微笑み51
学園が始まり、妹弟を残して学校へ向かいました。
なぜかリンとカイの事は学園の友人達に秘密にして欲しいと言われた。
シオンは首を傾げましたが、可愛い妹弟のお願いだ。聞かない訳にはいかないだろう。
いつも通り学園が終わると帰宅しました。
「えっ?出かけているの?」
「はい。王都を見て周りたいと」
私も一緒に行きたかったなぁ~
「あ、でも2人じゃ危険かも」
よし!私も行こう!
シオンが心配して迎えに行こうとした時───
「シオンお嬢様、リン様とカイ様はきちんと護衛を付けて出掛けております」
「えっ?そうなの???」
「勉強で疲れて帰ってくるシオンお嬢様に、迷惑は掛けられないと、先に2人で王都探索してくるとの事です。次の休みの日にはシオンお嬢様と一緒に出掛けたいとの事です」
なるほど。
そういう事なら今日は部屋で読書かな?
ちょっと心配だけどね。
ちなみに、本日は午前だけの授業で時間はタップリあった。
その頃───
「シオンお姉様は自宅に戻った頃ね!」
( ´Д`)=3
「はぁ~~、ねぇリン。本当にやるの?」
妹のリンはシオンそっくりに変装していた。
元々良く似ており、シオンが癖っ毛ある髪質だが、リンはサラサラヘアーのため、薬剤を使ってクルクルドリルヘアーを作った。
「これでシオンお姉様の婚約者候補に近付いて、シオンお姉様に相応しいのか確かめてやるのよ!」
「ため息しか出ないけど、僕もシオン姉の婚約者には興味があるから手伝うよ」
2人は予め婚約者候補達の情報及び、シオンの交友関係を調べており、顔と名前など頭に入れていた。
「ため息を付きたいのはこちらですよ。まったく。今回だけですからね」
シオンの護衛騎士であるグレイが、深いため息を付きながら言った。
「グレイさん、迷惑をお掛けします」
「カイ様は良いんですが、リン様が暴走しないか心配でね………」
「こらっ!今の私はシオンお姉様なんだからねっ!」
「ならまずは、シオンお姉様とか言わないように」
「おっと、いけない。あーあー、テステス………よし!大丈夫!」
何が大丈夫なのか分からないが、2人は学園に入って行った。
「本当に大丈夫か?」
グレイは護衛騎士のなので入口までしか入れない。
まぁ、本当なら2人も入れないのだが………
シオンは妹弟が来ているので、用事があると言って早く帰っていた為、学園にはまだ多くの生徒が残っていた。
「あれ?シオン?帰ったんじゃ無かったの?」
ユーリと鉢合わせした。
ユーリは転生者であり、貴族、平民関係なく、フランクに話し掛ける人物である。
「あ、えーと………」
コソッ
「リン落ち着いて、友人のユーリさんだよ」
おおっ!そうだった!
「コホンッ、ユーリさん、ちょっと用事があって戻ってきたの」
『ユーリさん?いつもはユーリって呼んでるのに?』
洞察に優れたユーリは違和感を覚えた。そして、側にいる見知らぬ人物に視線をやった。
「シオン、そちらの方は?」
「あっ、こっちは私の弟なの♪」
!?
「シオンの弟!?」
驚くユーリにカイが丁寧に挨拶をした。
「始めまして。シオン姉の弟でカイ・クロス・フレイムハートと言います。いつも姉がお世話になっています」
カイは深々と頭を下げた。
「今日はカイを学園の案内に連れてきたの」
「…………へぇ?なるほどね。シオン、ちょっと今日【約束】していた学食へ行こうか?」
「えっ、約束?」
「忘れちゃった?この前の御礼にパンケーキ奢るって約束じゃん」
「ああ、そうそう!」
「うんうん、じゃっ行こうかっ!」
ユーリに誘導され、学食へやってきました。
「へぇ~、個別の様になっている場所もあるんだ?」
「何言ってるの?いつも来ているでしょ?」
!?
「そ、そうだね。あはははっ………」
「それより、ここなら他の生徒に話を聞かれる心配はないわ。どうしてシオンの姉妹がシオンの格好で来ているのか教えて♪」
「いきなりバレてるーーーー!?」
驚くリンにカイは当たり前だよと軽くため息まじりに呟くのだった。
シオン
「いきなりバレてるーーーー!?」
愚者の声
「当たり前だよ………はぁ~」
シオン
「しかも一番見つかったらヤバい人物にバレてるじゃない!」
愚者の声
「そだねー(棒読み)」
シオン
「これは絶対にユーリ面白がって、事態が大きくなるヤツじゃん!」
愚者の声
「オラ!ワクワクしてきたぞっ!」
シオン
「ほう?私の大事な妹弟が危ない目にあったら、覚悟はできているんでしょうね?」
!?
愚者の声
「だ、ダイジョウブデスデス~~」
逃げっ!