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さあ雲行きが怪しくなってまいりました


目の前に豚の化け物が何匹もいる、そいつらは魔法に対性があるのか私の魔法でも数回当てなければ倒せなかった、小さな豚の化け物が村人たちを襲っていく、一匹を倒すごとに十人が死んでいく。


地獄、そう言い表すのが一番いいだろう、緑の血が頭の上から降ってくる、粘着質なそれは前世で自分がよく知る精液のように生臭く吐き気がした、それは人の赤い血とは混じり合わず油と水のように斑点を作っている。


白かったり黄色かったり緑色だったり赤色だったりめまぐるしく変わる全ての色が吐き気を催した。


「う、うああああ!」


家が肉に彩られる、胆汁の匂いが汚い、クサイクサイクサイ!

私は無我夢中でヤツラを殺していった、殺して殺して殺して殺し尽くして最後に聞こえたのは私の悲鳴だったか奴らの悲鳴だったか・・・。



気がつくと村は崩壊していた、チリチリといつから燃えていたのか分からない火が私の頬を照らしていた。


ぼうぼうと燃える家屋に彩られた通り道には肉しかなかった、肉だけが転がっていた。


「そう・・・だ・・・ミルド・・・」


戻らなきゃ、すぐ戻らなきゃ・・・。

足を引きずりながら自分の家に戻る途中に雨がポツポツと降ってきた、黒い雨だ、まるでこの世界には私以外が生きていないみたいに思える。

雨で視界が遮られる中私はなんどもなんどもつまずきながら歩く、やがて広場まできて私は見た、自分の家どころかどこにも家の原型を残した家がないことに。


私は迷子になってしまったのだろうか、雨が火を消し止めたのか燃えかすと生ゴミの匂いがする、空を見上げると黒い雨が顔を打った、なんでこんなにしょっぱくて、なんでこんなに暖かいのだろうか?


「――――――っ」


誰かが泣いている?誰が?・・・・・・私か。


いつまで泣いていたのか分からない、誰も私のそばにいない、本当に自分以外の誰もこの世界にいない気がして怖くて怖くて仕方がない。


いつの間にか誰かが私を抱きしめていた、私は今までの疲労がどっと押し寄せてきて眠ってしまった。

これは夢だ・・・夢なら早く目覚めよう、それでミルドとまた遊ぶんだ。

























この世界にはスキルというものが存在する、勇者の光の魔法がスキルの一つだ、他にも色々とある。

スキルには主に二種類に分けられる、先天性スキルと後天性スキル、勇者のは前者に当たる。


後天性スキルは職業、つまりはゲームで言うところのクラスでそれを覚えられる。

後天性のスキルは先天性のスキルにだいぶ劣る、威力もキレも全く違う。

例えば勇者の光魔法、アレはクラス:僧侶のスキルで本来は辺を照らす程度なのだが勇者の馬鹿魔力で何故か馬鹿みたいな威力を手に入れたわけだが。


そしてこの世界には勇者というクラスが存在する、このクラスになるためにはある条件を満たさなければならない。

それは先天性の光魔法のスキル持ち、まあつまりはユーリのことなんだが・・・。


そしてこのスキルを手に入れるためのクラスにならなきゃいけないわけだが、それを手に入れるための方法は大きく分けて3つしかない。


一つは職業ギルドでのクラスチェンジ、人気どころで言うと『戦士』『魔法使い』『狩人』だろうか。


二つ目は神殿での託宣によるクラスチェンジこれは『僧侶』『神官』『天兵』、まあ最後のは滅多にいないが。


そして最後は王族との任意によるクラスチェンジ『勇者』、前述したとおり先天性スキル光魔法を持っていないとなれないが。


この勇者というクラスは他とかなり違う、どれくらいかというホモサピエンスとBOSSコーヒーの宇宙人のおじさんぐらい違う。


他の職業は熟練度と共に職業の派生・・・ランクアップが起こる、『魔法使い』→『賢者』だったり『僧侶』→『モンク』というのもある。

だが唯一『勇者』の職業にはそれがない、辞めることも変わることもできない唯一無二の職業、それ故に強く人類の希望足りえる存在。


さて、どうして唐突にこんな話をしたかというとだな。


「本当にコレでいいんですね?」


「はいコレでお願いします」


今俺がいるのは前述した職業ギルドのホームの一つだ、ギルドは大きな町にならどこにでもある。


「ではこれがギルドカードになります」


そう言って不思議な模様が刻まれている鈍い銀色の金属のプレートを渡される。


「これがあなたの身分を証明するカードとなります、もしもなくした場合は再発行はできませんのでご了承ください」


「はい」


「ではこれで契約は終わりましたのでこの後はあなたのご自由にどうぞ」


「ありがとうございました」


そう言って席を立ち、ギルドホームを出る、扉に付いているベルが鳴りながら外への道を開ける。


まだ昼の中頃ということもあり日差しが強い、この日差しの中大通りを歩く人たちにはあまり活気がない、近くの村、つまり俺が住んでいた村が魔物に襲われ壊滅したからであろう。


人の口に戸は建てられぬ、村に魔物が来た理由は討伐隊の撃ち漏らしだったそうだ、一応箝口令は出ているが不安が心内にある、この国は大丈夫なのかと?


先の見えない不安がみんなを押しつぶそうとする、足元がガラガラと崩れていくようなそんな不安。


とにかくあれだ、死亡フラグは怖いな、うん。


シリアスが好物でござる、世界が終わっていくさまを見るのは最高だ、でも後味が悪いのは好きじゃない。

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