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第六話「進化へのカウントダウン」

森の奥深く、僕――神谷レンは、息を潜めて茂みの中に身を潜めていた。


銀色の毛並みを揺らす微かな風。かすかな土の匂いと、木々の葉が揺れる音。そして、すぐ近くから聞こえる、荒々しい息遣い。


(……来る)


相手は【ダークウルフ】。真っ黒な体毛に、真紅の双眸。鋭い牙と巨大な爪を持つ、ランクEの魔物。人間の村ひとつ壊滅させかねないレベルの強敵だ。


今の僕は、レベル9。あと少しでレベル10に届く。けれど、戦いを間違えれば、ここで命を落とす。


(だけど、やるしかない……!)


牙を食いしばり、飛び出す直前、僕はスキルを発動した。


「《鑑定》!」


──


【名前】ダークウルフ

【種族】魔獣(獣型)

【ランク】E

【レベル】12

【状態】警戒

【生命】800

【魔力】200

【力】180

【敏捷】150

【スキル】《牙撃Lv2》《暗闇視覚》《身体強化Lv2》《嗅覚強化》《咆哮》

【魔法】《闇魔法Lv2》


──


(やっぱり強い……けど、勝てない相手じゃない!)


僕は跳んだ。小さな狐の姿のまま、木々の間を縫うように走り、全速力で接近する。


「《韋駄天》ッ!!」


一瞬、世界がスローモーションのように感じられる。敏捷が五倍に跳ね上がり、目にも止まらぬスピードでダークウルフの側面へと回り込む。


「《突進Lv1》!」


轟音とともに小さな体が激突するが、硬い体毛に阻まれ、ダメージは浅い。


「ギャウゥッ!」


吠え声。反撃の爪が唸りを上げて振るわれ、間一髪で跳び退いた。


(攻撃力が高い……連続で喰らえばやられる……!)


すぐさま魔法を放つ。


「《サンダーボール》!」


雷の球体が炸裂し、ダークウルフが痺れたように体勢を崩す。


「今だぁっ!!」


「《噛み付き》《身体強化》《武器術》!」


牙を突き立て、魔力操作で補強された牙がダークウルフの首元へと突き刺さる。


数秒の静寂――そして。


「ガゥ……アオオオ……!」


激しい咆哮を残し、ダークウルフは地に崩れ落ちた。


《経験値獲得――レベルアップ》


《レベル10に到達しました。進化条件達成》


──


(やった……倒した……!)


全身が痛い。爪の一撃を掠った部分がズキズキと疼く。でも、その代償に得た勝利は大きかった。


《進化が可能です。進化しますか?》


「……ああ、頼むよ」


目を閉じると、光が僕を包み込んだ。


──進化完了──


【神谷レン】

【種族】妖狐ようこ

【ランク】F

【状態】普通

【レベル】10

【生命】120

【魔力】600

【力】90

【敏捷】70

【魅力】850

【固有スキル】《韋駄天》《人化》

【種族スキル】《幻術》

【スキル】《鑑定Lv2》《噛み付きLv1》《突進Lv1》《魔力操作Lv1》《魔法耐性Lv1》《身体強化Lv1》《身体操作Lv1》《武器術Lv1》《幻覚無効》

【固有魔法】《変化魔法Lv2(人化)》

【魔法】雷・闇・火・風・水・土 各Lv1

【加護】転生神の加護

【称号】転生者/魔王の卵/勇者の卵


──


「《人化》」


僕はスキルを発動する。すると、銀色の毛並みが光へと変わり、人の形を作り出していく。


そこに現れたのは――


森の静寂にそぐわない、まるで芸術品のような絶世の美少年。


しなやかな銀髪、琥珀色の瞳、透き通るような白い肌。妖狐としての妖しさと人間の整った容貌が混ざり合い、ただ立っているだけで場の空気を変えるほどの存在感を放っていた。


(……これが、僕の“人”としての姿)


呟いたその声は、どこまでも自然で、人のものだった。


──森での孤独な生活にも、少しだけ変化の兆しが見え始める。


そして、この進化こそが、九尾への第一歩だった――。

次回、第七話「森の静寂と小さな邂逅」


補足 鑑定スキルのLv2にアップしたためより詳しく相手のステータスを見れる

ダークウルフはシャドウウルフの進化した姿

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