先手F:魔法と学校と深まる謎
「レイ、大丈夫!」
ハッとして、慌ててレイに近寄る。
「何だったんだろうね、あの人?」
「うん」
手元に残った、ブランクカードに目を向ける。
***
「最近、この近くにUMA出没してるんだって〜」
「へえ」
「カマキリ男とか、切り裂き男とか、カブトムシ男とか〜」
「ごふ」
「あと、魔法少女みたいなのとか〜」
「ごふぅ」
「大丈夫?」
「ああ、うん」
昨日あったことなどはなかったかのように、日常に戻った。
未確認生命体が大好きな、将来の夢はUMAを見つけることである、麗子との会話の中に聞き覚えのある名前が出てきて驚いた。
「ゴホッゴホッ」
「大丈夫?」
「うん」
驚きすぎて咳をこいてしまった。
そんな話をしているうちに、教室には大体のクラスメイトが来ていた。
「でさ、切り裂き男と魔法少女モドキは、人間を他のUMAから守っているみたいなんだよね〜。あってみたいな〜」
もう、あってますよ。
眼の前にいるのがその魔法少女モドキですよ。
ほむらは心のなかで思った。
「あ、剣崎君おはよ〜」
「おはよう」
ほむら、麗子と同じ班である、剣崎がきた。
「レイ、おはよう」
それとほぼ同時にレイが来た。
ほむらの右隣の席に座る。
キーンコーンカーンコーン・キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り響き、先生が入ってくる。
「出席を取ります、赤楚レイさん」
「はい」
「犬飼ほむらさん」
「はい」
出席を取り始める。
「渡辺麗子さん」
「はい」
「来週は修学旅行です。体調に気をつけて過ごしましょう」
出席番号が一番最後の麗子が呼ばれる。
9月の京都、何も怒らなければいいけど……
ほむらはそう、思ったのだった。