旅行Ⅰ:電車とバスと枚方市にある遊園地
かれこれ一週間後。
麗子はバスに酔っていた。
「う、うぇ〜」
「大丈夫?」
「う、うん」
「もうすぐ着くからね」
廊下側に座っているほむらが心配する。
「隣に見えるのは、京都最大級にして最高の娯楽施設、京都競馬場です。私も、週末は基本的にここで遊んでいます。大人になったら、皆さんも是非来てみてください。賭け事は、二十歳になってからですよ」
子どもに向かって、そんな事言うな。
それと、お前はギャンブラーかよ。
バスに乗っていた、運転手を含めた、ほぼ全員がほぼ同時に思った。
「左手に見えるのは今回の目的地、ひらかたランドです」
一日目の目的地である、遊園地――ひらかたランドに到着した。
ここで、昼食を取り、アトラクションを楽しみ、宿舎に戻る。
それが一日目の予定。
バスが、併設された大型の駐車場に入る。
バスが停まり、ぞろぞろと降りていく。
「う、吐きそう」
「先生! 麗子が吐きそうです!」
「おえぇ〜」
駐車場に降りた瞬間に吐き出す、麗子。
先生や女子が駆け寄り、男子たちは気にせず進む。
流石に、レイや剣崎も|男子がいてはいけない《下心があるとは思われたくない》と思い、立ち去る。
***
「よく、酔わないね〜みんな〜」
「ワールドライズやってるし」
「何故か」
「レーシングゲームやってるから」
麗子がぼやき、ほむらとレイと剣崎が答える。
お昼のカレーを食べ終わり、班行動になる。
ひらかたランドは、バーチャルと現実を兼ね備えた日本で最初の屋外型複合遊技場で、基本的に、ワールドライズ用デッキケースや、ライズギア、その他、電脳世界接続システム規格である【ネクサスライズ】に対応したアイテムを装着する必要がある。
――ので、
「買ったんだ、ウェアラブルデバイス」
「うん。バーチャルゲームもやってみたいからね〜」
麗子は、修学旅行を機にスマートウォッチを買ったのだった。
「よ〜し、遊ぶぞ〜!」
「「「おー!」」」
5人は歩き出した。