微笑み70(最終話)
そして2年が過ぎ、学園の卒業と同時にシオンとレオン王子の結婚式の日になった。
「あっという間だったね」
「そだねー。忙し過ぎて本当にあっという間だったね」
現在、控室でウエディングドレスを着たシオンが、一部の親しい人を呼んで話していた。
「シオン様、とてもお美しいですわ♪このまま私が結婚したいですわ♪」
「こーら!今日ぐらいはレオン様に花を持たせなさい!」
レオンの妹であるセーラは珍しくユーリに注意された。
「相変わらずだね」
苦笑いをして答えるシオンにユーリは真剣な顔で尋ねた。
「シオンは大丈夫?緊張してない?」
「緊張はしているかな・・・でも、嬉しい気持ちの方が大きいの」
顔を赤めて言うシオンに、ユーリとセーラは暖かい目でシオンを見た。
「幸せにねシオン。王妃様って色々大変だと思うけど、私たちもフォローするから何でも言ってね」
「もしお兄様が何かしたら言ってね!ぶん殴ってやりますから」
三人は抱き合って泣きながら笑った。
そして時間がやってきた。
「シオン、とても綺麗だ・・・」
「レオンもかっこいいよ」
お互いに顔を赤めて恥じらう仕草は、会場の人々を和ませた。
王都にある大聖堂で2人は国中に祝福されて式を挙げるのだった。
(いや、一部の人々からはレオンの怨みが漂っていたのは秘密にしておこう)
レオンとシオンはすぐに国王や王妃になる訳ではない。現役の国王がまだまだ元気なので少しづつ譲渡していく予定だ。しばらくは王太子と王子妃として活動していくことになる。シオンの王妃教育も終わってないのも理由だ。
(普通は幼い頃から勉強していくものだからね)
学園を卒業しても人々の人生は続いていく。
シオン達が卒業して、妹のリンが生徒会長になって、色々なトラブルを起こしたり、解決したり、クロウ王子は隣国へ帰り、シオンを忘れるために仕事に没頭して名君と呼ばれたり、セーラ王女を娶ったりして一悶着あったりと大変であった。セーラは隣国の王妃として、影で暗躍して影の女王と呼ばれたりした。
ユーリはシオンのお付きの侍女として、生涯支えた。強力な回復魔法が使えるために、万が一な時のために側においたのだ。ユーリは普段は王妃専属の侍女として働いたが、王妃の手紙を持って隣国のセーラの元へ外交官としても活躍した。親友の手紙を信頼できる人に運ばせたのだ。セーラもユーリが来るのを楽しみにしており、やってきてはBL、、、、ゴホン、新しい小説のネタを話し合った。これが意外に支持されて、名うての小説家としても活動していたのである。
アーレストはそのまま宰相としてレオンを支えたりと、各人々の人生はこれからであった。
この時代の人々は、後の歴史家達は口を揃えて言った。
周辺国をも発展させた黄金の時代であったと。
この時代を境に、大きく国は発展して人々の暮らしは豊かになったという。
今でも、シオンの石像は数多く残り、現代でも演劇として高い人気がある。
そしてシオンのことは『微笑みの令嬢』と長く親しみを込めて呼ばれ続けるのだった。
口下手な本人が無言で微笑んで、面倒ごとから逃げていたのはシオン本人しか知らない事であった。
【FIN】
すみません、ようやく完結しました。本当に亀更新で申し訳ありませんでした。最近、肩を痛めて、痛め止を飲まないと利き腕が動かせないほど体調が悪くしばらく更新出来ませんでした。
今はだいぶんよくなったので、次回作品からは毎日更新を頑張るつもりです!
一度更新を断念した小説だったので意地でも完結させるという意気込みで何とか終わらせることができました。
いや、本当に小説を完結させるのって難しいですね。他の作者さん尊敬しますわ。
次回作品はまたファンタジーを予定していますのでお楽しみに!
また次回作でお会いしましょう。