第3話 お菓子パーティ
あの部屋と比べたらものすごく整っている今の部屋に少し感動を覚えながらも今自分が置かれている少し異常な状態を飲み込めずにいる。
そうこの家の主アルテミアさんがなんでもお菓子を作ってくれた…らしいのだが。どうもそのお菓子の見た目は奇妙な肉片やらよく分からない物の集合体で明らかに食べ物とは呼べない外見をしている。
そして信じられない事にアルテミアさんはお菓子とは名ばかりのあの謎の集合物に対して全く嫌悪感無くかぶりついている。
「食べないの?」
こちらを不思議そうにジッと見つめてくるアルテミアさん。
マズい…このままだとこの異物を食べる事になってしまう。
なんたしてもそれだけは避けたい。なんとか突破口を見つけなければ。
「そういえば結局、付けてくれるって言っていた僕の名前はどうなったんです?」
「あ〜、それね。う〜んじゃあアリスタ。とかどうかな?今さっき君が見つけてくれた本の中の登場人物ですっごい怠け者の魔法使いの名前だよ〜。」
仮にも人の名前だというのにあまりにも雑すぎる…まぁこの人の部屋を掃除している時にも思った事だが。
どうやら彼女は凄い自由奔放で物凄い適当な人物らしい。
「怠け者って…なんかあまりにも適当すぎません?」
「そんな事ないよ。最終的にはすっごい戦争の後その怠け者の魔法使いだけが生き残るって話だから縁起がいいかな〜って。」
名前の由来を聞いてなんとも言えない気持ちになったけれど今 自分の名前になっただけあって少し親近感があっていい感じだ。
だとしても決定的な良さは無いと個人的に思う、もっとなんかカッコよさげな人の名前から取って欲しかったなぁ。
「どう?」
そんな事を考えていると
初めて少し不安そうにこちらを覗き込むアルテミアさん、いつもの事は知らないけれど能天気そうな彼女もこんな顔をするのか…。
どうやら僕はアルテミアさんのこういう顔にとても弱いらしい
こんな顔されたら断るなんてできないじゃないか。
「結構気に入りました。今日から僕はアリスタでいきます!」
「じゃあこれからしばらくの間よろしくねアリスタ君。」
異物をしゃりしゃりとつまみながら話す彼女の言葉に少し違和感を覚えた。
確かに僕は彼女から魔法を習おうとしたけれど…まさか魔法を会得する為にはすごく時間がかかるのだろうか。
「しばらくってどういう?」
「君はもう私の弟子だからね。これからは住み込みで魔法の特訓をしてもらうよ。」
しばらくの間僕はここで暮らすのか…正直行くあてもなく困っていた所だし丁度いいといえば丁度いいかもしれない。
住み込みなら長期でも僕にデメリットはないしなんともお得。
「えっとじゃあ。改めてよろしくお願いします、アルテミアさん。」
「むっ…。先生は?」
忘れていた、この人から魔法を教えてもらう代わりに先生と呼ぶことを…これは困った。
「えっと…その。更に改めてよろしくお願いします アルテミア先生。」
「よろしい。じゃあこのお菓子を食べ終わったら早速特訓開始だ!」
こちらに異物をスッと差し出してきたアルテミアさん、つい勢いに押されて僕はその異物を掴んでしまった。
「あ…。」
どうやら僕は足掻いても地獄からは逃れる事が出来ないらしい…無念。
頑張れ…僕の胃腸
二日目投稿完了!今までの人生で長く続いた事はあんまりないけど、今度こそ続けられるかもしれないので力を入れて書いて行きたい。