表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

第十一話

 メイドの朝は早い。日の出と共に起床、共用ベッドをきれいに片付けると、部屋にひとつしかない姿鏡で身支度を整える。城内の広場に一同集まると眠気覚ましに軽いストレッチ。終えると各自、自分の担当する業務に取り掛かる。


 私の業務はお嬢様を起こすこと。眠すぎてなかなか起きてくれないこともあるけれど、心を鬼にして無理やり起こす。そのあとは着替えを済ませ、食堂へ移動して朝食を召し上がって頂く。お嬢様は賢いので、しっかり自分で食べることができる。なのでその間、私はすぐ他の業務をこなすために長い廊下をせっせと歩く。



 食事をしている間、お嬢様の部屋に入って布団や脱ぎっぱなしのお召し物を回収、そして洗濯をする。毎日取り替えるのはめんどくさいけど、それでもお嬢様にはいつも清潔な状態で休んで欲しい、という思いを込めて日々行なっている。これらが終わるころには、食事もお済みになっているのでお迎えし、お部屋までご案内。ここまでしてようやく、ひとときの自由な時間ができるのだ。

 


 休憩の間に本日初めての食事を済ませる。今日は食堂で残ったパンとスープ。腹一杯に食べてしまうと次の業務に影響が出るのでたくさんあるけど程々に。何度後悔したことか。


 食事を済んだ後は庭の掃除に取り掛かる。背が他の人より低いし、鳥人族のように空を飛ぶこともできないので大人しく庭園の雑草取りに勤しんでいるけれど、これが本当に辛い。何度他の種族だったらと願ったことか。楽にやるにはどうすればいいかを考えたけど、結局地道にやる方が早かったので無心でやるしかないみたい。


 汗水垂らしてようやく終わらせた雑草取りの後はいつも身体中がベトベトなので一度、使用人が使えるシャワー室で洗い流す。メイドたるもの、常に清潔でなければならない。私の師匠がいつも口を酸っぱくして言っている言葉だ。


 すぐに着替えを済ませると、ちょうど昼食の時間に差し掛かる。この時もまたお嬢様を食堂へ案内する。それを終えた後は洗濯した衣類の乾燥チェック。日当たりが良くすぐに乾いてくれるから、基本はこの時点で取り込んで綺麗に畳んでしまう。びしょ濡れだった服や布団もフッカフカ。これで今日もお嬢様に最高の状態で使っていただける。


 昼食後、お嬢様はキマリス様と勉強するため一人で図書室へ向かう。その間に洗濯した衣類などをお部屋に持ち込みベットメイキングを済ませる。それを終えたら部屋を掃除……と言っても隅に溜まった埃を払う程度で、目立つゴミは手で拾うだけ。普段から丁寧にお使いいただけるので大きな掃除はたまにしか行わない。さすがお嬢様。


 一度食堂に戻ると、お嬢様のために用意したティーとお菓子の盛り合わせが用意されている。焼きたての甘い匂いが充満している。一つぐらいとってもバレないでしょ、と思うけれどバレたら立場が危ういので絶対にしない。もう少しの辛抱だと自分に言い聞かせる。


 ワゴンを引っ張ってお部屋にお持ちする。扉をノックして許可を得てから中に入ると決まってお嬢様は窓の外を眺めていらっしゃる。何か物思いに耽っているような様子なので心配にはなるけど、私と一緒にいる時だけは楽しんで欲しい。だから私はいつもお嬢様といる時は必ずテンションを上げる。少しでもお嬢様のためになるのであれば幸いだと思いながら。



 気長に話をして時間を過ごす。お嬢様のために運んだお菓子も少しずつ食べながら、今日はどんな勉強したのかとか、面白いことありましたかとかの、たわいのない話しかしない。そんな時間が一日で最も楽しい時間。お嬢様はどう思ってらっしゃるか知らないけど、どうか同じであってほしい。


 お嬢様との話を終えて通常の業務に戻る。ワゴンを食堂に返せば今度は夕食準備の手伝い。城内でパーティーを開くことが頻繁にある故、早い時間から準備しないと間に合わない。


 お嬢様方が夕食を終えると私たちも食事にありつける。一日二食(私の場合はお嬢様とのティータイムがあるので一日二食一おやつ)しかないので皆腹を空かせている。これでも、幼少期の時に比べたら幾分かマシだ。昔の生活に戻れって言われたら多分無理だと思うけど……。


 使用人たちの食事が終われば、残りの雑務をこなすもしくは自由時間だ。私は大抵、魔王様の自室に招かれる。これは魔王様に引き取ってもらった時からずっと続けているので今となっては通常の業務と何も変わらない。主に机の上に並べられた書類や書物などを整理するだけで済む。時々、お嬢様の様子などを質問されるので嘘偽りなく答えることもあるし、そばで魔王様の資料作りを手伝うこともある。そこで文字を教えてもらったおかげでもうすっかり字が読めるようになった。

 

 でも魔王様はたまに、私の読めない言語を使うことがある。魔王様はそれを()()()と言うけれど、それが何を意味するのかさっぱりわからない。文字の形も特殊だからか、書くことはできるようになったけど、いつかはちゃんと教えて欲しいな。


 最後の業務を終えて、私の1日が終わる。後はベッドの中で丸くなって明日を待つだけ。

作者の瑠璃です。

まずは読んでくださりありがとうございます。

この作品はタイトル通り、それぞれの視点で描かれる異世界物語です。人族サイドのお話もあるのでもしよろしければその作品も読んでいただけると嬉しいです。また不定期投稿なので気長に待っていただければと思います。ブクマ、評価等していただけるとめっちゃ喜びます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ