表の裏の裏の裏
物語は終わりを迎えた。
僕と青菜さんの物語は幕を閉じた。
これは、もしもの物語。
笑う彼女に笑う彼。
「西川くん、どうしたの?ぼーっとしてる・・」
「え・・。ごめん。寝不足かな」
一緒に下校中で絶賛リア充中だったのだけど、どうやら僕の顔には冴えない表情がにじみ出ていたみたいだ。
「本でも読んでたの?」
「いや、・・・うん」
「・・・む」
青菜さんは何かを感づいたようにみるみる表情が不機嫌を前面に押し出していく。
ああ、自爆。
「どーせまたあの可愛い幼馴染とお話してたんでしょ」
「ごめんって」
「いいなあお隣って」
「青菜さん・・・」
羨ましそうに頬に手をあて憂いを帯びたため息を吐き出す。
美少女だなあ。
「西川くん。私は怒ってるんだよ」
「あ、はい」
「こんなに可愛い彼女がいるのに他の女の相手して・・・タラシなのか!!」
自覚してるところがまたいいですね。
「・・タラシじゃ、ないんじゃないかなあ」
「じゃあ仲良くしないでよー」
ぽすぽすと僕を叩く青菜さん。なんというか微笑ましい。怒っていると思うんだけど、なんでかなあ。
愛しさが込み上げてくるよ。
「・・・じゃないと、殺しちゃうかもしれないよ」
「え・・」
急に叩くのをやめたかと思えば、とんでもなく冷めた表情でそんなことを言いやがった。
「あおな、さん?」
正直すごく怖かった。
するはずないとわかりきっているのに。どうしてこんなに焦ってるんだ、僕は。
「・・・・なーんてねっ」
「・・・・だよね」
「巷で噂のやんでれを目指してみたよ。どうかな」
心底安心したんで、僕は人目もはばからず青菜さんを抱きしめた。
「ええ、西川くん?」
珍しい僕からの愛情表現に困惑している青菜さんの声が僕の耳へ届く。
「・・・やんでれよりも、つんでれの方が好きなんで。そっちでおねがいします」
「はへ・・?・・うん。わかった」
僕の希望は通ったから、心配事はもうないね。
青菜さん、
大好き。
はっぴーえんどってこんなものかな。