表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗黒家族の令嬢は悪役ではないので、婿入り復讐計画を受け付けません  作者: 星琴千咲
【復讐劇篇】第十八章 悪役サブヒーロー設定は要らない
86/141

1805 令嬢らしき交渉

一階はテロリストたちに制圧されたが、二階以上にいる人達はどんどんデパートの奥へ退避していく。


リカとマサルは逃げも隠れもせずに、二階の天井で下の状況を見ている。


「アカシャ天使教?聞いたことはある?」


記憶の中に存在しない組織名なので、リカはマサルに聞いてみた。


意外に、マサルは何か知っているようで、小さい声でリカに返答した。


「アカシックレコードを知っている?」


「この世のすべての情報を保存している、宇宙サーバーのようなものだと言われている、でしょ?」


異能力の関連知識として、リカは家の授業でその概念を勉強したことがある。


「ああ、一部の人はそれの存在を強く信じている。そのアカシャ天使教はアカシックレコードの信者たちが立ち上げた新興宗教団体だ。そして、この世には、前世や生まれてくる前の記憶を持つ人がいる。アカシャ天使教はそのような人を天使だと信じていて、彼たちに導きを求めている。天使たちの力で、自分のアカシックレコードを開放し、記憶を持つ状態で転生する。そんなことによって、精神の永遠不滅を手に入れられると信じている」


「じゃあ、人間に盗まれた『アカシャシードって』、どういうこと?」


「そこまでは……」


マサルは残念そうに頭を横に振った。


「……」


リカも更に問い詰めなかった。


いろいろ怪しいだけど、彼たちの背景を究明する場合じゃない。まず奇愛を助けないと。


そう思うと、リカは一歩を出て、はっきりとした声でテロリストたちに話かけた。




「あなたたちの条件を飲んだ。まず銃をおろして、どこかでゆっくり話しましょう」


「リカ、何を……」


マサルの阻止はもう遅れだ。


一階のテロリストたちはリカを見上げて、意外な表情になった。


「お前、なにもの?お前が飲んだって、何ができるというの?!」


「アカシャ天使教だよね。あなたたちの組織の歴史はまだ長くないでしょ。裏社会の勢力図も知らないの?」


「!!」


「過去の『天国(ヘブン)』、今の『新世界』、『万代家』、『五帝(ごてい)家族』など実力を持つ暗黒組織は、どれも国々の権力者と繋がりを持つ。人探しのようなちっぽけなことなら、協力者たちに一声をかければいい。あなたたちはそのような資源を持っていないから、低レベルのテロ行為で交渉するしかないじゃない?」


「クソッ、舐めやがって!!」


テロリストたちに反論の時間も与えず、リカは続けた。


「私は万代家七代目継承順位一位の継承者、あなたたちと交渉できる資源を十分持っていると思うよ」


「!!」


リカの自己紹介を聞いたら、テロリストたちはまず驚いた。


そして、コソコソ議論し始める。


「おいおい、聞いていねぇぞ……?本物か?」


「し、知るもんか!」




マサルは三人の動きを観察したら、ふっと何か気づいた。


「リカ、違うんだ。彼たちはおそらく……」


マサルの話はまだ終わっていないうちに、リカはカバンから何かを出して、思いきりテロリストたちの近くの壁に投げた。


ゴロンと響いた轟音と共に、一面の壁は粉々になって、砕けた石屑が三人に降りかかる。


「!!?」


「な、なにをする?!こっちには人質がいるぞ!!」


拳銃男は奇愛の頸を締めて、リカに脅かした。


リカは顔色も変えず話を続けた。


「力の差を見せつけただけだ。私の話を断ったら、あなたたちを粉々にする」


「クソ!!このデパートにいる人たちはどうなってもいいのか!!」


爆弾男は急いで箱を抑えた。


「このデパートと共に滅んで、社会に圧力をかける。それはあなたたちの所望じゃない?代わってやってもいいから、感謝しなさい」


リカは冷たい目で男たちを見下ろす。


「ち、違う!共に滅びるなんて言ってねぇ!!」


その一言で、リカは三人の度胸を知った。


「どうせ、警察がきたらあなたたちは射殺される、変わりはない」


リカは有無言わせずまた爆弾を投げ出した。今回、デパートの埋められた入り口の上に、大きな穴があけられた。


「バ、バカな……一体どうなってるんだ!」


拳銃男は少し動揺したが、すぐに奇愛が手の中にいることを思い出した。


「こいつを見ろ――!!もう一度やったら、こいつは命が……」


拳銃男は奇愛を交渉材料にしようとすると、一筋の銀色の光が彼の頸に刺した。


「ぎゃああああ!!!」


男の悲痛な叫びはほかのすべての負傷者の喚きを凌いだ。


解放された奇愛は身を翻し、肘を男の顎にぶつかり、男を撃ち倒した。


それはまだ終わりではない。奇愛の手から、また銀色の光が煌めいた。今度は、男が拳銃を持っている掌に刺した。


頸と掌、二つの穴から鮮血が噴出する男はもう立ち上がらない。


奇愛は武器として使った簪を納めて、男が落とした拳銃を拾って、男の額に突き出す。


「この簪、軌跡兄ちゃんからくれた大切なものだから、とっても高いよ!」


奇愛は悪魔あのように笑った。


「ち、ちくしょう……!!」


ライフル男は援助射撃を撃とうとしたら、駆け付けた軌跡の拳に倒された。


あっという間に、動けるテロリストは爆弾男だけになった。


「お、お前!万代家の人だろ?!なんなら、なぜこんなことを……!!」


爆弾男は箱を強く抑えながら、泣きそうな声でリカに訴えた。


その妙な言い方に、リカは異様に気付いた。でも、彼女が反応する前に、マサルは男に声を上げた。


「もういい!」


その声に、爆弾男の視線はマサルのほうに移した。


「リカ、『俺のこと』は、頼んだ」


リカにそう言ったら、マサルは爆弾男と視線を合わせた。


「ゲッ!!」


爆弾男はマサルに見つめられると、強い眩暈に襲われて、目の前が黒くなって、意識が抜けられた。


一方、マサルの目の焦点も消えた。体はマリオネットのように棒立ちになっている。


爆弾男の両目は金色の光に覆われて、すんなりと爆弾の箱を手放した。それからリモコンを開けて、電池をもぎ取って遠くへ投げ出し、足でリモコンをつぶした。


リモコンの処理が終わったら、男は両手を上げて降参ポーズを作って、ゆっくりとある警備員服装の男に向かった。


「拘束してくれ」


「!?」




警備員の男を含めた観客たちが戸惑ったが、リカはこうなったわけを知っている。


それはマサルの異能力――「侵入操作」。


マサルは 、彼自身の意識を他人の脳に侵入させて、一定時間で人を操縦することができる。


その副作用として、他人の脳に侵入する間に、彼自身は意識のない殻の状態になる。身を守る能力が全くなくなる。


だから、今までは、絶対的な安全保障がないと、彼はこの能力を使わないことにした。




三人のテロリストが全部縛られたら、マサルは自分の体に戻った。


「この件について、戻ったら詳しく話そう……」


マサルはリカの手首を引っ張って離れようとしたら、リカのカバンから地震警報のようなブーザーが鳴り始めた。


それは、採点スマホの緊急連絡の着信音だ。


リカはさっそく電話に出た。


電話の向こうからイズルの心配の声が届いた。




「……いるけど、大丈夫よ。ええ、ちょっとした事件があった……もう解決した。奇愛と軌跡もここにいる。軌跡はケガをして、奇愛は彼の手当てをしている」


リカは一階の状況を覗きながら、イズルにいろいろ答えた。


電話で助けを呼ぶ人もいるし、自ら負傷者を助ける人もいる。


出口は崩れた石に塞がれている。


危険物は他にもあるかもしれないので、外の救援を待つほうがいいとリカは思った。


でも、状況をイズルに伝えたら、イズルは別の場所を指名した。


「6階の飲茶カフェのテラスに?」




リカは言われた通りに6階のテラスに入ったら、さっそく頭の上から呼び声があった。


「こっちだ!」


「!?」


声の方向に見上げると、パラグライダーで空を飛んでいるイズルがいた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ