表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兵法とは平和の法なり  作者: MIROKU
寛永編
4/40

第四回



 七郎は父の又右衛門から魔性の話を聞かされた事がある。かつて御神君家康公が駿府にいた頃、ぬっぺらほふなる魔性が現れたというのだ。

 それは自分が遭遇した肉面の者と同じだと七郎は直感した。人の世界と魔性の世界は昼と夜を境にして繫がっているのだ。

(奴らが俺の戦う敵か)

 七郎の心身は震えた。これは恐怖ではなく武者震いであった。得体の知れぬ魔性を相手に、七郎の闘志は燃え上がるのだ。

(俺の最期を飾るに相応しい相手だ)

 七郎は肉面の者と遭遇した時を思い出す。苦い敗北の味だ。

 だが二度の敗北はない。勝つか負けるか、生きるか死ぬか。そう心に決めて七郎は前へ進もうとする。

(兵法とは平和の法なり……)

 心中につぶやきながら七郎は町中を行く。途中、道行く婦人二人にすれ違った。

「むむ」

 七郎、思わず振り返った。美人だったからだ。英雄、色を好む。七郎もまた英雄かどうかは不明だが、女の色気に弱い。

「危うし危うし…… 天理天命、我にあり」

 苦笑して七郎は歩き始めた。女の色気は七郎には命取りだ。ましてや、それが女の魔性であるならば。


   **


 武家屋敷の並ぶ一角、その外れに源のうどん屋がある。

「客は来るのか」

「来ますぜ、これが」

 七郎の問いに源は答えた。源は江戸市内を回ってうどん屋の屋台を引いていたが、参勤交代が始まってすぐの頃に店を出した。

 というより幕閣で店を用意したのだ。武家屋敷に住まう大名と、家臣ら武士達を監視するために。

「それで?」

「自由に外出できないんで不満が溜まってるようです。奥方を置いてきた者も多く、女遊びも盛んなようで」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ