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月夜譚 【No.101~No.200】

宝石店 【月夜譚No.155】

作者: 夏月七葉

 店頭に飾ってある人形が、私のお気に入りだ。ショーウィンドウの向こう側、色とりどりの宝石の端に置かれた、金髪碧眼の少女のドール。

 店は看板通りに宝石を販売しているので、この人形はただの飾りであり、売ってはもらえない。だが、それで良いのだと思う。

 最初は欲しいと思ったが、今はここでこうして飾られている方が、この人形は美しくあると思うのだ。たとえ自分のものになって家へ連れ帰っても、私のあの部屋ではここにいる時のように輝けないだろうから。

 だから、毎日ここを通る度に、人形を眺めて満足している。傍から見たら、きっと宝石を眺めているように思われるのだろう。それでも良い。私はただ人形が見たいだけなのだから、周りからどう見られようと構わないのだ。

 今日も、人形は美しい。主役であるはずの宝石達よりもずっと、彼女の方が魅力的だ。

 私は暫く何もないショーウィンドウを見つめてから、踵を返した。

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