらおかりんたろう)19歳。

琴の演奏を得意とする。


少年ならぬ可愛くお茶目な女顔をした倫太郎は、今も女性の着物にかんざしお化粧、華やかな格好をしている。

そのため、男性に誘われることもしばしば。


普段はわいしゃつに袴を着ている。



『ねえ君、この後時間ある?』

『うーん、えーっとぉ、お稽古がありましてぇ』

『じゃあ、あの娘は?』

『あらー、旦那、うちの華にお目をつけるなんて、お目がお高いのねぇ』

『お茶ぐらいしたいなーなんて。ダメ?』

『駄目よぉ、あの子はこの芸団の花形で・・・』

『たのむよ!』

『・・・』



黙る倫太郎。

あれは考えているんじゃない。

切り替えを・・・



『なあ――――』

『―――悪いが、この後も用がある。行ってくれないか』

『・・・え、ああ・・・そりゃ、残念だ』

『・・・だ、そうですわよホホホ』

『・・・??』



ニッコリ可愛らしく微笑む倫太郎君と、仲介に入ったもう一人の仲間の青年を交互に見て、首を傾げる男性。

よくわからないまま早足で去っていった。



『さよならぁー。・・・お、なんだよ咲耶(さくや)、そんな睨んで』

『お客さん怖がらせちゃ駄目だよ、利一さんが止めてくれてよかったけど・・・』

『なんのことだかな、俺は何も言っちゃいないだろ?』

『もう、倫太郎君っ――――』

『放っておけ』

『あ・・・利一さん』



先ほど仲介に入った青年。

青みがかった短髪で長身の、普久原利一(ふくはらりいち)24歳。

琵琶の演奏を得意とする。袴を着ている。


訪れた場所の女性必ず一人が彼に一目惚れするというくらいの色男。

冷静な性格である本人は色恋沙汰に興味ないようなので、残念ながら恋愛成就した女性は見たことがない。



『利一さんも何か言ってやってください、隙あらばお客さん脅そうとして・・・』

『いつものこったろ?まぁたお茶だかに誘うっていう野郎がきたんだからよ』

『まあ、いつものことだ気にするな』

『・・・別に私、ちょっとぐらいならお話しても大丈夫だったら』

『甘い、甘いぜ咲耶!』

『・・・もし咲耶とお茶をしたいのであれば、私達の誰か一人を共に連れていく条件をつければいい』

『お!いいなそれ、そうすればいいのか』

『ちょ、駄目だよ!意味わからないじゃないそんなの』

『・・・芸団の花形としては当たり前だ、気にするな』

『い、いや、ちょっと過保護すぎでしょ』

『――――何してるんだお前ら、片付けだ片付け!』



一人怒っているのは、少し長めの巻き毛の髪を後ろに結び羽織を袖を通さず羽織った男性、浪原元久(なみはらもとひさ)27歳。

この芸団の団長であり、年長者でもある。

篠笛しのぶえの演奏を得意とする。


男物の着物に着流しを羽織っている。


大人な雰囲気だが、なにかと苦労してるようである。

特に倫太郎君に。




『おいこら倫太郎、その姿で男に戻るな』

『あっ・・・あらいけない、すぐ着替えてきますぅ』

『ったく・・・』

『あ、覗かないでくださいよ』

『誰が覗くか!!』



・・・利一さんは知らんぷりで別の道具の片付けをしている。



『咲耶、お前はいい』

『え、私も片付けを・・・』

『違う、ちょっと宿の手配してきてくれるか。すぐ休めるようにな』

『あ・・・はい、わかりました』

『あ、俺も行く!』

『お前は片付けだ!』

『ほら、咲耶一人にしちゃあぶないってもんだろ?』

『一人もなにも、目の前に宿がある』

『あ、本当だ』

『チッ・・・』

『・・・』




舌打ちをする倫太郎君に、ワナワナと拳を握りしめ説教寸前の団長。


団長って苦労人・・・、とつい考えてしまう私であった。





--------------------------------------------------------------------



夕日の橙色の光が眩しく窓格子から差し込んでいる。

畳の上で座り込んでから、私は大きく深呼吸をした。



私の名前は野村咲耶18歳。この芸団の舞う専門として在団している。

黒い長髪を横に流して束ね、矢羽模様の袴を着ている。



演舞も終わり、宿もとって、あとは夕飯を待つのみ。

私だけは別部屋で、隣にほかの三人が休むことになっている。



『(もう一日、ここにいることになるんだろうな)』



今日この町に着いたばかりなのだ。

明日もう一度演舞を見せてから、少しこの町を観光して、再び旅立つ・・・



『(どうせ暇だし、少し町を見ていきたいな)』



夕焼け空がとても綺麗だ。


私は立ち上がると、鞄をもって部屋の襖に手をかける。

すると丁度そちらに誰かいたのか先に素早く開いた。



『きゃ・・・』

『ああ、悪い』

『だ、団長』



団長は特に表情を変えずに謝ると、私を改めて上下見る。



『出かけるのか?』

『ちょっと、この町の観光をしたいなって』

『一人では行くなよ』

『あ、はい・・・でも団長、何か用があったのでは?』

『あいつらに買い物させようと思ったんでな、何か欲しいものがあるならと聞きにきただけだ』

『じゃあ私もついでに行ったら一石二鳥ですね!』



そう笑って答えると、団長は黙って何か考え込む。



『団長?』

『・・・お前が暇してるなら、散歩にでも行こうと思っただけだ。買い物に行くならそれでいい』



二人を呼んで来よう、と団長は踵を返す。

だが私は無意識に彼の袖をつかみ引き留める。



『あ?』

『行きましょう、散歩!』

『お、おい』

『団長が誘ってくれるなんて珍しいですね!』

『・・・』



グイグイと彼の腕を引っ張りながら私は喜んだ。

彼はもう私の保護者のようなもので、何かと気にかけてくれるが、他の二人よりはあまり関わってこない。


別に仲が悪いわけではないのだが。



『・・・懐かしくなってな』

『何がですか?』

『いや』



小声だったが確かに聞こえたそれは、特に教えてくれないらしい。


私たちは宿から出て散歩に向かうことにした。




------------------------------------------------------------








団長とは歳が離れているが、幼馴染のような、親子のような、兄妹のような、不思議な関係である。

それ以上でもなくそれ以下でもない、なんというか、ある意味特別な人。


私は隣を歩いている団長を見上げてみる。



『・・・なんだ』

『いえ』



小さく笑ってみせると団長はちょっとだけ眉をひそめたが、すぐに気にしないとでも言うようにまた周りの風景を見始める。


私もそれにならうように周りを見た。



すっかり外国の建物も増え、行き交う人々も外国の服を着ていることが多い。


文明開化――――


その言葉がぼんやりと頭に浮かんでくるのを感じながら、風で落ちてくる桜の花びらをそっと掴み取ってみる。



『・・・安心しますね、桜って』

『・・・』

『外国のものが多くなってくなか、桜はいつまでも日本国を思い出させてくれるような気がするんです』



手を広げると、風が花びらをさらっていく。

それをじっと見ていると、団長が私の頭に手を置いてきた。



『団長?』

『・・・ちゃんと前を見ながら歩け』

『あ、はい・・・』



彼もそういえば江戸時代の恰好をしたままだ。



『団長は、わいしゃつとかずぼんとかたきしーどとか着ないんですか?』

『お前、どっからそんな言葉覚えてくるんだ』

『倫太郎君が嬉しそうにいろいろ話してくれるんです』

『ったく、西洋かぶれめ』

『でも・・・倫太郎君のやることが正しいんでしょうね』



今の時代に適応し、上手いこと付き合いながら生きていく――――――

流行とかよくわからないが、彼は楽しみながら変わっていく時代を過ごしている。


利一さんは特に興味もないのか袴のままだし、私も流行に敏感な方ではないので明治の一般の恰好に合わせて袴である。


わいしゃつとか、袴と合わせて似合うなんて面白いとは思うが。




『明日、出発ですか?』

『ああ』

『寂しいですね』

『あまり長い事同じ地に滞在しても意味がないからな』

『それも、そうですけどね』



舞桜芸団ぶおうげいだん

桜模様の紋が目印の旅する芸団。


町に二日か三日滞在してから、また次の町へ旅立つ。

なので私は家に住んだことはない。


物心ついた頃からこうして芸団にくっついていたので、いつも流れ流れに色んな場所に行っているのだ。

同じ場所でずっと住むというのはどのような感覚なのか分からないが、色々な場所に行けるのも楽しいので特に気にしてはいない。



『それに―――――』

『・・・それ、に?』



団長はピタッと立ち止まる。

私もならって立ち止まり、彼の表情を見上げた。


何かまた考え込んでいるような表情。



『・・・団長?』

『・・・そろそろ、帰るぞ』

『え、ちょ、続きは』



先に歩き始めてしまう団長。私は急いでついていく。


これ以上追及しても答えてはくれない団長なので、気にするだけ損なのだが・・・


短く滞在することに理由が複数もあるのだろうか?



『月が出てきたな』

『あ・・・』



夕焼けと夜の色が重なり合い、絶妙なグラデーションを醸し出している。

そして上には満月。

その光に照らされて、桜の木も神秘的な雰囲気をまとっていた。


思わず桜の木に走り寄ってしまう私。



『・・・お前は本当に桜が好きだな』

『何か安心するんです。何でかわかりませんけど』

『・・・』



春にしか咲かない花、それが少し寂しいが、私はこの季節が好きだ。

桜の花びらを拾って押し花にし、しおりにしたりするほど。


何故こんなに桜が好きなのか考えてみた時もあったが、特に理由はない。


強いて言えば、他人とは思えない感覚。

正直私にもよくわからないが。


ふと遠くを見ると、満開の桜の下お花見をしている集団が見えた。



『満月の下でお花見なんて、素敵ですよね』

『・・・昔から言っているが、木に無闇に触るなよ。・・・毛虫とか、いるだろうからな』

『ふふ、わかってますよ。子供の頃からちゃぁんと守ってます』



そう笑ってみせながら私は改めて桜を見上げる。


空に浮かぶ満月も同時に視界に入り、月の光が桜の花びら一枚一枚を照らしていることに気付く。



『こんなに光ってる桜、初めて――――――』

『・・・咲耶?』



月の明かりが強いからか、普段の夜よりも一際桜の花びらが輝いている気がした。


何故か・・・無意識に手が伸びる。



『――――咲耶、』

『綺麗・・・』



幹に手がそっと触れる。


降れた瞬間、ほんの一瞬、とても暖かく懐かしい―――――



『―――――咲耶ッ!』

『!』



パンッ!


・・・手を叩かれたわけではない。


桜の木が、私の手を拒むように弾いたのだ。



『え・・・?』

『ッ・・・怪我は』

『ないですけど・・・どうして今・・・』

『・・・木だって生きてるからな、常識が通じない時だってあるんじゃないのか』

『え、えぇ?』



思わず変な声を出してしまう。


確かに木だって生きているが・・・こんな物理的に拒むだなんて、簡単には信じられない。

だが先ほどの音は、団長が叩いたわけでもなく、木が・・・



『帰るぞ、お前も疲れてるんだ』

『でも団長』

『そろそろ晩飯の時間――――――』



団長がそう言いかけた時。 


突然、獣らしき咆哮が響き渡る。

犬や狼などではなく、もっと重苦しい雄叫び――――または断末魔。



『きゃッ・・・!!』

『――――ッ』



思わずとっさに耳を塞いだと同時に、団長が私の頭を自分の方へ引き寄せてくれる。

安心する気持ちがじわりと広がるのがわかった。



やがて咆哮は止まり、辺りは静まる――――――否。


まるで時間が動き始めたかのように、風の音、人々の笑い声が聞こえ始める。



『今の、あの人たちには聞こえなかったんでしょうか?』

『・・・』



お花見客は少しも気にしていない風に酒盛りしている。



『・・・とうとう立ちながら夢を見るとはな。相当疲れてるぞ、お前』

『えっ夢じゃないですよ!団長私のことちょっと守ってくれたじゃないですかッ』

『俺は何もしていない。それこそ夢と混ざってるな』

『・・・』



団長は肩をすくめてから先に歩き出す。


あんな一瞬にして夢なんて見るわけがない。

団長が言っていることは嘘だとさすがにわかるが、あそこまで嘘をつく必要があるのだろうか。


何かを知っている?

でも、あんな不気味な断末魔、動物とかじゃなく、体の奥底に響き渡るような・・・



『置いていくぞ!』

『ま、待ってくださいよー!』



団長に置いて行かれちゃたまらない。


必死に追いかけることに意識を向かせたので、一時の出来事のことはあっという間に薄れてしまったのであった。









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『おやすみー咲耶』

『うん、おやすみ倫太郎君』



夕食を皆で共に食べてから、それぞれが部屋に戻る。


自分の部屋の襖をパタンと閉めた途端に静けさが戻ってくる。



『ふぅ』



敷いてある布団の上にごろんと転がる私。

満腹で布団の上に転がるなど至福以外の何物でもない時間である。



『(ん・・・もう眠くなってきた、な・・・)』



うとうと、まどろむ。

着替えなきゃとか、お風呂入らなきゃとか、色々やらなければいけないことが次々と頭の中に浮かんでくるのに、体は動かない。


瞼が重くて・・・



『・・・』









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サクラノマジナイヤブレタリ




カイホウサレシハハンミノチカラ



ニオウ、ニオウゾ



タイヨウ、ゴクジョウノチ、マザリトモ、マコトノチカラ






マッテイロ








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『・・・サク・・・ラ・・・・・・』




――――――――――カタン。




『!』





ほんの小さな物音に、私の意識ははっきりする。





いつのまに寝てしまっていたのか、それとも全く時間が経っていないのかわからない。

だがまだ外は暗い。



『・・・そうだ、着替え・・・ないと・・・』



掛け布団もかけずに寝てしまっていたので身体も冷えている。

そうか、まずはお風呂に入った方がいいか。


私はゆっくり起き上がると、袴を整える。



『(なんだろう、なんかずっと話しかけられてた気がする・・・)』



寝た感覚がない。

団長の言う通り、相当疲れているのだろうか。






―――――――――――――・・・バタバタバタ






『?』



足音らしき音がいくつも聞こえてくる。


こんな夜遅くに一体どうしたのだろうか。

倫太郎君や利一さんだろうか?


そっと外の様子を見てみよう、と私は襖に手をかける。




だが。



『――――むぐっ?!』

『申し訳ない、少し大人しくしててください』



見知らぬ男性の声に体が固まる。

口を手で塞がれ声をあげることができない。


足音が大きくなってくる。



『(な、な、どう、すればいい、の・・・ッ!?)』

『・・・この宿から出て行きましたかね・・・』



足音が聞こえなくなると、男性は私の口をふさいだまま襖を開けようとする。


・・・と、いうことは、彼は襖を開ける前からこの部屋にいたということ?

まさか先ほどの物音は―――――――!!



『痛ッ』



思い切り口をふさぐ手を噛んでやると、油断していたのか男性は驚いて手をひっこめた。


私はその隙に思い切り大声を出す。



『だ、誰かぁッ!!!!』

『あ、ちょ―――――』



隣の皆が気づいてくれるはず―――――!



『――――どうした、咲耶!!』



すぐさまドタドタと足音が聞こえたかと思うと、最初に入ってきたのは団長。

次に倫太郎君、利一さんと、まるで今の時間起きていたのかと思えるくらい早く来てくれた。



『てんめぇ、咲耶から離れろよ!』

『・・・婦女子の部屋に忍び込むとは・・・息の根を止めてほしいのか?』



倫太郎君は拳を、利一さんは小刀を横に持つ。


私は早足で団長の後ろに隠れた。



『わ、私が寝ている間に、部屋に、部屋に・・・ッ』

『大丈夫だ、落ち着け』

『だ、だんちょ・・・』

『・・・悪ふざけにしては度が過ぎるな―――――ムツキ・オルブライト』



灯りがつけられると同時に、男性の姿が明らかになる。


金色の長い髪を後ろに一つにまとめており、青い瞳を持っている。

たきしーど姿の外人さんに見える。


利一さんは目を細めた。



『外人・・・まさか、咲耶を誘拐しようとしていたのか貴様』

『いやいや、そんな滅相もないです。何もしませんからその武器下ろしてくれませんかね』



流暢な日本語をしゃべりながら両手をあげて降参を表現する男性。



『ていうかだんちょー、コイツの名前知ってんのかよ!?』

『・・・思い出したくもなかったがな』

『嬉しいですよ、元久。ちゃぁんと覚えていてくださったんですね』



にっこり笑うムツキさんに、団長は大袈裟なくらい舌打ちをする。



『お前が俺の旧友だろうがなかろうが、身内に手を出そうとした時点でそんなもの関係ない』

『いや、手は出してませんてば』

『この部屋に入ってどうするつもりだったか説明できるのかこのやろ!』



倫太郎君は拳をぶんぶん振り回してムツキさんに近づく。



『り、倫太郎君、少し落ち着いて』

『倫太郎、殴るのはそいつの弁解を聞き終えてからにしろ』

『それもそうか!』



いや、そんな納得するようなことでもないような・・・。


ムツキさんは優雅に礼の仕草をしてから私の方を見る。



『失礼いたしましたレディ、夜分遅く部屋に忍び込んでしまったこと、お許しください』

『え・・・あ』

『何がお許しくださいだ、さっさと説明しろオルブライト』

『あなたはいつも私に対して怒っていますよね、元久・・・』



コホン、と一つ軽く咳払いをしてから、ムツキさんはとても落ち着いた様子で説明し始めた。



『まず、私の名前はムツキ・オルブライト。イギリス人と日本人のハーフです』

『はあふ・・・?』

『イギリス人の血と日本人の血をどちらも受け継いでいるということですよ』



首を傾げて小声で繰り返したのが聞こえたのか、ムツキさんはにっこり笑って答えてくれた。

ただ、無意識に私は団長の背中に顔をも隠してしまったが。



『嫌われちゃいましたねぇ・・・』

『当たり前だ。さっさと続きを話せ、警察に突き出すから早くしろ』

『まったく、少しは弁解させてください』



小さくため息をついてから、また改めて口を開くムツキさん。



『実はですね、先ほど追われていたのですよ、警察に』

『なるほどな。おい倫太郎、警察の奴を呼んで来い』

『ちょっと、まだ続きがあるんですよ!』

『・・・チッ』

『あなたたちも追われているの知っていました?』



その言葉に空気が固まる。


団長は表情を変えていなかったが、利一さんはさすがに驚いたのか軽く目を見開いている。


そして倫太郎君は・・・



『はぁぁあ!?なんで俺らがケーサツに追われなきゃなんねぇんだよ!』

『冗談に決まっているだろう、倫太郎』

『利一、なんでそんなこと言い切れるんだよっ』

『追われる身であるこやつがなぜ我らも追われていることを知っている?おかしいだろう』



それは・・・確かに。

警察が、彼―――ムツキさんが団長と知り合いであることを知っていない限り、彼に知らせることもない・・・と思う。



『あの、団長・・・どうしましょう、か』

『・・・』

『団長?』

『――――追われる理由は何だ、オルブライト』

『私はちょっと上司に喧嘩売って不敬罪だとかいう理不尽な罪で・・・』

『お前の罪はどうでもいい。俺達の罪はなんだ』



バサッと切り捨て、いらつきながらも再度問う団長。

ムツキさんは最早呆れながら肩をすくめた。



『婦女子誘拐―――――ですよ』




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夜に発つことになった私たちは、今少し肌寒い風の中街道を歩いていた。


何も言わない団長、周りを警戒している利一さん、まだぷんすか怒っている倫太郎君。

私はそんな三人を順番に見てから、月を見上げる。



『(・・・)』



ムツキさんの口からでた言葉は、私たちを余計に困惑させた。


婦女子誘拐―――


この婦女子というのは大方私のことだろう、と団長は何故か冷静に言っていた。

誘拐だなんて人聞きの悪い、と倫太郎くんも利一さんも怒っていた。


私も、そう思う。

誘拐だなんてとんでもない。



『寒くないか?咲耶』

『あ・・・はい、大丈夫ですっ』



利一さんが常に気を配ってくれる。

私は笑って頷いた。


追われている罪が偽物であれ、大人しく捕まって弁解しても意味がないだろう。

そうゆう団長の判断で私たちは一日早くここを発つことに。


こんな逃げているような状況を悔しく思う。

警察がまだどんなものか私はまだちゃんと理解していないが、団長は多くを知っているようだった。



『("何者かの陰謀だったりしてな"、・・・か)』 



団長は軽く笑いながら言っていたが、私はただ俯くしかできなかった。

誰の陰謀でこんな私誘拐という罪をなすりつけられなければいけないのだろうか。


私は自分の意志で・・・



『(・・・意志・・・で・・・?)』

『―――――耶。咲耶』

『あっ、はいっ』

『今夜はここで休むそうだ。野宿になるが、我慢してくれ』

『わかりました』



近くの林の入り口付近に、木に囲まれている小さな広い場所があった。

今夜はそこで火を焚きながら一晩過ごすという。


利一さんに案内され、座らされる。

そして彼は倫太郎君とそのまま木の枝を拾いに行ってしまった。


団長は辺りを見渡してから、どっかり胡坐で座り込む。



『・・・団長・・・』

『そんな陰気くさい顔するな、こっちまで暗くなる』

『でも、誘拐だなんて。誰かが通報したんでしょうか』

『さぁな』

『――――もう、団長っ』



団長は腕を組んで目をつぶる。


とくに気にしてない風が余計に不安をかきたてる。

つい声を荒げてしまうと、団長はちらりと私を見て・・・



『安心しろ、お前には手出しさせない』

『・・・え?』

『・・・倫太郎と利一が死ぬ気でお前を護るだろうよ』



やがてゴロン、と横になって寝に入ろうとしている団長。

二人以外に団長は入っていないことに少し寂しさを感じたが、彼なりの元気づけなのだと思う。


・・・最初に言われた言葉は、正直どきりとしたが。



『・・・ありがとうございます、団長』

『・・・ああ』



優しい人だと思った。



『・・・だが、いつまでもこうして逃走劇繰り広げている場合でもないな』

『そうですよね、どうにかしないと・・・』

『狙いがなんなのか知らないが、単なる一般人の勘違いによる通報かもしれんし、何者かの陰謀の可能性もなくはない』



すっかり寝の体制に入っている団長だが、ちゃんと考えているらしく、慎重になっているのがわかる。

当たり前だ、いきなり犯罪者として扱われているのだから少しでも慌てるに決まっている。


私に何ができるだろう・・・。



『たっだいまーッ』

『今帰った』

『あ、おかえりなさい、倫太郎君、利一さん』



ガラガラガラ、と木の枝を地面に置くと、そのまま太い木の枝と細い木の枝を用意する倫太郎君。

火付けをするつもりなのだろう。


利一さんは手荷物の袋の中から干し肉やらを出した。



『野宿するのも今日くらいだろう、次に着く街からは都会だ、道にも宿屋がいくつかあるはず』

『・・・残っていればの話だがな』

『ここ、一度通ったことがあるんですか?』

『・・・まあな』



団長はゴロンと、私たちに背を向ける形に向きを変える。



『うっしゃー、着いたぜ』

『ここの近くに水場があればいいのだが』

『あ、そっか、探すの忘れてたな』



よっこら、と倫太郎君は木の枝を数本焚火にくべてから、また林の中に入ろうとする。



『あ、倫太郎君、一人で大丈夫なの?』

『俺の実力をなめちゃいけねーぞ咲耶!』



ぶんぶん腕を振り回しながら林の中へ消えていった。


確かに、喧嘩とか動物に負けた倫太郎君は見たことがないけれど・・・。



『咲耶、火にあたっておけ』

『大丈夫ですかね、倫太郎君』

『あいつは耳もいいし、力もある。咲耶が思っている以上にな』

『・・・』



優れた能力が多い倫太郎君。

いや、彼だけではなく、利一さんや団長も強い。


たまに盗賊の集団に襲われるのだが、いとも簡単に気絶させ、道に放っておく。

・・・恐がる暇もない程に。


まあでも、安心できるっていうのは良い事だと思う。



『団長、干し肉だ』

『・・・いらん』

『お腹空かないんですか?』

『お前が食え』



いつも私優先にしてくれるのはうれしいのだが、毎回だとさすがに申し訳なくなってくる。

・・・というのをここに所属してから感じているのだが。



『で、団長。これからどうする気だ』

『・・・』

『咲耶を護ることはできようと、多少面倒なことになりそうで困るのだが』

『・・・芸団の名にキズがついちゃ、稼ぎもなくなるしな』

『あっ、そうですよ、これから演技ができなくなっちゃうじゃないですかっ』



団長はむっくり起き上がると、胡坐をかいて座り、火をぼうっと見る。



『ま、一度は警察の奴らに出くわすだろ。その時に事情を吐かせればいい』

『(吐くって・・・)』

『もし勘違いならそれで済む。だが、もしもう一つの可能性が正しかったなら―――――』



団長がそう言いかけた、その時。



『元久~ッなぜ置いていくのですか!』

『―――――・・・』

『あ・・・ムツキ、さん?』

『麗しのレディ、覚えていてくださったのですね』



ギュっ、と私の手を両手で握ってきたのは、そういえば姿が見えなかったムツキさん。

宿から出て行く前に、一人姿を消していたのだが・・・


団長は見るからに機嫌が悪くなり、誰でも聞こえるくらいの舌打ちをする。

何も言わず呆然としている利一さん。



『先ほどは部屋に忍び込んで本当に申し訳ない・・・だが、こんなにきれいな女性ならいっそのこと―――』

『オルブライト、ねじり殺されたいのか?』

『(ね、ねじり!?)』

『そんな目で睨まないでくださいよ元久、いきなり襲ったりしませんから大丈夫ですって』



ね。

そう小声で私に言うムツキさん。

まだ離されない手を見ながら私は曖昧に頷いておいた。



『あの・・・手・・・』

『ああ、失礼、貴女の手は触り心地が良くて、つい・・・』

『――――いい御身分だなァ、金髪野郎!!』

『きゃっ』



ベリッ、といきなりムツキさんとの手がはがされる。

次に私の手を握ってきたのは倫太郎君だった。


変わらず微笑んでいるムツキさん。



『いっそ俺らの罪とやらをてめーになすりつけたいくらいだぜ』

『それは困ります、別に私は彼女を誘拐しようだなんて』

『・・・いや、もしや貴様、自分の未遂を我らになすりつけようとしているのではないのか?』

『いやいやそんなことはないですよ!どうして私が彼女を誘拐しなければいけないのです?』



利一さんの睨みにムツキさんは勢いよく首を振る。

団長は彼を見たまま何も言わない。



『胡散臭い野郎だぜ』

『・・・倫太郎、水はどうだった』

『おう、近くに小川があったぜ!容器くれよ』

『わかった』

『あれ、ちょっと皆さん』



団長は何も言わず火をじっと見ているだけだし、

利一さんと倫太郎君は荷物を漁りながら会話している。


完全に置いてきぼりにされているムツキさんは、悲しそうな表情で肩をすくめた。



『ここの人たちは冷たいですね・・・きっと貴女に手を出したからでしょうね』

『わ、私ですか?』

『ええ、だって貴女は――――――』

『―――――オルブライト、お前はいつまでここにいるつもりだ』



団長のハッキリとした声がムツキさんの声を遮る。



『匿ってくれないんですか?』

『笑えない冗談は飽きた』

『飽きたって・・・』

『・・・"化け物に襲われたい"なら話は別だがな』

『(え?)』



化け物?

どうしてここで化け物の話が?


私がきょとんとしていると、途端に団長が立ち上がり私をかばうように立つ。



『え、だんちょ―――――』

『お前も何か感じるだろ』



感じ・・・る?


いつの間にか利一さんと倫太郎君も険しい顔をして辺りを見渡している。


ムツキさんは微笑んだまま何も言わない。



『(何?誰か・・・くるってこと?)』



団長に言われた通り私は集中してみる。

闘ったことはないし気配を察知するなど私には無理な気もするが、やるだけやってみる。



『(集中、集中――――)』

『たくさん足音が聞こえやがるぜ』



倫太郎君は耳を澄ましながら神経を研ぎ澄ましている。


利一さんは小刀を抜く。



『複数なのか?』

『いや、それにしちゃ規則的な足音だな・・・一つの群れか?』

『(足音――――)』



耳を澄ましてみる。


耳は格別いいわけではない。

だが、音ではなく、何かが来ていることは感じた。



『団長、なんだか・・・怖いものが・・・』

『その感覚をよく覚えておけ』

『こ、怖いです、大きなものが、こっちに、すごい速さで―――――――ッ!!』

『!』



団長が小刀を抜いた瞬間、"怖いもの"が真上に現れたのを感じた。



『―――――ッ!』

『利一ッ!』

『承知したッ』



団長の呼び声に答えると、利一さんは主戦武器である鎖鎌を取り出し真上に思い切り飛ばした。


凄まじい速さで先端の鎌が"それ"の一部に思い切り巻き付く。



『なーいす利一ッ!』



倫太郎君が笑って声をあげる。


利一さんが思い切り鎖を引っ張ると、"それ"はとてつもない速度で地面に落ちてきた。

相当重いのか、落ちた瞬間地面が揺れる。



『(え・・・)』

『お・・・おやおや、これは・・・また・・・』



ムツキさんが言葉に迷っている。


当然だ、私だって言葉がでない。


団長が数歩私を下がらせる。



『だん、ちょ・・・い、いや・・・ッ』

『怖いなら見るな、後ろを向いていろ』



土埃が収まるころ、姿を現す。

最初は蜘蛛のような足が何本も見え始め、虫なのだと理解する。

だが、大きさが尋常ではない。

ヒト一人を飲み込めるような大きさの蜘蛛。



『(で、でも)』



顔。

その蜘蛛には顔がついていた。


ぎらりと鋭い太い牙、二本の角、赤いぎょろりとした目。

その長い顔は、どうみても牛の顔で。


なのに体は蜘蛛。


化け物以外の何物でもない。



『い、いや―――――』

『もしや、これが昔より伝わるアヤカシなんですか?』

『あ、アヤカシ・・・?』



ムツキさんは妙に冷静にその化け物を見ている。


妖怪、のことだろうか。

それなら本で見たことがある。

昔から様々な伝承があり、良い妖怪もいれば悪い妖怪もいる。


それが伝説なのか本当にあった話なのかは誰にもわからない。



『おい団長、どういうことだよ・・・まさか本当に・・・』

『り、倫太郎君・・・?』

『・・・なるほど。あの妖気は・・・』

『利一、さん・・・』



二人とも、この化け物に対して驚いていないように見える。

いや、驚いてはいるのだが、違うことに驚いているようだ。


自分の中でよくわからなくなってきた。

思わず団長の袖を思い切り引っ張り、



『団長、あれは、あの蜘蛛なのに牛の顔がついてるのは、一体なんなんですかッ!』

『―――――牛鬼だ』

『ギュウ・・・キ?』



牛の鬼と書いて、牛鬼。

確かに牛の顔をして身体がめちゃくちゃなので鬼という表現もできるが・・・


これが、アヤカシ?妖怪?



『妖怪の中では力のある方だな。人間も食い殺す乱暴な奴だ』

『どうして、そんな詳しいんですか・・・?』

『・・・そうゆう奴なんだよ俺は』

『え?』



途端、牛鬼が大きく鳴く。

説明しようがない、ただ、叫んでいるだけの声。


怒っているのが声の質からわかる。



『一応尋ねる。お前は何故姿を現した?』



利一さんが鎖を力を入れて引っ張ったまま、警戒している低い声で尋ねた。


牛鬼が人間の言葉がわかるのか、発することができるのか私には疑問だった。



すると。



『――――――欲シイ』

『(え・・・)』

『ヤット、ミツケタ!!!!!!!!』



ギョロリ。

私を真っ赤な目で睨むと同時にそう叫んだ牛鬼。


途端に暴れだす。



『くうッ』

『利一さんッ』



鎖で押さえつけていられるのも時間の問題である。

倫太郎君は胸元から鉄甲を取り出すと拳に装着した。



『残念だったなァ・・・俺達の前に姿を現したこと、後悔しやがれッ!』



地を思い切り蹴り凄まじい速さで牛鬼に近づく。

そして思い切り飛び上がると、牛鬼の頭の上で構えた。



『じゃあなッ―――――!』



そこから急降下したかと思うと、鉄甲のついた拳を全力で固め、やがて―――――



牛鬼の脳天を貫くぐらいの勢いで拳を下ろした。






-----------------------------------------------------------------





鎖が地面に落ちる音がした。



『・・・やった、の?』



拳が撃ち込まれたあと土煙が巻き上がり視界を悪くさせたため、しばらく状況が理解できなかった。

分かっていたのは、ただ団長がずっと私の前に立ってくれていることだけ。



『おや、姿が見えませんね?』

『別に逃がしたわけじゃねーぜ』



倫太郎君は牛鬼のいた場所に立っていた。

手に何やら黒い石を持っている。



『倫太郎君、それ・・・何?』

『・・・"殺生石"の欠片だよ』

『せっしょうせき・・・?』

『どれどれ』



ムツキさんが興味津々に倫太郎君の持っている石に触れようとする。


すると。



『おっと・・・ッ』



パンッと音をたててムツキさんの手を弾いた。

まるで拒むように。



『今のは一体何でしょう元久?』

『・・・親切でよかったな』

『(親切・・・?)』

『倫太郎、それを咲耶に渡せ』

『えっ、私?』



倫太郎君は言われたとおりに、欠片を私の手に乗せる。

弾きやしないかとひやひやしていたが、すんなり私の手の中に収まった。



『咲耶さんには反応しない、と・・・』

『咲耶、それについては後で説明する。それを大事にもっておけ』

『は、はい』



指でつまめる程度の大きさなので失くさないようにしなければならない。

とりあえず袋も何もないので、ぎゅっと握りしめていることにした。



・・・温かく感じた気がするが、きっと気のせいだろう。



団長は私の様子を見て、難しい顔をしていた。



『団長、早めにここを離れた方がいいだろう』

『・・・わかってる。火を消せ。次の町に急ぐ』

『りょーかいッ』



団長は牛鬼のいた場所に移動してしまう。


指示された二人が出発の準備をするなか、ムツキさんは微笑んだまま私に近づいてきた。



『それが、殺生石・・・』

『・・・知ってるんですか?』

『ふふ』



肯定の意味なのかわからない笑みを浮かべながら、もう一度欠片に触れようと手を伸ばしてくる。


私はその様子を黙って見ていたわけなのだが――――――



『オルブライト!』

『・・・はい?』



団長の呼び声にムツキさんの動きが止まる。



『これ以上俺達につきまとうな。逃げるなら勝手に逃げろ』

『そんなつれないこと言わないでくださいよ』

『―――――つきまとうなと言っているんだ』

『(ッ)』



団長の細められた目がムツキさんをにらむ。

ゾクッと背筋が寒くなるくらいの、鋭い殺気のようなもの。


思わず震え上がっていると、それに気づいたのか、団長は私を見て表情を和らげる。



『・・・本気で怒らせる前にいなくなりましょう、元久は怖いですからね』



恐がっているのかどうかは定かではないが、ムツキさんは肩を大袈裟にすくめる。

そして私の手をとり甲に口づけると言った。



『咲耶さん・・・またお会いできますよ、きっと』

『は、はぁ・・・』

『その時はまた―――――二人で』

『また忍び込む気じゃねーだろうなコラ!!』

『それはどうでしょう』



さすが耳の良い倫太郎君は聞こえていたのかすぐさま怒る。

そんな怒鳴り声に笑顔で返しながら、ムツキさんは身を翻して去って行った。



『(・・・)』 



展開が急すぎてよくわからない。混乱している。


いつの間にか火が消えていたにも関わらず、辺りは明るい。




夜が明けようとしていた。







《続》



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