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魔法使いの行方  作者: 腐れミカン
学院編
27/75

第27話 授業開始







「行くぜフラムぁあ!勝負だぁぁぁぁあ!!」


「来なさい!私の炎でアンタなんか返り討ちにしてやるわ!」


緋色君はカードを投げフラムが特大の炎を撃ち放ったその瞬間辺りに大爆発が起こり粉塵が舞い散った。


一瞬で周りは物凄い熱気に覆われた。



「うわぁ!」


咄嗟に腕に抱えたマリアを庇う体制を取ったその刹那 目にも止まらない速さで一つの影が両者の間に割って入るのが見える。


「こらこら、喧嘩するんじゃありません。」


その人物はフラムと緋色君の頭にゲンコツを喰らわせて戦いを中断したのだ。


「いて!」


「いたーい!」


緋色君とフラムは頭に手をやってその場に蹲る、そんな彼らの方にそこそこ怒っているであろう視線を向けるルイ先生。


「全く…いいですか?魔法を他人に向けて使っていいのは大会の時だけですからね。」


「「はーい。」」


力の抜けた様な声で答える二人。僕はそんな彼らを見て戦いが終わった事を実感した。


何はともあれこれでもう被害は出ない訳なので安心してマリアの事をルイ先生に託せる。


「ルイ先生、マリアが気絶しちゃったので助けてあげてください。」


「ふーむ。マリア君がどうして気絶したかは大体目星が付いているから理由は言わなくても構いませんよ?」


「うっ。」


図星とばかり声が漏れる緋色君、そしてただ無言で普段からは信じられない位にしょんぼりしているフラム。


ジーッとした目線を二人組に向けるルイ先生、そしてその二人はそんな視線にたえかねて目線を下に下げた。


「はー…。後で緋色君とフラム君には私からお話する事があるので廊下に来る事。いいですね?」


「はい。」


そして二人を諭した後ルイ先生はこっちに来て僕が抱えているマリアの方に紋章を向けた。


その紋章が強く煌めくのと比例してマリアの顔色が良くなっていくのが分かる。


「それとアリスタ君 私が今魔法を掛けたからマリア君は大丈夫だ。」


マリアは僕に担がれている状態のまま少し時間が経ってからうっすらと透き通る青い綺麗な瞳を開いてこちらに向けた。


「アリスタ…さん。私は一体?」


「目が覚めて本当によかった。」


僕はマリアをそっとその場に降ろしてこれまでの経緯を説明した。


「そんな事が…あったんですね。乱闘騒ぎの中…私を守ってくれてありがとう。」


「いいんだよ、マリアが元気なら僕はそれで十分だからね。」


「アリスタ…さん。」


僕らは互いに近付いてお互いの手を取り合った…その瞬間そんな僕らの間をズケズケとルイ先生は通り抜けて教壇に立った。


「はいはい、多分皆色々言いたい事はあるだろうが時間が来たので授業を開始する。席に座りたまえ、アリスタ君は余ってる所でいいぞ。」


ルイ先生の指示を聞いた僕は少し名残惜しくもマリアと離れて余っている席に座った。





左にはとても不機嫌そうなフラムが居て右には飄々とした雰囲気の緋色君が座っている席だ、一つ残念なのがマリアはもう一つ奥の席だと言う事だろう。


「それでは魔法の授業を開始する。各自筆記の準備をする様に。」


今さっきまで激闘があったとは思えない様な静けさが教室の中を支配している中ルイ先生は黒板に文字を書き始めた。


これはルイ先生がこのクラスの生徒をちゃんと指導出来ている証拠だ。


そして何よりもあのフラムでさえ言う事を聞くのだから本当に凄いと思う。


「…何よ?」


少しフラムの事を眺めていたのを感じ取ったのか彼女はこちらに凄く不機嫌そうに声をかけてきた。


「いや、なんでもない。」


何が起こるか分からない恐怖からすぐ返答を返す僕に呆れた様な仕草でフラムは話続ける。


「アンタさ今日授業始めてなんでしょ?ノートや筆記具は持ってきてるの?」


「えっと…それは。」


確かに僕は今日初めての授業なのだがそもそも持ち物がいる事など知らされていなかったので何も持って来ていなかったのだ。


だがそんな戸惑っている僕にフラムが一本の鉛筆といくつかのノートの切れ端をこちらに力強く差し出して来た。


「これ、貸してあげる。」


いつもと比べて何故か不安そうな細い声でこちらに言葉を投げかけるフラム。その赤い瞳も何処か揺らめいている。


「ありがとう。」


前の事よりも今助けてくれた事を感謝するべきだと思った僕はすぐにフラムにお礼をした。


「別にお礼なんていらないわ。」


僕の言葉を聞いたフラムは突然そっぽを向いたのだがその声色は何処か嬉しそうにも思えるものだった。


その後僕は視線を一度前に戻して黒板の方に体を向けて姿勢を整えた。


「〜んであるからして、魔法とは即ち〜なのである。」


ルイ先生の講義を聞き流しながら僕は早速借りた鉛筆でノートの切れ端に授業内容を書き始めたのであった。

最後まで読んで頂きありがとうございます。


少しでも楽しんで頂けたのなら私も嬉しい限りであります。

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