旅行Ⅴ:正体バレと電話と不吉な予感
「剣崎!」
ほむらがフォトンエッジを取り出し、子メガネウラを切り倒す。
「悪い。マナが枯渇」
「「「それよりも、これはどういうこと?!」」」
「悪い、肩貸してくれ、赤楚。あと、ここは目立つ。歩きながら話そう」
剣崎が赤楚の方を借り、立ち上がった。
***
「――というわけで、俺はジョーカーつう、ゾンビの魔術師だ」
「「「どういう意味だ!!!」」」
「ジョーカーはこうやって――」
赤楚の肩に手を回していない、左手を出し、
「カードやスマホを生成できたりする」
ブランクカード数枚と、スマートフォンを1台を生成して扇状に見せる。
「なるほど、人じゃないということがわかった。で、アンデッドて何?」
ほむらがポンッと手を打つ。
「そんなことより、せっかく来た遊園地を楽しもうぜ」
赤楚の肩から腕を外し、ほむらの話を遮った。
***
「廉、どういうことだ?」
「魔術師の仮申請やっといてくれないか」
「僕も一応、何度目かの修学旅行を楽しんでるんだけど?」
「いいだろ、どうせ暇だろ」
「はいはい、わかりましたよ、どうせ、一人で回らないといけないし」
「何でだ?」
「班の人、僕以外全員休んだ」
「治してあげたらどうだ」
「めんどい」
「なんか可愛そう」
「ま、とりあえず、今、拠点に行って申請してくるわ」
「ところで、お前どこにいるんだ?」
「奈良」
「頭大丈夫か?」
「大丈夫。だって僕――」
「ん? 聞こえないぞ?」
ツー、ツー
電話が切れた。
「どうしたの? いや、ちょっと知り合いに連絡してただけ。多分これから――」
剣崎がほむら達を見る。
「いやなんでもない」
「ね〜。あれ乗ろうよ〜!」
「渡辺が呼んでる、行こう」
剣崎とほむらが、レイと麗子に向かって歩き出した。