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17/20

増えたものは減って終わりって現実的でいいよね

久しぶりでございます。


臭い、そして視界がすごく紅い、どうして俺は床に倒れているんだ?

髪の毛の先からポタポタと赤い雫が垂れているのがわかる、その匂いを嗅いでいると頭がクラクラしてくるのがわかる。


「・・・・・・酒臭い」


どうして俺の頭にワインがぶっかけられてるんだ?


事は数時間前に遡る。













「酒場を案内してくれないか?」


可愛らしい騎士様のお願い(脅しとも言う)に聞かざるを得なくなった俺は、どうしても行くと聞かなかったアリシアを連れてよく行く酒場に騎士様を案内した。


「こういうのも妻の仕事です」


「・・・聞かなかったことにしてやるよ」


アリシアはどうやら熱を出してるみたいだな。

まあそんなことは置いといて、アリシアと騎士様を案内した酒場はまだ昼間ということもあり殆ど人がいなかった、と言っても普段からあまり人はいないか・・・。


「なかなか雰囲気があるじゃないか」


どうやら気に入ったご様子・・・。

早速カウンターに座り酒の注文をする騎士様。


「ワインですか?」


「ああ、私は騎士だがそれ以前に教会に身を置いているのでね」


「なるほど」


あまり教会について知りはしないが多分そういうことなのだろう。

異教徒への対処然り、神の定義然り。

そういう戒律があってもおかしくはない。


「まぁ私の場合ワインが一番好きなだけなんだけどね・・・他は苦くて・・・」


「お、おう・・・」


なんで酒場に来たし・・・とは口が裂けても言えないことである。


「ミルドの旦那、今日もいつもので?」


会話の区切りを見計らってか横合いに口を挟む第三者の声、当然この店のマスターなのであるが。

カウンターを挟んでこちらに顔を向ける年若い風貌の男性、妻が死んでから娘と共にこの街に十数年前に引っ越してきたらしい。

見た目からは全く四十前半とは思えないが・・・。


「あー、今日は何か小腹を満たすのだけでいいよ」


アリシアがいる手前酒に酔ったりすることは出来ないし、この横にいる結構なハイペースでワインを干している騎士様が酔いつぶれたら怖いし。


「はいよ」


無口で無愛想だけど、このくらい静かなのが俺はいい、店もきれいに手入れされてるし煩いのもいない。


「あ、この娘にも何か適当によろしく」


アリシアを指差すとアリシアが不機嫌になる。


「どうした?」


「私だってちゃんとワインぐらいは飲めますよ?」


「・・・そ、そうか?」


俺の肩ぐらいの身長のアリシアを見る、この歳で酒を嗜むとか、禁酒法とか年齢とかお酒の分解速度とか色々突っ込みたくはなるが、突っ込むと色々とめんどくさい事になりそう。

まぁそもそもここは地球じゃないしいいんじゃね?


「マスター、この娘にも軽目のを」


「はいよ」


マスターがカウンター越しに酒の入ったコップをアリシアの前に置く。


「いただきます・・・」


それをチビチビと猫が水を舐めるように飲み始めるアリシア。

・・・飲めないじゃん、とか無理すんな、とか突っ込みたい、すごく突っ込みたい。

でも可愛いから許す。

そんなアリシアを微笑ましく思っていると首に手を回され背中に弾力のあるメロン二つを感じると共に、甘めの香水の匂いが首元から漂ってきた。


「・・・離れろ痴女」


首に回っている手をゆっくりと掴んで離させる、女性特有の弾力に内心ダメな気持ちになるがそこは我慢。


「ひどぉいミルドちゃん、こんなにサービスしてるのにー」


のほほんとした声が耳に心地よく響く。


「な、ななんあ!んあにしてんですか!?」


アリシアがしどろもどろに俺の後ろの奴に叫ぶがもはや何言ってのか・・・。


「呂律回ってないぞ・・・」


「うるひゃい!」


そう言いながら後ろを振り向くとちょうど座った目線でメロンが二つ実っていた。


「お昼から女の子連れ込んで、悪い子だなぁミルドちゃんはー」


薄い紫の髪の毛を後ろでポニーにまとめて、いかにも大人なお姉さんといった風体の女性。

一応この店のマスターの一人娘なのだが、俺より二歳年上、つまり二十歳、そして夫なし、つまり―――


「それ以上はいけない」


優しげな顔のお姉さんなはずなのにすごく怖いです。


「はいはい」


軽く流すと横からアリシアが俺の鼓膜を破る勢いで叫ぶ。


「ミルドしゃん!この女はだれでしゅか!?ていうかなんですかこのけしからん脂肪の塊はー!」


駄目だこいつ、めっちゃ酒に弱い・・・目が朦朧としてるし。


「ふふっ可愛いのねー、私はミーシャっていうのよ、あなたは?」


問いかけながらアリシアの脇に手を入れて思いっきりホールドするミーシャ嬢、すごく息苦しそうです、でもチラチラ見ちゃう。


だって男の子ですし・・・。


「私はアリシア・・・ってやめなさ、もがっ、抱くな!くっつくな!やめろーっ」


「なにこれかーわーいーいー」


うぜぇ・・・嫌味じゃない可愛さがあざといなんて高度すぎる技術だ。


「所でソフィアさん?どうしてさっきから何も喋らないんですか?」


後ろを振り向くと頭に冷たい物を掛けられる。


「えー・・・・・・ソフィアさん?」


ポタポタとワインが頭から雫となってこぼれ落ちる。


「うるしぇー、どうしてわたしをむしするんだよー、みるどのあほー」


・・・手遅れだった。


「あーみるどいーにおい、わいんといっしょいのんじゃおかなー、うー」


「ちょ、おまっ」


思いつきのように指を齧られる、落ち着け、まずは落ち着くんだ、取り敢えず騎士様、その手に持ってるワインのボトルを机に置くんだ。


「あー!ダメです!駄目!ミルドしゃんはわたしのです!」


それを見てアリシアが首に手を回し俺の体を騎士様から離そうとする、若干息苦しい。


「競わなくていいから!?」


「私も参加しちゃおー」


「参加しなくてい――っ!?」


横合いから突然かかった力に三人の体重もあり、支えきれなくなる。

せめてアリシアと騎士様、ついでにミーシャが怪我しないように俺がクッションになれるように倒れる。

両腕がホールドされてる状態でゆっくりと倒れていくことを認識していると、顔に影が掛かりよく見るとそれは騎士様が持っていたワインのボトルだった。


「―――マジで?」


何ができるわけでもなく、ワインのボトルは俺の頭に当たり、当然のごとく俺は意識を朦朧とさせた。

暗くなっていく、そしてワイン臭い視界の中で最後に聞こえたのは―――。


「あらーどうしようかしらー、この際食べちゃおうかしら?」


やめてください。


「みるどうめー」


だからやめろと。


「ミルドしゃぁん」


すいませんマスター、後片付けよろしくお願いします・・・。

後助けてください、マジで、割と切実に。


胸囲の格差社会。

ミーシャ>ソフィア>ユーリ≧アリシア>ユリア


ついでにミーシャは転生者じゃありません、つまりフラグってる。

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