たまには魔王視点もいいよね
久しぶりにパソコンに触った…でもまた触れなくなる…くそぅ…
「魔王様」
僕がこの世界に来て初めに言われた言葉。
「魔王様どうか、どうか人間を…」
どうして、どうしてそんなことを言うの?なんで?
「人間は敵です」
それなら僕は何なの?僕はいったい何なの?
「魔王様、今日もお美しい」
「おか……」
お母さん、と言いかけてその声は途中で萎む。
夜が明けるほんの数時間前の薄明かりの中、寝汗の気持ち悪さに目が覚める。
「……」
ゆっくりとふかふかのベットから降りる、素足に赤い絨毯が絡む、体に張り付く寝巻きが気持ち悪い。
赤い絨毯の部屋を横断する途中で寝巻きを脱ぎ服を捨てる、ベシャリという音と共に寝巻きが絨毯の上に落ちる。
薄暗い部屋の中の扉の一つを開ける、赤い絨毯が白い石の床に変わる、冷たくなった体を暖かい湯気が迎える。
歩を進めると湯気の中に石に囲まれた浴場が見えた。
床に無造作に置かれている桶でお湯をすくい頭からかぶり頭を振って顔を上げる。
「うっ…おえぇ…うぐっ…」
鏡に映った自分の姿を見た瞬間吐き気がこみ上げる、手で口を覆うが抑えきれずに昨日の夕食の溶け掛けた胃液が口から出てくる、生暖かい液体が嗚咽と共に床に落ちて音を立てる、足についた液体が気持ち悪い。
しばらくして出すものがなくなった胃がまだ蠢き何かを吐き出そうとする。
何度見ても見慣れない、変わってしまった可愛らしい顔、長く美しい黒い髪、涙が滲む紅い瞳、少し膨らんだ胸、無くなってしまった物、そして頭についた赤黒い山羊のような角。
また吐き気がこみ上げる、もう自分の元の顔も忘れてしまった、同級生の顔も先生の顔も、お母さんの顔も本当にそんな顔だったか分からない。
力がなくなってへたり込んだ、下半身を吐瀉物が汚す。
フルリと体が寒さに震える、お湯をかぶって吐瀉物を落とすことも忘れお風呂に入る。
お湯に白い液体と固形物が流れる。
「もう、やだよぉ…帰りたい、帰りたいよぉ…」
お湯に涙が零れる…ポチャポチャと音を立てて水に溶けて一緒になっていく。
「勇者様…門が見えました」
「ふぅん」
言わなくても分かる、茶色いレンガで囲まれた石の壁、木でできた大きな門。
くだらない、どうして私がこんなことをしなきゃならないんだろう…。
ミルド、私早くあなたに会いたいなぁ。
魔物もたくさん殺したし、魔族もいっぱい殺した、早く会いたいなぁ。
会ったら頭なでてもらうんだ、ぎゅって抱きしめてもらってそれから…。
ああミルド早く会いたいよ、村が滅んだとき実はちょっと嬉しかったんだ…ミルドに近づく蛆虫がみぃんな死んだから死んだ、から、しんだ……死んだ?死んでないミルドは死んでない死んでるはずがない私のことを待ってるの絶対に、そうだ、魔族がきっとミルドを捕まえているのそれを助けるために私は魔族を殺さなきゃならないの。
木が擦れる音が耳障りだ、それ以上に私を呼ぶ声がうるさい、ああうるさい。
これを書くまでに…3回失敗した…もう許してくださいパソコン様…まじで




