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暗黒家族の令嬢は悪役ではないので、婿入り復讐計画を受け付けません  作者: 星琴千咲
【名演技篇】第六章 迷宮サバイバルの夜
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0602 正面突破と裏道(前編)

この部分は長いので、前後編に分けました。

同じビルの中で、一階は真っ暗に染められたけど、七階は真っ白に輝いている。


イズルは目の前のスケートリンクを見まわたし。


サイズは通常のスケートリンクの何倍もあり、天井のライトに眩しく照らされている。


リンクを囲む壁に、十二個の出口が平均的に配置されている。


その中で、下の階へつながる本物の出口は一個だけ。


どれを本物の出口にするのかコントロールセンターで設定できる。


軌跡たちは自分を偽物前提で攻略させたので、恐らくまだデフォルトのものだろう。


設計者のイズルはもちろんデフォルトの出口を知っている。


けど、広いリンクを横断して、そこに辿り着くのは簡単ではない。


リンクの周りに道はない。氷の床と壁は直結している。


氷の上に、十二台の整氷車は待ち構えている。


リンクに踏み入れると、整氷車は自動的に発動して、人の進行を邪魔する。壁の底に嵌められた自動サーブマシンも一斉にアイスホッキ―のパックを発射して、人の足元を襲う。


転がったら、整氷車たちのフットボールになるかもしれない。




滑りを防ぐために、イズルは先ほど自分を縛ったロープを足に巻いた。


壁収納から入手したバッグから、工作手袋、長いロープ、数本の蝋燭、ライターを出した。


ロープの先端に輪を結び、蝋燭に火をつける。


スーツのボタンをはずして、ゆっくりとリンクに入った。




歩きにくさを実感したら、彼は苦笑した。


「攻略順番は逆でよかった。でないと、オレもこの『氷の遊戯場』で遊ぶ体力がない」


イズルの侵入はさっそく感知器に検出された。


十二台の整氷車は一斉に動き出して、たくさんのパックは氷面を駆け抜ける。


イズルは無理矢理に移動しなかった。


ただ整氷車の接近を待つ。


登りのハードルを上げるために、整氷車の下部に、滑りやすいプラスチックのカバーが張られている。


整氷車が接近したら、イズルは数本の蝋燭に火をつけて、座席の後ろにあるプラスチックのカバーに投げた。


薄いカバーはすぐ燃やされて、その車が再び近づいた時、すでに大きな切口が出ている。


イズルはロープを投げて、先頭の輪で車の座席を囲んだ。


これでルート完成。


ロープに頼って車に登るのは難しくない。


デフォルトの出口の近いところまで運ばれたら、降りるだけでこの氷上ダンジョンはクリアできる。




一階の雨夜のダンジョンにいるリカは、片手で目を襲う雨を防いで、片手で携帯のライトをオンにした。


最初に目に入ったのは、高さ三メートルくらいの黒い壁。


リカは両面の壁に挟まれている狭い通路の中にいる。


壁に沿って少し歩いたら、いきなり、可動の床ブロックを踏んだ。


すると、隣の壁の一部は回転して押してくる。


リカは強引的に進行方向を変えられて、別の通路に押し入れられた。


止まない大雨、暗い環境、目が全く役に立たない。それに、不安定な足元、進行を邪魔する壁、人の不安と焦燥を煽る。


リカは目で進むのを諦めて、サーブルを取り出した。


奇愛の話によると、この迷宮の分岐は少ない。床の回転装置を踏まないなら、一本道で通過できる。


回転できる壁は中空の構造で、触発装置が壁の真っ下にある可動プロック。可動ブロックはすべて対で、壁の両側にも入っている。


触発装置にリセットの時間がある。回転させられたら、その場所でリセット時間を待って、対のブロックを踏めば、元の通路に戻れる。


リカは元の位置でリセットを待って、足元の可動ブロックを踏んで先の通路に戻った。


それから、サーブルの柄で前の壁を叩いて、装置はあるかどうかを確認しながら慎重的に前進した。




「見つけた!!」


一階の片隅に、エンジェと筋肉ウルフたちはロックされた緊急通路を見つけた。


2人の筋肉ウルフは大きく息を吸い、肩と背中の筋肉を硬ませて、一気に緊急通路の合金扉にぶつかった。


合金扉は無様に歪んで、壁の破片と共に地に倒れた。


イズルの位置が分からないから、エンジェは筋肉ウルフたちの体力を利用して、竜巻のように各階層を急速的に捜査するつもりだ。


絶対リカより先にあいつを捕まえる!




階段を上がると、筋肉ウルフたちはまた同じ方法で二階の緊急通路の扉を破壊した。


みっちり捜査しようと勢いよく突入した傍若無人の侵入者たちは思わず足を止めた。


「なんなのよ?! これ!!」


エンジェは叫んだ。


視野を埋めるのは、泥の沼だ。


この二階は、「泥沼の地獄」という名前のダンジョン。


一階の「雨夜の迷宮」でかろうじてカッコよさを維持できても、ここを通れば、すべては台無しになる。


その泥を見るだけで、通った後の様子を容易に想像できる。




「あんた、降りてみて!」


エンジェは手近い筋肉ウルフの腰を押して催促した。


「……」


体力が強いと、汚れに強いとは別だ。


筋肉ウルフは明らかにその命令に従いたくない。


けど、エンジェを助けるのは上司の命令で、逆らえない。


筋肉ウルフは嫌々しながら、泥沼の中に足を入れた。


「下は硬い床だ!」


泥沼の高さは筋肉ウルフの膝の上まで。


硬い地面を踏んだら、筋肉ウルフは大胆になって、踏ん張りして歩き出した。


でも、その時――


「うわぁぁ!!」


踏んでいる床はいきなり沈んで、筋肉ウルフは腰まで泥に埋められた。


その同時に、沼の中から数個のプラットフォームが上がってきた。プラットフォームは正方形、面積は一人二人しか立てられない程度。


どうやら、沼の底の床は正方形な板で構成されたもので、踏まれたら上昇か降下する。


びっくりした筋肉ウルフは試して足で周りの床を探ると、前の床の一部が消えたことに気付いた。


その消えたところの下に少しだけ足を伸ばしてみた。


「だめだ、底がないみたい……」


またワナを踏んだらごめんだと、筋肉ウルフはさっそく元の位置に戻って、沼から上がった。


「この階層に人の気配がない。緊急通路であがろう……」


「……」


エンジェは筋肉ウルフの適当な返答に不満だった。


けど、筋肉ウルフも入りたくない泥沼に、彼女が入るわけがない。妥協するしかない。




イズルは確かに二階にいない。


まだ六階を攻略している。

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