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ひゃっはー皆殺しだー増えたヒロインは死亡フラグで消してやる


「あー疲れたー」


子供を背負って森を歩くのは尋常じゃないほど辛かった、やっとの思いで森を抜けた俺は街を見て少しだけ違和感を覚えた。


「・・・・・・門が閉じてるな」


いつもと違う感覚に気づく、そう言えば何時もこの時間門は空いてた、どうした?あれ、見張りの数も増えてる。


「まあ気にすることもないかな」


腹減ったなぁ。
















門の横の門番の逗留所の扉をノックする。


「すいませーん」


「あーミルドかー?今開けっからまってろ」


内側から渋い壮年のおじさんの声が聞こえ暫くして扉が開く、ついでにこの扉は来客用で、横の門が街の人たちやキャラバンの人たち専用だ。


扉の中から色が若干なくなった銀髪を短く切った何と言うか、なにこのおじ様イケメン、みたいなおじさんが出てきた。


「物々しいですね・・・どうしたんですか?」


「んあー、領主の家に賊が入ってな」


やる気がないこのおじさんは黙ってればいい人なのだけれど何時も酒瓶片手に他の兵士たちとポーカーやってるからなぁ・・・。


まあやる気の無さが逆に過去の何かを思わせていい、って思ってる女性が多いらしいが、俺からすれば唯の酒好きのおじさんだ。


「ああ、領主様は大丈夫なのでしょうか」


そう思いながらマントの中身について少し思ったことがある、あれ・・・これは・・・フラグ・・・?

領主様の娘的なフラグ?ビンビンに死の気配が漂ってきやがったぜぇ・・・。


「いいや、領主様のご子息とご息女が行方不明で、領主様と奥方は何と言うか・・・」


そこで何時も笑ってるおじさんの顔がしかめっ面になった。


「どうしたんですか?」


「確証はまだ十分に得られないが・・・・・・賊が異教徒だったらしい」


「ああ、なるほど」


この世界は魔王によって支配され人は全て奴隷とされる、そうなりたくなかったらミトト神に生贄を捧げよ、神は心身深い信者だけを助けるだろう。


何を世迷言を、と思うだろう正直俺はこいつらガイキチすぐると思っている、神様がどうのではなく別の部分だ。


俺は宗教は良いと思っている、それが君の心の拠り所になるのならそれでいいと思うし、それを否定することは思想弾圧にほかならないからね、まあぶっちゃけ迷惑かからなければ邪神でもなんでも祭ってくれと思うが・・・。


で、だ、何がガイキチすぐるかというと生贄が云々かんぬんの部分だ、こいつら頭が狂ってる。


まあここまでくれば察しのいい君達ならわかると思うが生贄は人間だ、本当にね、もうね、ベル○ルクもかくやって感じですよ・・・媚薬乱交パーティーなら胸熱だろうがカニバリズムとか誰得だよ・・・萎えるわ。


生贄を神に捧げ、捧げたその肉を食べることで自分たちは不死になり神と同じ世界にいけるらしい、一度だけね街にそいつらが居たんですよ、人が嘘の笑いを作る時は下の唇が引っ張られるらしいのだが、ヤツラは本気でそれを言ってた、一切偽りの笑顔も何もしていなかった、寒気がしたね。


お金儲けのための嘘の宗教勧誘ならまだ御しやすい、だが正気で狂気のある宗教はマジで手がつけられないと思った瞬間だったよ。


それほどやばかった、言ってる方も聴いてる方も薬なんかしてないはずなのに目がギラギラしてるし異様な熱気だし、気持ち悪かった。


それほどこの国は終わっているのかと考えさせられた、兵士に連れていかれたその男は王都から来た貴族だった。


「気をつけろよ、街の中にあぶねえ奴がいないわけじゃねえんだからな」


「心配してくれてありがとうございます」


「おぅ、きぃつけて帰れよ、俺は今から朝まで巡視だぜ・・・」


「あはは、じゃ・・・」


話の中で出てきた領主のご息女が行方不明という言葉、絶対この手に抱えてる女の子だと思うんだよ・・・。
















「ま、そんなことがあったわけだよ」


今日のユリアの作ったご飯はオムライスだった、相変わらず美味い、うんまい!


「お兄さんは何時も変なことに巻き込まれるね」


木のスプーンで皿の端についていたデミグラスソースを掬って口に入れる、ああウマー。


「まったくだよ・・・アリシア美味しいか?」


「・・・・・・・・・」


俺の横で無心でオムライスを食べていたアリシアがハムスターのように膨らました口でブンブンと首を縦に振っていた。


ついでに服はユリアから借りている。


「もっとゆっくり食べろ・・・」


ハンカチを渡してアリシアに口の周りのデミグラスソースを拭かせる、もちろん洗うのはユリアだが。


ゆっくりと咀嚼して、やがて嚥下したアリシアはぽつりと一言。


「こんなに美味しいご飯久しぶりに食べた・・・」


そう言ってほぅ、と満足したようにため息を吐くが口の周りについたデミグラスソースのヒゲが悲しさを台無しにしている。


「はぁ・・・」


少し強めにアリシアの口元を拭ってやると、少し嫌そうにしたものの黙って拭われるアリシア・・・お前な・・・。


「お兄さんお兄さん」


「あー?」


ユリアに呼ばれそちらを振り向くと口の周りにデミグラスソースをつけたユリアがこちらに口を突き出して迫ってきていた。


「近づくな服が汚れる」


「ひどい!」


「あらあらユリア、ダメですよそんなことしては」


「院長」


白髪が目立ち皺もあるがそれも全て含めて美しいと言える老婆が奥から歩いてきた、まあこの院の院長なのだが。


「いつもありがとうございますミルドさん」


「いえ、何時もご飯をお世話になってますし当然です」


「そう言ってもらえて嬉しいわ」


目を細めて笑う、口元に手を置いている上品な笑い方に嫌味なところなどなく身分が平民だと知らなければ絶対貴族と間違われるだろう。


「むぅ・・・ミルドさん幼女には興味ないんですか?」


「うるせえよ、俺とそう変わらない年のくせに何言ってやがる」


こいつ、ユリアは見た目は普通に10もいたらないような背だし言動だが16歳だ、なんという年齢詐欺・・・お兄さん驚愕。


「じゃあ私と院長どっちが好きなんですか?」


「院長一択だろ普通に考えて」


「オバコンーーーー!」


泣いて逃げた、ついでに俺はオバコンじゃ無い。


「あらあら、ミルドさん、あまりユリアをイジメないでね」


「イジメじゃありませんスキンシップですヨ」


「イジメヨクナイ」


横からアリシアの合いの手が入る。


「うっせぇ」














「じゃあ俺は帰りますわ」


しばらく談笑したあと宿に戻ることにした。


「え?」


アリシアが突然こちらを見た、目が見開いている。


「あん?なんか変だったか?」


「え、いや、だって今日私こっちで泊まるよね?」


「だから?」


よくわかりません、俺は自分の宿あるし。


「一緒に寝ないの?」


「バカジャネーノ?」


おっと、片言になっちまった、こいつは何を言っているんだ、馬鹿だなー。


「じゃあな俺は眠いのさー」


振り切って逃げようとするが先に服の裾を掴まれる、えー・・・どうすればいいんだ・・・。


「ふふふ」


笑ってないで助けてくれよ院長。


「行かないでください・・・」


あーダメだ、俺こういうのに弱いんだよー、ちっ、気分わりー。


「わーかった分かった、今日は俺がそばにいてやるよ・・・はぁ・・・」


ただし俺は宿に帰るからな、勝手についてくる奴まで俺は自制できない。


「本当ですか!?嘘じゃないですねっ?嘘だったら怒りますよ!?」


「嘘じゃねえよ、本当だよ、オニイサンウソツカナイアルー」


「誰おま!?」


俺の周りで百面相しているアリシアを眺めていると孤児院の入口からユリアが出てきた。


「お兄さん!」


「んー?」


「明日もちゃんと来てくださいね!待ってますから!」


「おー、ちゃんと毎日行くさ」


明日とか毎日とかフラグたっぷりだね、口には出さないけど心がざわつくよ、怖いね。



















真夜中、街からそう遠くない森に人がいた、ただ、それは人としては異形、異形としては人に似すぎであった。


「ありりりrしいしあしあいさあ」


ズルズルと何かを引きずる音と訳の分からない甘い匂いが周囲の生き物の脳を犯す。


「いっしょshそhそっしょにんいににに」


それは唯の始まり、終わりもなく終幕もなく唯の始まりであった。


まあ小心者には関係のないことですが。















「暑い・・・」


「くー・・・くー・・・」


アリシアには抱きぐせがあるらしい。


あくまでヒロインは勇者と魔王。

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