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微笑み5

テラスのお茶会からシオンはみんなと別れて帰宅したのだった。


ちなみに、微笑みの令嬢が悶えるほどの美味しさと、テラスでの軽食でパンケーキの注文が殺到したという。そしてセーラ王女の口利きでパンケーキの種類を増やす様に指示があり、微笑みの令嬢を喜ばせようと学園の料理人が頑張って試行錯誤し、メニューの半分がパンケーキになったとか。


学園に近い別宅に帰宅したシオンは疲れていた。学園では大人しく過ごそうと誓ったはずが、初日からやらかしてしまったのだからだ。



「はぁ………疲れました」


シオンは小さく呟いた。そこに、シオンの側付きの冥土……いえ、メイド……あれ違った?

ああ、そうそう侍女さんがやってきた。


「シオンお嬢様!聞きましたよ!!!」



何を聞いたのだろうか?

嫌な予感がするのよ………


シオンは恐る恐る聞いた。


「講堂で皆様の前で語った時に、シオンお嬢様の神々しい美しさに失神者が続出したとか!?流石はお嬢様ですね♪」



ピシリッ


いっやーーーー!!!!



何!?どうして屋敷にいる侍女が知っているのよ!?

誰が言い触らしているのよ!!!

しかも微妙に大袈裟になっているから!!!


頭に両手を当てて、うずくまるシオンに侍女は慌てる。



「お、お嬢様!どうされました!?お気分が優れないのですか?」


シオンはゆっくり顔を上げて侍女を見ると呟いた。



「……誰が言ってたの?」



その時のシオンの表情は疲れていた為に、儚げに微笑む様に見えた。


「はうわっ!!!」


シオンの側付きで耐久性のある侍女でも、不意打ちの微笑みは効いたようだ。


顔を真っ赤にして倒れる侍女だった。



「えっ!?えっ!?どうして………」



結局、侍女を寝室へ運び別の侍女に詳しい話を聞いて、簡単な食事をしてお風呂に入って1日目は終了したのだった。



『もう明日から学園に行きたくないよ!!!』



そんなシオンの心情を誰も知らずに。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

翌朝


「う~ん………」



1日目をやらかしてしまったシオンは、昨夜は中々眠れなかった。


コンコンッ

コンコンッ



「シオンお嬢様!お時間ですよ~~」



侍女が部屋をノックしてもシオンは目覚め無かった。


そして侍女が採った行動とは!?



「みんなーーー!きてーーー!シオンお嬢様が起きませーーーん!!!」



!?



「「「なんですって!?」」」



本家から呼んだ侍女は約10人、執事は3人、護衛騎士30人ほど王都の別宅にいる。

別宅といっても公爵家であり、お金持ちのフレイムハート家は他の貴族館より数倍大きかった。


護衛騎士は5人以外は屋敷に入らず、大きな庭で鍛練をしている。屋敷の門の所に詰所があり、そこで面会の引き継ぎや、荷物検査を行い屋敷へ運ぶのだった。


後日談ではあるがシオンお嬢様が、本家を離れ王都の別宅へ暮らすとわかった時に、本家に残る者と付いて行く者で、激しい戦いが繰り広げられたのは記憶に新しい出来事である。


さて、話がそれてしまったが侍女の採った行動とは………

数人の侍女がシオンの部屋の前に集まり、気合いを入れて【サングラス】をして部屋へ入った。


「お嬢様、失礼致します!」



「うぅ~ん……もう5分………すやすや」



「「「はうわっ!!!」」



「ダメよ!気をしっかり持つのよ!!!」


後ろにいた侍女が前の二人を激しく揺する



「はっ!?」

「あ、危ない所でした!」



すやすや眠るシオンの寝顔は犯罪級に可愛らしく、一目見た者は悶えて倒れてしまうのだ。


侍女達は気をしっかり持ち、『サングラス』をしてシオンを余り見ないようにして、起こすことが義務付けられたのだ。


かつて、シオン付きの侍女が次々と倒れて使い物にならなくなった為である。


こうして侍女達の熱く激しい戦いの結果、シオンはようやく起きるのでした。


「シオンお嬢様、本日は少し起きるのが遅かったので時間に余裕がありません。馬車を入口へ準備させておりますので朝食後、早目にお出掛け下さい」



『おっと、昨日は眠れなかったので寝坊しちゃったんだよね。モグモグ……どうしようかなー?馬車で行ってもまたキャーキャーされるの面倒なんだよね──、う~ん…………あ、馬で行けばいいじゃない!?』



私は名案(迷案)とばかりに、朝食を食べ終わると玄関へ急いだ。



「お嬢様!?お辞め下さい!制服が汚れてしまいます!」



『制服ならクリーンの魔法で清潔に出来るから大丈夫!』


私は護衛騎士の馬を一頭借りると、動き難い学園の制服で馬に乗り、学園へと向かった。


『ハイヨ!シルバー!!!なんてね♪』


街中なのでそんなに飛ばせないが、馬車より速く駆ける私は気付かなかった。

せめて顔を隠していれば良かったのだが………



学園へ近付いてくると、生徒達がちらほらと歩いていた。多分、学生寮の生徒達だろう。私に気付いた生徒達が突然、騒ぎ出した。


『何でしょうか?馬に乗る者なんて学園に通う生徒なら珍しくも無いでしょうに。貴族として護衛を連れて通う者も珍しく無いのに何かあったのかしら?』



とことん、自分の容姿に無頓着なシオンは気付かなかったのだ。超絶可愛い美形の女の子が、騎士の装具で彩った馬で颯爽と駆けて通学する姿に、周りが騒がないはずが無いことに!












愚者の声

「侍女さん達も大変なんですよ」


シオン

「私は何も知りませんわ?」


愚者の声

「主人に気付かれない所で頑張っているのよ?」


シオン

「美しいって罪ね~」


愚者の声

「こいつ、気付いてやがる!?」




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